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魔力測定

 次の日の朝、入学式が行われた部屋へジルと一緒に向かった。


「魔力測定を受けるの、実は初めてなんだ」


「そうなの? 私は公爵家にいた時はいつも測ってたから、大体の数値は分かってるんだけど……」


「お嬢様の数値っていくつなの?」


「えーと、家で測ったときは、確か780だったかな」


「それって多いの?」


「分からないわ。テドラ国は魔術大国だもの。中等科を終えた生徒もいるから多い人は結構いるんじゃない?」


「王都では学校に通っていたんだろう? 他の生徒はどうだったんだ?」


「魔力がない子は、0に近いわよ。魔力を持ってる子でも50くらいが多かったかな。あとは――魔術師になった子や、魔術師を目指している子達は120~150くらいの子が多かったかも」


「それじゃ、お嬢様の780って結構多いんじゃ……」


「そうかもしれないわ。でも結局は使えないんだもの。宝の持ち腐れみたいな感じよ」


「おはよう。君たち、魔力測定は初めて?」


 気がつけば、アーサー殿下が後ろへ来ていた。測定は列に並び始めた人らか既に始めており、身長を測ったあとに中央にある机の上に置かれた水晶に手を翳して、隣にいる先生が用紙に数値を記入していた。


「なぜ身長を測っているんですか?」


「うーん、分からないけど伝統? みたいだよ。背が大きくなると、魔力が大きくなる人が多いみたいなんだ。それで、とりあえず一緒に測ってるんじゃないかな?」


(身長を測るなんて聞いてなんだけど……)


 アーサー殿下と一緒に列に並ぶと、殿下から順に身長と魔力を測っていった。


「860ですね」


 身長を測り終えた殿下は魔力を測った後に、そう言われていた。


「860――すごいわね」


「お嬢様、身長はいくつでした?」


「164よ」


「私は165でした」


「負けた……」


 なぜか身長で張り合っていた私達だったが、魔力測定の先生に呼ばれて私は水晶の前へ行った。水晶に手を翳すと、中に見えていた白い靄が固まって数字が表れる。


「780です」


 以前に測った数値と同じで、安心したような残念だったような、よく分からない気持ちでいると、次の順番が来てジルが魔力を測っていた。


「えっと、なにこれ……」


 ジルが水晶に手を翳すと、水晶の白い靄はおさまるどころか、水晶の中が黄色く光り始めた。


「先生、こちらを……」


 異変に気がついた校長が、どこからか古びた水晶を取り出してきた。置いてある水晶と入れ替えると、再びジルに手を翳すように促していた。


「1036?」


 表示された数値が信じられなかったのか、記入していた先生の言葉は疑問形だった。測定を終えたアーサー殿下も、こちらを見て驚いた表情をしている。


「1036だって? 聞いたことがないぞ」


 ここにいるのは、中等科に通っていた比較的魔力が多い人達だ。それでも殿下と私以外の人で500を超えた者はいなかった。


「誰なんだ、あいつ……」


 ひそひそと話す声が、部屋のあちこちで広がっていった。訳が分からなくて気まずい思いをしていると、殿下が急に声を張り上げた。


「ジル、君はすごいね。帝国にいたときは魔術師だったのかい? 魔力を高めようと思っても、普通はこんな数値にならない。一体、どんな努力をしたんだ? 聞かせてくれないか?」


 アーサー殿下はジルの肩を掴むと、背中を叩き、私にウインクをすると部屋を出て行った。私も二人の後について部屋を出たのだった。




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