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ひととま  作者: 珈琲
第一章
41/104

40

外は雪の降る音だけが聞こえる深夜。


突然、団長のスマホが鳴り響く。

「はいーー…?どうかしたか?」

すっかりエリックの家でリラックスモードで寝ていた団長アオト。


『緊急です!!第四王子が何者かに刺されました!!命に別状はありません!』


「は?……何?」

団長は飛び起きた。

「いま…今夜の警備は……どこがやっている!!」


『今日は第二です。慣れない雪と…状況が落ち着いていましたので……』


「…今すぐ行く………はぁーーーー……」

電話を切り、大きくため息をついた。


「おい、リンデン!起きろ!第四王子が警備をすり抜けて刺されたらしい!」


「……え??は!?まじかよ!!精鋭派遣したから任せてゆっくり休んでこいとか言ってた癖に!」


「やっぱり他に任せてらんねぇか。雪国舐めすぎだ」


急いで支度をし、ヒスイの車を借りて神殿の方へ向かった。



ーー


王子の住居付近に到着した時はすでに騒ぎとなっており、外にまで第四王子イチハの喚き声が聞こえている。

パニックになっているようだ。


「とりあえず元気そうだな」

ぼそりと大変不敬な団長。



「報告を申し上げます!夜間周辺警備をしておりました第二騎士団、二班の四名、頭部に鋭い刃物のような物で後ろからの一撃で殺害されていました。武器は見つかっておりません!」


「報告を申し上げます!第四王太子殿下は左肩付近をナイフのような物で刺されておりまして、夜間巡回中のメイドが発見しました。

自白魔法の結果、犯人ではありませんでした」


「報告を申し上げます!第四王子殿下は多少取り乱してはいるものの、命に別状はありません!

発見が早かった事もあり、後遺症等々は無いとみられます」


次々と状況報告が入ってくる。



「外は雪が積もって足場が悪い。

それに、俺への一報からすでに一時間以上経っている……犯人はこの近辺にいるかどうか。

第五王子狙いかと思っていたが、第四王子だったか…」

団長は頭を抱えた。


「でもさ、残すとしたら第四王子の方だよな。明らかに第五王子の方が優秀だろ」

リンデンはつい言ってしまった。


「そうなんだよな……。他にもっとやばい王子がいるか……?」

否定する事なく腕組し悩む団長に、ルカが小さな声で話しかけてきた。



「あの……。内緒にしてね。僕の方は何も無かったんだけどさ。23時くらいにさ、外で何か嫌な感じがあって。

黒い影みたいなのがイチハの家の方に行ったんだ。兄様の時って影の部隊が犯人だったんでしょ?なんかさぁ……」


団長が少し屈んで

「情報提供、感謝します。また危険ですのでお戻りください。何かありましたら……悲しみますよ」


副団長がルカを連れて住居へ送り、そのまま朝まで護衛に加わった。



今回直接狙われたのはイチハ。下手したらルカが疑われるかもしれない。なんせ無傷だから。怪しく思う者が出てきてもおかしくない状況であった。


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