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事件

 次の歴史学の授業は聞いていても耳に入ってこなかった。歴史の先生であるトリウス先生の話し方は、まるで子守歌のようだった。途中で催眠術でもかけられているように眠くなり、最終的にクラスの半分は眠ってしまっていた。それでも私は頑張って起きていた。頑張って起きていたのに教科書を30ページも読まされてしまって目が覚めた私は、火魔術授業のことを思い出し、本当に起こったことなのだと改めて感じていた。


「ルパート先輩のこと聞いた?」


「ええ、心配よね」


「先輩は学園の問題点を見つけようと言っていたんだ。何か事件に巻き込まれた可能性もある」


 そう言ったアーサー殿下腕を組んで考え込んでいた。ランチに殿下の食堂へ来ていたが、話はルパート先輩の話になった。


「いつ、いないことに気がついたのかしら?」


「私が聞いた話だと、今日の朝だということだよ。隣室のマルクといつも一緒に登校していたらしいからね。朝、待ち合わせの場所に来ないルパート先輩を不審に思って部屋を覗いたら、誰もいなかったらしい」


「じゃあ、金曜日の委員会の後、いついなくなったのか分からないわね」


「マルク先輩が寮へ一緒に帰ったらしいから、その後行方が分からなくなったみたいだね」


「――どこへ行ったんでしょうね」


 ジルがそう呟いた瞬間、ドアがノックされリンデが入ってきた。久しぶりに見るリンデの顔はやつれていた――王都へ行っていた宮廷魔術師のリンデが城から帰ってきたのだ。


「殿下お待たせいたしました。魔術薬の解析が終わりました」


「リンデ、ご苦労だった。ちょうどいいところに来たね」


「アーサー殿下、その前に校長先生がお呼びです」


「校長先生? 帰ってきたのか」


「ええ、途中で一緒になりまして――というか、校長先生が持っていた結界石を直せる職人が、城にいるらしいんですよ」


「リンデに色々と聞きたいところだが、先に校長先生へ会いに行った方がよさそうだ。昼休みはあと15分しかないし」


「ええ、そうですね。殿下、いってらっしゃいませ」


「リンデも来るんだよ」


 疲れていたのか、リンデはため息をつくと、私達と一緒に校長室へ向かったのだった。




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