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ひととま  作者: 珈琲
第一章
36/104

35

部屋に戻り、ハルはベッドで枕を抱きしめる。


「どうしよう。興奮してきた!!」

憧れがついに!!

ニヤニヤが止まらない。

飛び跳ねたい!!!


「あんまり興奮するとベッドから落ちるよ」

テーブルで頬杖をつきながら、呆れている。


「そうだけどさぁー。やっぱり…ねぇ?やっとだよ?長かったわぁーー。」

興奮冷めやらぬといったかんじだ。


「でもこれでハルが武器持ったら、攻撃魔法と武器と両方使えてちょっとズルいかなー」


「アキ、攻撃魔法無いもんね。でもアキの回復魔法って結構攻撃的じゃん?」


「そこはワザとだし。治療放棄は最大の攻撃かもだけど。そこまで鬼じゃないしさ」


「殲滅対象が身内になっちゃうもんね…」

こわいこわい。


「ハルが大怪我したら、めっちゃ痛い魔法にするからね。覚悟しといてよ」


「えー…それはナシ」



二人で話していると、ドアをノックされた。

コンコン。

「「ん??」」


ドア越しに

「ノア起きたんだけどさ、なんかする事ある?」

ヒスイさんの声だ。


「あ、今行くから水でも飲ませといてー」

「あ、よかった。起きたんだー!」


二人は立ち上がった。


ーーー

「おはよ。気分はどうかな?」

アキが白衣を着て診察している。

なんか悪役のセリフみたいに聞こえるのは気のせい?


「…だる重」

ぼんやり呟く。


「多分それ寝過ぎ。丸2日くらい寝てたし。水飲んだ方がいいよ」


ノアはヒスイが用意していたグラスを手に取り一気に飲み干した。

「…ゴクゴク……はぁぁぁ生き返る…」


「ノアの怪我治すの時間かかったんだよね。すごい集中してたくさん魔力使ったんだよ。とても大変だったんだよ」

言い方に圧を感じたノアは(湯水の如く魔力が湧き出る癖に)と思いつつも、自分の腰を触って確かめる。

「……痛く無い。アリガトウ…」


アキはニコッとした。

ノアはゾクッとした。


「なんか雰囲気怖いくない?大丈夫?アキってノアにいつもそんな感じだったの…?」

ちょっとブルっとしちゃった。


「ふ…そうなんだよ。助けて…」

ちょっと乾いた笑いをしている。


「いいでしょ。ハルが甘やかし担当してくれてるんだから」

腕組みして椅子の背もたれに寄りかかる。


「双子なんだから上手く分けあってよねー」

ノアは追加注文をつける。


「月替わり制……とか…??」

ハルがぼそっと呟く。


「んーー……案外悪……ぶっっ!!」

ヒスイがノアの顔面にクッションを投げつけた。


「お前さぁ………」


(あ、怒った)

(怒った)

(怒られた…)

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