表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/31

クラスメイトの話

「崩落事故は長びいたりしないってのは本当なのか?」


 アーサー殿下の言葉に、彼らは口を揃えて言った。


「俺のひいおじいちゃんは、崩落事故に何度か合ってるけど、その時だけだったって、言ってたよ」


 そう言ったのは、背の低い小太りのジョージ。自習中なのに何故かパンを食べている。


「おい! 殿下の前でパンを食べるのはやめろ。さっき食ったばっかりだろう」


 隣にいたハンスが、彼のパンを取り上げていた。ハンスはジョージと違って痩せていて、背が高かった。


「だって、やることなくてお腹すいたんだもん」


「私は構わないよ。確かに、何もないと何かしたくなるものだね」


「殿下……」


 殿下の言葉にジョージは目を潤ませていた。ジョージは食べていたパンを飲み込むと、意を決したかのように話し始めた。


「僕の父は鉱山で現場監督をしていました。それで、崩落事故があった時、責任を取って辞めてしまったのですが……」


「なんだ? 不当解雇か?」


「いえ、父は責任を感じて自分から辞めると言い出したんです。でも、調査に来ていた騎士団の方達が話しているのを、たまたま聞いてしまったと言っていて――」


「何を聞いた? いや、()()()()()()()()()んだ?」


「それが、封印が解けかかっていると……」


「……」


「封印?」


「……ジョージ、話してくれてありがとう。また、何か思い出したら教えて欲しい」


「分かりました」


「ケントもありがとう」


 ケントはお辞儀をすると自分の席へ戻って行った。パンの取り合いをしていたハンスとジョージも席へ戻っていく。


「殿下……」


「いや、何かあるだろうとは思っていたが……。暗殺未遂なのか? それとも……」


「どっちも、という可能性はありませんか?」


 ジルの言葉に殿下はため息をつきながら言った。


「そうかもしれんな……」


 二人の様子に私は何も言えなかったのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ