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ひととま  作者: 珈琲
第一章
43/104

42

今週いっぱいは、各騎士団の一部の班が北エリアへ出張し、業務を手伝っている。

手当ても増えるし状況次第ではちょっと昇進もありそうで、先輩達は期待しながら向かっていた。





長男のユキは元々所属している第一騎士団の管轄――東エリアに留まっている。



「最近お前、休憩中にスマホばっかいじってるけど何かあった?」

声をかけてきたのは、同じ二班の一つ上の先輩フェリオン。ここでの生活やら仕事を色々教えてくれている人。


「いや、最近妹と弟からのメールがすごいんですよね」


「あー…北出身だっけ。でもわかるわー。うちも妹弟多いからなぁ。返事しないと怒られるんだよなぁ」


「昨日の第四王子が刺された事件もあったから、気にはなりますよね」

昼食をとりながら、兄弟の話でで盛り上がった。



第四騎士団が大変なことになった為、人員不足の中、第一王子のレイと第三王子のローランがいる、東の山の神殿や居住区や街の警備を強化することに。


東エリアは基本的に穏やかな気候で一年中過ごしやすく、北よりもずっと都会的。雪が降ってもたいして積もらない。

中心となるのが、グリンディアの街。

第一騎士団の本部がある。

先には山を削って作られた、グリーン港街がある。



この街に滞在している第一王子は――それはそれは迷惑この上ない存在だった。

本来なら、十五歳だと城へ戻って仕事になる。

だが、臣下等取り巻きから過剰なお膳立てを受け、自分には才能があると信じているし、正義感が強い?様子。

実際には試験も過酷な訓練も特に受けていないのに、近頃慣れてきたのか第一騎士団団長と同列に居座り始めている。

いや、同列に扱うしかない。


今年の春に入団したユキ達8人はレイ王子と同期に当たるため、やたらとフレンドリーに接してくる。

先輩達からは“生贄世代“と呼ばれ、面倒になるとすぐに押し付けて退散、が日常化していた。


誰一人として第一王子を団員としては扱えない。同期としても扱えない。団長も普通の態度を取れるはずもない。

そもそも第一王子という一番国王に近しい人物が、騎士団なんて危険な場所に入団してこない。


結果として、彼は“なんちゃって団長“として扱われている。




第一騎士団の団長は、直接父エリックが育て、引き継ぎをしているので、ユキとしては比較的考え方が分かりやすいし、印象も良い。

どデカい足枷を付けられている様な団長を見ていると、とても可哀想に思ってしまう。




その日の夕方、ユキ達新人8人へお知らせメールがきた。


『明日 第三王子ローランのグリーン港街視察。7:00 神殿前広場へ集合』


新人騎士は一年間、王子の視察動向が義務付けられているのである。



ーーーー


同じ夜、騎士団とは別組織である警察隊事務所に、立て続けに電話が入った。


「主人が帰宅しない」

「うちの子が塾から戻らない」


いずれも行方不明の連絡だった。


極まれにあることだ。大抵は事故に遭って連絡が遅れたり、痴情のもつれに巻き込まれていたりと、すぐに見つかるケースばかり。

でも今回は、一日のうちに三件。


第一騎士団団長は城での会議に出ていたため、報告は副団長へ。

警察隊はすぐさま捜索の指示。

騎士団側は一旦は通常巡回とした。

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