表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/56

救助活動

「えっと、どちらさま?」


「われはクラヴィス。アリエッタに仕えるものだ」


 金髪の青年はそう言うと、私を抱きしめてキスをした。


「ん゛――――」


 口から何かを吸い込むようにキスをしているから、おそらく魔力を吸い出しているのだろうが、勘弁して欲しい。


「おい、お前っ。やめろ」


 ジルが私を金髪の青年から引き剥がした。


「ふー、生き返った。うっ……」


 ドラゴンと思われる青年は、ジルの鉄拳を食らって床にうずくまっていた。先ほどは何も着ていなかったのに、ドラゴンは平民が着るような服を着ている。


「おい、おまえ……。俺の婚約者に勝手にキスするな」


 ジルは、床に倒れた青年を踏みつけた後に蹴っていた。


「これは人命救助だっ……」


「なにこれ? 身体がさっきよりだいぶ軽くなったわ」


「魔力を吸い上げたんだ」


 そう言ったドラゴンは、得意げだった。火は吐いたりしなさそうだが、警戒しておいたほうがいいだろう。


「あれ? さっきは洋服なんて着ていなかったのに……」


 私がそう言うと、ドラゴンは素早く立ち上がり得意げに語りだした。


「これは、闇魔術の幻影カモフラージュだ。実際には何も着ていない。以前に見たことのある平民の洋服を再現しているんだ。裸のままだと、アリエッタが驚くと思ってな。古竜種にしか出来ないことだ」


「クラヴィスといったか? キス以外の方法はないのか?」


「うーん。抱きしめ合って、肌を密着させることで魔力を吸収することも出来るが、丸一日はかかるかな」


「丸一日?」


「うん。しかも、我はもともと水竜だ。表面は冷たいから、少し微妙かも」


 クラヴィスは元の姿に戻ると、私の近くへ来て身体を差し出した。


「本当だ。冷たい……」


 私がドラゴンの皮膚と思われる表面を触ると、氷のように冷たかった。ドラゴンは気持ちがよさそうに鳴いる。


「うーん。魔力が気持ちいい」


「ほんとうに触るだけで流れるのね。もしかして、私って魔力を垂れ流しているの?」


「そんなことはない。われが勝手に吸い取ってるだけだ」


「へぇ。あなたの名前、クラヴィスって言うの?」


「そうだ」


「クララって呼んでいい?」


「ぶっ……」


 私がそう言うと、後ろで殿下とジルが吹いていた。


「それは……。ちょっと、どうかと」


「じゃあ、ヴィー?」


「……ああ、いいな」


「ヴィー、よろしくね」


 私がそう言うと、ヴィーはドラゴンの姿のまま嬉しそうに笑っていた。


「ジル。もしかして、やきもち妬いてる?」


「うるさい、黙ってて」


 アーサー殿下は赤くなっているジルを見て揶揄(からか)っているようだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ