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ひととま  作者: 珈琲
第一章
35/104

34

2階から見下ろすと、リビングでお父さんとヒスイさんが、コーヒーを飲みながら何か話をしていた。



アキは、父さんがハルに武器を持たせたくない理由を知っているし、このままでは何も変わらないことも分かっている。


だから、ほんの少しだけハルの背中を押した。




「……そうか。ハルは、戦うのがそんなに好きか?」

「うん。見てるのも好きだけど、みんなカッコいい」


「直接戦わなくても、ハルのサポートはすごいよ」

「でもアキから魔力もらわないとできないよ。私の魔法、弱っちいから」


「自前の魔力でも、練習のときみたいに圧縮すれば威力は上がるじゃないか。わざわざ武器を持って接近戦するのは危険だろう?」


「アキの魔石持ってる時は流れる魔力が多すぎるから、コントロール難しくて圧縮できないの知ってるでしょ。普通に使った方が強いもん」


「…んーー……うーん…」

腕を組み、唸る父。

目を細めてお母さんを見た。


「この前は皆んながいたから大丈夫だったけど、いつも一緒は無理でしょ。すーぐズタズタにやられちゃうよ」


「……お父さん。ハルの気持ちは変わらなそうね。これ以上憧れを拗らせたら、かえって危ないわ」


「そうそう!」


「…………はぁ。仕方ないか。じゃあ約束しなさい。絶対に諦めない、絶対に生き残る、と」


わぁぁぁぁ!!

「約束します!」

ハルの周りがキラキラしている!


「アキ!!やったよーー!!めっちゃ震える!!」

横で紅茶を飲んでいたアキは笑顔で返す。

「よかったじゃん」



「じゃぁ…武器生成からだな。どんな武器でどう戦いたいのか決めておきなさい。一度作ったら変更は出来ないからな」



「え、武器生成!?俺も知りたいんだけど!」

頬杖ついて聞いていただけのヒスイさんが飛びついた。

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