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2階から見下ろすと、リビングでお父さんとヒスイさんが、コーヒーを飲みながら何か話をしていた。
アキは、父さんがハルに武器を持たせたくない理由を知っているし、このままでは何も変わらないことも分かっている。
だから、ほんの少しだけハルの背中を押した。
「……そうか。ハルは、戦うのがそんなに好きか?」
「うん。見てるのも好きだけど、みんなカッコいい」
「直接戦わなくても、ハルのサポートはすごいよ」
「でもアキから魔力もらわないとできないよ。私の魔法、弱っちいから」
「自前の魔力でも、練習のときみたいに圧縮すれば威力は上がるじゃないか。わざわざ武器を持って接近戦するのは危険だろう?」
「アキの魔石持ってる時は流れる魔力が多すぎるから、コントロール難しくて圧縮できないの知ってるでしょ。普通に使った方が強いもん」
「…んーー……うーん…」
腕を組み、唸る父。
目を細めてお母さんを見た。
「この前は皆んながいたから大丈夫だったけど、いつも一緒は無理でしょ。すーぐズタズタにやられちゃうよ」
「……お父さん。ハルの気持ちは変わらなそうね。これ以上憧れを拗らせたら、かえって危ないわ」
「そうそう!」
「…………はぁ。仕方ないか。じゃあ約束しなさい。絶対に諦めない、絶対に生き残る、と」
わぁぁぁぁ!!
「約束します!」
ハルの周りがキラキラしている!
「アキ!!やったよーー!!めっちゃ震える!!」
横で紅茶を飲んでいたアキは笑顔で返す。
「よかったじゃん」
「じゃぁ…武器生成からだな。どんな武器でどう戦いたいのか決めておきなさい。一度作ったら変更は出来ないからな」
「え、武器生成!?俺も知りたいんだけど!」
頬杖ついて聞いていただけのヒスイさんが飛びついた。




