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犯人

「校長先生に会いたいのですが……」


 魔術薬の報告のために教員室へ行った私達だったが、校長先生がいなくて困っていると、教頭のトリウス先生が後ろから話しかけてきた。


「校長は出張中だ。しばらくは帰ってこない」


「出張?」


「壊れた結界石を修復しに、王都へ行ったんだ。しばらくは帰ってこれないだろう」


「困ったな」


「どうかしたのかね?」


「いえ……」


 教頭先生の鋭い目つきに、何と答えていいのか分からずに私は困惑していた――誰かが法を犯してまで作っていたのかもしれないのだ。普段使わない部屋には鍵がかかっているのだ。生徒である可能性は低いと思う。この学園にいる先生が犯人ではないかと思うと、余計に他の先生がいる前で魔術薬のことは聞けなかった。


「弱ったな。校長先生がいないと誰に相談すればいいのか分からない」


 掃除を終えた私達は、以前に昼食を食べた部屋でお茶をしていた。魔術薬のことを誰に、どう報告するか話し合っていたが、結局のところ誰にも話せないという結論に至った。


「どの先生に話したら大丈夫かなんて分からないよな」


「まだ3日目ですよ殿下。分からなくて当然だと思います」


「結局は秘密にするしかないのか――リンデ」


「はい」


 窓の近くで外を見ていた宮廷魔術師のリンデが殿下に呼ばれて私達の座っているテーブルへやってきた。


「リンデ、この瓶の中に入っている薬の成分は調べられるか?」


 そう言ったアーサー殿下は、さっき私が割ってしまった瓶が入った袋をリンデに手渡していた。


「すぐには分かりませんね。王都に帰り、実験室などで調べれば可能だとは思いますが……」


「悪いが調べて来てくれないか?」


「殿下、それでは護衛が……」


「頼む」


「承知いたしました。なるべく早く戻ってきます」


 リンデは袋を受け取ると、足早に部屋を出て行ったのだった。




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