休日の過ごし方
次の日は休みだったが、やることがなくて私は学園内を散策していた。学園へ来て二週間。心の余裕が出てきたのかもしれない。私は携帯していた売店で買ったサンドイッチをポケットから取り出すと、中庭のベンチに座って食べていた。
「あら、いい匂いね」
ペンダントから匂いにつられたローズが出てきた。その後から、ヴィーも出てくる。
「食べる?」
「うん。ありがとうアリエッタ」
「われにもくれ」
「はい、どうぞ」
ドラゴンのヴィーはサンドイッチも食べるんだと感心しながら、私は食べようと思っていたサンドイッチを一口ずつ分け与えた。
「美味しい」
「うまいな」
「ねえ、ローズとヴィーは、もしかして普段食べなくても平気なの?」
私は以前から疑問に思っていた。たまに出て来ては、殿下たちと一緒に食事をしているが、基本食べなくても平気みたいなのだ。
「私はアリーの魔力をもらってるから平気よ」
「我も魔力があれば生きていける」
「え? ローズ、もしかしてここへ来てからも私の魔力食べたりしてた?」
「ええ」
「私、それなのに死にかけたの?」
「ここは、魔素が多い。魔力があっても使えない人には、有毒なガスを常にかがされているようなもんだろう。よく、あの時まで生きていたと思うぞ」
「そうなんだ」
「安心しろ。今は我が、ほとんど食べつくしてる。授業で必要になるまでには、なんとかしたいな」
「なんとかしたいなって、初期契約魔術のこと?」
「うむ。我が解約してもいいのだが、なにせ1000年前の知識だからな。何か不具合がないとも限らない」
「……ヴィー。せっかくだけど、今度にしてもらってもいい? 何だか、それだけが原因じゃない気もするし」
「よかろう。あの二人がいる時にやってみるか。誰かいたほうが、アリーも安心するじゃろ?」
「ええ。お願いするわ」
「それよりも――」
サンドイッチを食べ終わったローズは、私の肩へとまると聞いてきた。
「ジルとはどうなってるのよ――」
「どうって、何もないわよ!」
「またまた、照れちゃって。アリーったら、そういうところは、かわいいんだから」
肩にとまったローズは私の頬を突いていた。
「われもこの間ラブシーンが急に始まった時は驚いたぞ」
二人の言葉に私は顔に手を当てて俯いた。
「本当に何もないから……」
あれから、私はジルを意識してしまい、ろくに話しかけられなかったし、話しかけても来なかった。殿下はというと――それに気がついているのか、何か面白いものでも見つけたように、私達のことを見ていた。
「あれ? アリー、こんなところにいたの?」
振り返ると、そこには爽やかな笑みを浮かべたアーサー殿下が立っていた。さわやかな笑顔だが――いつも通り、うさん臭さが漂っていた。




