表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひととま  作者: 珈琲
第一章
51/104

50

東エリアで王子がまた襲撃を受けた事もあり、休暇開け早々に班を整える。



早朝、まだ空は薄暗く、寒さが残る宿舎前の広場に全員が集められた。


金糸であしらわれた王家の紋章が、朝日に照らされ輝く腕章。騎士たちは心なしか、清々しい表情で整列をしていた。



副団長のリンデンが声を張り上げる。


「いいか!これより厳選なる調査の元、編成し直す!!

名前を呼ばれた者は前へ!


一斑班長ライラ! 副班長ノア!

二班班長エルネ! 副班長カイラギ!

三班班長トーヴァ! 副班長ジルド!

四班班長マーカス! 副班長アリエ!

それから、春には一斑増える。

この中の誰かが班長、副班長になるから気を抜くなよ!」


次々と名前が呼ばれていく。



団長のアオトは拡声器を使っている。


「今後、新たにスカウトした人達も、これから徐々に入団する事になっている。

先輩として、腕章掲げて気合い入れていけよ!

もう……誰も死なないように!

特に一斑!ここはもう実力重視だ。最前線でやれる奴!

まだ今は全体的に人数が少ないが、第四騎士団は強くなる!楽しみにしておけ!」


「それと最後に!本部の修繕工事がそろそろ終わる。次はこっちだ。春には本部に戻るぞ」




ーー



「一斑の副班長になったよ。悪く無い位置だよね。班長は前と同じ人だし。」

ノアは電話で軽く報告をしていた。



「良かったじゃん。昇進おめでとー!!お城の事、今より調べやすくなるねぇ」



「ありがと。用事ができたら、城内にも行けるかもね。…ところで、ユキから連絡あった?」



「うん。兄ちゃんからは…ちょっと前に連絡あったの。大変だったみたいで。一人同期の人亡くなっちゃったんだって。でも、王子様は無事って。酷い怪我らしいけどね……。

それでね、兄ちゃんがローラン様の従者さんに気に入られちゃったみたいでさ。しょっちゅう来るって言ってたよ」



「あー…多分、王子直属の護衛に誘われてんだろうなぁ。いま警備固めてるらしいし。まぁどうせ断るんじゃない?」



「うん、断るの大変って言ってたよ…大人しく護衛だけ、は無理そうだもん」



そこへ、一階から母ユウカに声をかけられた。


「ハルー!手紙届いてるわよ!高等学校からと…あとは…誰からかしらこれ?何も書いて無いわ」



「あ、呼ばれちゃった。高等学校からだってー。分かってても怖いよね…」



「まぁさすがに大丈夫でしょ。じゃぁ俺も戻るわー。またね」



「うん、またね!色々頑張ってねー」



電話を切るや否や、

「はーい!すぐ行きまーす!」


階段を駆け下りた。


みんながリビングでコーヒータイムをしていたので……

「私もコーヒー飲むー」



「早く開けてー。さすがに合格してるでしょ。でも、こっちの宛名がないやつ。何?」

アキから封筒を受け取り、開封した。



「よかったぁー。合格だね。落ちてたらアリスに怒られるどころじゃ済まないもん。色々マズイわ。……春から高等学生かぁ。」



もう一つ。簡素な封筒。なんの印も無い。糊で留めてあるだけ。



「え……これって……」

読みながら、ハルは固まってしまった。



「ん?」

アキが手紙を取りテーブルに広げ、そこに書かれていたのは……



『拝啓

この度、第四騎士団では新たな人材を迎える運びとなりました。

つきましては、貴殿の力を我が団にて振るっていただきたく、入団をお願い申し上げます。

詳細は追ってお伝えいたしますので、翌週の二月二十四日、午後に神殿前宿舎・会議室までお越しください。


第四騎士団団長 アオト』



「へぇーーしかもちゃんと印まで入ってるじゃん」


「寒いのに、窓から覗いてたものねぇ…」


「……ハル。団長から直接だと拒否権はほぼ無い。頑張ってきなさい」



「ハルーーー?戻っておいでーーー??」

ハルは石像の様に固まったまま。


「よかったじゃない。高等学校は辞退の連絡しておくわね」



ーーこの日、ハルの人生に新たな道が突如出現した。


ひとまず一章を〆ることにしました。

次からは二章です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ