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Aクラス

 次の日の朝、食堂の前にある掲示板でクラスが発表された。人数が少なくても2年生と同様に3クラスに分かれるようだ。魔力測定の結果を踏まえて、AからCクラスに分けられ、各クラスの8人ずつ、掲示板には名前が書かれていた。


「お嬢様、同じクラスでよかったです」


「ええ、本当に……」


 Aクラスにジル様と私の名前が書いてあった。魔力が多い人は、一箇所にまとめられると聞いていたので、別々になることはないと思っていたが、同じクラスで本当に良かった。


「おはよう、二人とも同じクラスだね。よろしく」


 爽やかな笑顔に爽やかな挨拶――のはずが、アーサー殿下が言うと、どことなく胡散臭さが感じられるから不思議だ。


「おはようございます、アーサー殿下」


「Aクラスは全部で8人か……。私達以外は、この近くに住む村の人だね」


「え? 中等科出身の人はいないんですか?」


「魔力量だけで言ったら、この辺りに住んでいる人達が国の中でも一番、魔力量が多いかな」


「え? 貴族じゃないんですか?」


 グロース帝国では、魔術を扱う人間は貴族が多い。だからというわけではないが、てっきり遺伝だと思っていたのだ。


「テドラ王国では、人の魔力含有量は遺伝ではないと言われている。一説に過ぎないが、この付近一帯の山で魔石が多く取れることが、このあたりに住む人たちの魔力含有量が多い原因になっているのではないかと言われている」


「魔石が原因?」


「魔石が多いということは、魔素が近くに多く発生しているというこだ。その中で日常生活を送ることで、魔力が増えているのではないかと言われている。高等科の授業は基礎もやるが、2年になったら大魔術を扱う訓練を行う。それが魔術学園の高等科に魔力が多い人しか入学できない理由だ」


「殿下、昨日は成長によって魔力が増えていると言っていませんでしたか?」


「その因果関係はテドラ王国で、現在調査中らしい。生徒の成長によって、どれくらい魔力量が増えていたのか、確認すると言っていたよ」


「そうだったんですね」


 アーサー殿下と話をしながら教室へ着くと、教室には既に5人の生徒がいた。男子生徒が3人と女子生徒が2人――5人は、教室の端で黙ってこちらを見ていた。


「おはようございます」


「おはよう――ございます」


(待って、なにこの距離? 私が貴族だから?)


 心の距離だけでなく、物理的な距離を置かれてしまった私は、めげることなく、教室の席についた。ジルは当然のように私の鞄を持って、左隣の席へ着いた。


「みんな警戒しているんだ。貴族社会では、王族が言葉を発する前に言葉を発してはならないと言われている。残念ながら中等科にいる高位貴族の子息が、一部の生徒に対して高圧的な態度を取っていたからね。噂話に尾ひれがついたのだろう。彼らの信頼を勝ち取るにはしばらく時間がかかりそうだね」


 そう言った殿下は、私の右隣の席へ着くと、鞄からペンを取り出したのだった。




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