表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひととま  作者: 珈琲
第二章
57/104

2-6

「あーぁ。まいったなぁ」

一枚の紙ペラを読みながら、団長アオトが呟いた。


「また何かあったのか?やっと落ち着いてきたのに」

指導から戻ってきた副団長のリンデンが、声をかける。


「これ」


王家の印が押された公式の手紙。

国王と右大臣の連名。

『極秘』の文字。

ここ最近の王子傷害事件で、誰も亡くなっていないことへの感謝が記されていた。


が、後半はノエル王子の捜索願い。

大々的にはできないので、九歳当時の顔写真、特徴等記載され、

各団でそれらしい人物の調査を頼む内容が記されていた。しばらくの間は、毎週報告せよ。と。



「探ってんのかぁ…」


「まぁ、「多分いそう」ってかんじなんだろうけどな。偶然が重なって。王子が全員襲われたけど、怪我はあっても死ななかったからな。今までだったら皆、死んでるのだろうな、きっと。

ずっと第二王妃様がメインだったけどさ。今回は国王様まで出てきたって訳」


「報告した方が…いいのか…?」


「それはダメだ。味方か分からない。

殺す為に探していたら大変だ。

とりあえず、呼んできてくれ」



ーーー


「失礼します」

副団長に連れられ、ノアが入室してきた。



「おー。ご苦労さん。急に悪いね。これさぁ」

団長が声をかけ、持っていた手紙を渡す。


「んーー?……………まじですか」



「まじなんだ。すっかりお尋ね者だな。

捜査報告の義務が発生した。

それにしても、お前九歳で人相悪過ぎないか?」

「だよな。目つきやばいよな」

団長の言葉に、副団長も同調した。


綺麗な薄い、水色のストレートヘア。

金の混じった水色の瞳の少年が、猛烈に睨んでいる。


「あの当時は、メンタル死んでて。

みんな死ねって思ってましたし、剣持ったきっかけは、レイ殺そう。でしたからね。

この写真が一番マシだったのかな?」


「九歳でそれか…だいぶいっちゃってんな」

「人間変わるもんだな…」



「エリックさん家でかなりメンタルケアしてもらって、だいぶ落ち着きましたね」



「今は?」



「そこは、もう…ね」



「本当は?」



「……ちょくちょく」



「まぁ……ケアは大事だな。

いま病院や学校でもカルテやら名簿やら遡って漁られてるようだ。下手な行動はやめた方がいいな」


「そこまでやってるんですね…。

予算も減ったみたいだし、探すのは諦めたのかと思ったんですけど」



「どうする?国王様には報告するか?印も押されているから、何かしら報告しないといけない」



「はぐらかして欲しいですよ。俺としては。

まだ…暗殺部隊が関わっているくらいしか知りません。左大臣、アーノルド側の奴だろうなぁ。って。まだ主犯とか分からない…」



うーーーーん……と、三人で腕組みして考える。



「ルカ様から何か連絡は?」

団長が口を開いた。



「全く。やり取りが危ないので。右大臣と警察部隊長は少なからず、前日の記憶は辿れます。タイミング次第ではバレます。

レイは死んでいいけど、他は死んでなきゃどうでもいいし。

次は誰を狙うのか…それとも、先に俺を殺しにくるか……」



「俺ならまずは、お前殺してから。にするだろうな。歯車狂わされた元凶から。

だから、炙り出しかな」

団長が怖い事言い始めた。


「うわ…」


「うん、俺もそう。じゃないと安心して殺れないじゃん」

副団長までもが怖い事言う。



「一旦は“該当者無し“って報告するしかないか。バレたら首飛ぶよなー。下手したら死刑じゃね?」

団長は、頭を抱えた。


「はぁ……。バレないように、かぁ。追う側が、追われる側になるとはね。

諦めるまで、待ちたいところですが……」

ため息しかでない。


「こればっかりは、神様に願うしかないな。

俺、まだ死にたくねーよ……って!!!

兄貴見つかったら芋づる式にバレる!」


「あ!忘れてた!ヒスイもいたわ。言っときます」


「俺も電話しとく」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ