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オリエンテーション

 あっという間に終わった入学式に驚きつつも、私は隣に座っているジルへ話しかけた。


「ジル、入学式終わったみたいだけど、オリエンテーションに参加する?」


「参加しましょう。場所が分からないと不便ですし……。あれ? みんな参加していかないんですかね?」


 ジルは完璧な侍従を演じていたが、新入生の人達が部屋から出ていくのに首を傾げていた。


「君たちは、オリエンテーションに参加するの?」


「……はい」


 二人で話をしていたら、新入生代表の挨拶をしていたアーサー・テドラに声をかけられてしまった。


「あの、他の皆さんはオリエンテーションに参加されないのでしょうか?」


「そうだね。半分は地元の子だから、来たことがあるのかも。この後に配られるガイドブックにも書いてあるみたいだから、行かない人も結構いるみたいだね――君たちは、帝国の人?」


「はい……。申し遅れました。私、グロース帝国ヴォーゲル公爵家の娘で、アリエッタと申します。以後お見知りおきを」


「これは、ご丁寧にどうも。アーサー・テドラだ。この国の第3王子で、今年の学年代表を務めている。君の病のことは校長から聞いているから、何かあれば遠慮なく相談して欲しい」


「お気遣いいただき、ありがとうございます」


「人数がいないから、教頭先生に学園の案内を頼まれたんだ。残っているのは君たちだけなんだけど、どうする?」


 そう言われて、部屋を見渡すと私達以外の新入生は誰もいなかった。


「よろしくお願いします」


 私とジルは、アーサー殿下と一緒に部屋を出たのだった。



※※※※※



 部屋を出ると、アーサー殿下と一緒に廊下を歩きながら、中庭や窓の外を眺めていた。


「あの、アーサー殿下とお呼びしても?」


「構わないよ。他の人も、みなそう呼んでる」


 沈黙が気まずいと思って話しかけると、彼は微笑みながら答えていた。アーサー殿下の完璧な笑顔は何だか怖かった。


「殿下は私と同じ新入生ですのに、この学園に詳しいんですね」


「まあね。私は中等科出身だから、用事があって学園にも何回か来たことがあるんだ」


「中等科?」


「中等科は王都に移動してね。テドラ国では魔術に興味のある全ての国民が魔術学園の試験を受けることができるんだ。魔力測定を受けて、魔力値が50以上あれば通うことが出来る」


「素晴らしいですね」


「中等科は卒業できても、高等科に上がれない人が多いんだ。魔力が少ないと上級魔術が出来ないし、山奥に通ってまで行きたくないという人もいるんだ。たいていの職業には、中等科卒業資格で合格できるし、昨年は崩落事故があったからね。危険を冒してまで、高等科へ通いたくないという人も多かったみたいだよ」


「だから、今年の新入生は少ないんですね」


「ああ。定員30名だが、今年の入学は24名で、1クラス8人になると思う」


「クラス分けをするんですね」




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