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ひととま  作者: 珈琲
第二章
83/104

2-32

「お前は、さっきの…」

アルバートの一言で、ハル達は一斉に身構えた。


カルラは解除魔法を試みるも、やはり途中で魔法は粒子が飛び散る様に分解されてしまう。

「目つきがさっきと違うわ。

誰かに…操られているのね。

解除もここでは出来そうに無いし……」


ドンッ。

スペアは無言のまま、狭い部屋に向けて炎の魔法を放ち、室内が燃え広がる。


アルバートはスペアを蹴り飛ばした。

「早く部屋から出ろ!」

体制を崩しながらも、スペアは魔法を放つ。

炎は顔を掠めた。


「さっきの……キキのお母様じゃん……」

イザベルと共に、ユキを引っ張り部屋から脱出した。

「ハル、今は正気じゃないから。目付きがおかしい」


クリスが団長トーマスの腕を引っ張り、立ち上がらせた。

「あまりにも不利すぎる!攻撃できないじゃないかっ!」

「あーくそ、腕上がんない。足が動かない。

絶対あの牙…毒入ってるだろ…」


魔石のある広間も、スペアの放つ炎が広がってゆく。

「なんで魔法使えるのよ!?私達、何も出来ないのにっ!!」

カルラが嘆く。



あの人も……。魔石からの魔力を貰ってる側の人なんだ…。

ハルはそう思い、首から下げている魔石を取り出した。

ほんのりと、魔石は光っていた。

「あれ?……もしかして、この国にいる!?

アキ、兄ちゃん守ってて!!」

そう言い、ユキの腹部に魔石を乗せた…。



ーーー


「あれ?兄ちゃんじゃん」


「あれ?アキじゃん」


「「何してんの?」」

被った。


ここは、薄暗く、壁の木材が腐っているような部屋。

天井も穴が空いている。


二人は向かい合っていた。


「ちょっとハルの魔力探してたら勝手に意識がここに飛んだんだよね…。

いま、炊き出し準備中だから危ないんだけど……」


「まじか。俺、捕まって死にかけてんだよね。

ハルが魔石を腹に乗せたらここに来た訳で」


「どんな状況なの?」


「よく見えないから分かんないけど、多分戦闘中かな。なかなか意識戻せなくてさ…」


「それ…危ないんじゃない?早く戻りなよ。ほら」

アキの掌から、キラキラと光が舞い上がる。

「こっちは第二の副団長さん達と、住民への支援をしてるよ。

強力な結界があって、そっち行けなくてさ。

まぁでも、こっちは大丈夫だから。早く戻ってあげなよ」


「…どうやって出んの??」


「……僕も初めて来たから分かんないや…」


二人は部屋を見渡した。


ーーー



それはもう、一方的だった。

終始無言、無表情のまま、辺り構わずスペアは炎を放ってくる。

ハル達は、炎に囲まれた広間で避ける事しかできない。

アルバートやクリスは、取り押さえる為の隙を狙っていた。

「副団長…。無事に帰ったら、体術の訓練もうちょっとしっかりやりませんか?」

「…賛成だな。さすがに子供が近くにいる中で、始末はできない。

こんな状況、考えた事無かったわ…」



浮かぶ巨大な魔石には、魔法が当たっても吸収しているのか、傷一つ付かずに稼働し続けていた。



「トーマスさん!危ない!」

団長の腕を引き、庇ったイザベルの背中に、火球直撃した。

「きゃぁっ!」

ドサッ。

「先輩ーー!」

ハルは慌ててジャケットを被せ、火を消したが……。

背中は真っ赤になっていた。

「上の階に上がったら…すぐ治してもらお…ね」


ユキの腹部に乗せていた魔石を、ガッと掴んだ。

「だったら吸い込まれないくらい丈夫にしてやるっ!!

アキ!死なない程度にもらうねっ!!ごめんねっ!」

ハルは魔石を握りしめた。



魔石の中の世界に居たユキとアキは、吹っ飛ばされるような衝撃を受けると同時に、意識が戻った。

そして、アキは一気に魔力を吸い取られた結果、結局気を失った。



カッ!!

と魔石が強烈な光を放った。

ハルの足元からは水色、緑、黒の線が、菌糸のように広間一帯に広がってゆく。

床にこびりついて、剥がれない。


水色の光は大量の水を生成して炎を消化してゆく。

黒い光は鎖の様に伸び、スペアを拘束したところで

水に濡れた服を、風で乾かす事も忘れない。


「すご……」

その光景を、皆は呆然と見つめた。


パキ……ン…

ハルの魔石にはヒビが入り、割れてしまった。

それと同時に魔法が解除される。

「あーぁ。割れちゃった…この先どうしよう…」


スペアは力なく、その場に崩れるように倒れた。


「いや、見てないで急いで取り押さえるぞ!」

アルバートが正気を取り戻し、走り出した。




上の階へ移動し、すぐさまカルラが魔法を展開する。

回復魔法だ。

「私の魔力もだいぶ底をついてきました…。

この先はあまり魔法が使えないかと…」



その魔法で、ユキが目を覚ました。

「兄ちゃん!大丈夫!?」

「んー…?なんとか…?」

ちょっと体を伸ばし、辺りを見回した。


一つ上の階からは、赤い光が差し込んでいた。

補足:アキは後ろに倒れたので、炊き出しの鍋に頭から突っ込む事はありませんでした。



コピペミスってました。すみません。

しかも前書きに載せてたり…、

訂正しました。

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