洞窟
「俺、今の話を聞いて気になった場所があるんだけど……」
「ジル、それはどこですか?」
私がジルへ聞くと、ジルは少し言いづらそうにしていた。
「あの、魔術薬が発見された地下の実験室。あの時、ヴィーが地下から出てきただろ? あの先が封印された場所なら、外と繋がってるんじゃないかと思って……」
「行ってみようか。行って何もなければそれでいいと思うし」
「殿下、外へ出てしまうなら校則違反になりませんか?」
私がそう聞くと、殿下は顔をしかめていた。
「校長に頼まれたんだから仕方がないと思う。今から引き返して聞きに行くのも、何だか周りに怪しまれそうだし……」
すると、私の言葉に悩んでいたジルも首を横に振っていた。
「……仕方がないよな」
「そうだね。ルパート先輩を早く見つけよう。さっそく見に行ってみようか」
殿下の言葉に頷いた私は、教員室で鍵を借りると地下の実験室へ向かった。
※※※※※
「やっぱり気味悪いよな、この部屋」
「照明が暗いせいかしら? 言われてみれば小説に出てくる悪魔の館のイメージにそっくりね」
「なに小説に出てくるの? この部屋」
私が小説に出てくる館にそっくりだと言うと、殿下が話に食いついていた。
「殿下、小説は読まれるのですか」
「伝記とかならあるんだけど、小説はないかな。読む時間がなくて――読んでみたいとは思ってるんだけど……」
薄暗い部屋には、前に来た時と同じように黒い鍋が置かれていた。床板にある扉を開けると、地下からはやはり風が吹いて来ていた。中を覗くと地面は1メートルくらい下にあり、意外と飛び降りても平気そうな高さであった。
「……」
私達は掃除用具を床に置くと、順番に穴の中へ入って行った。下りた先は洞窟みたいな場所で、辺りには小石が散乱していた。




