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連れてくのは俺ん家じゃないけど。
エリックの家は広くて木の家だから落ち着くし。
あの三人はもう帰ったから部屋は大丈夫だろう。
……なんか最近“避難所”みたいになってる気もするな。
家買うか?……さすがに高いか。
ヒスイは少し悩んだけど、すぐに諦めた。
“ガチャッ”――“チリーン”
「帰りましたー。連日怪我人連れてきちゃって申し訳ないね」
車内で気絶したように寝ている二人を、ヒスイとエリックがベッドまで運んでいく。
「アキ、この二人も回復させてやってくれるか?大した治療もしてないで働き詰めだったからさ」
ヒスイはソファに寝転んでいるアキに声をかけた。
「ん?いいよー」
アキは見ていたテレビを消し、起き上がって即答する。
「ありがたいね。優しく頼むよ」
「そこはね。ちゃんと弁えてるから大丈夫だよ」
「……安心したよ。じゃぁ準備したら部屋来てな」
そう言って、ヒスイは客室に入って行った。
ハルは二階の手すりから二人のやり取りを眺め、そっと自室に戻り、ベッドに寝転んだ。
なんか!!なんかすっごく嫌だ!!!
私だけ何もしてないし、出来る事もない。
全く役に立たない!
のんびり一人、高等学校行ったって何も面白く無い。
何を目指せばいいのかも分かんない。
不器用だからお母さんみたいに美味しい料理は作れないし、お父さんや兄ちゃん、ノアみたいに強くもないし、アキみたいに優しく人助けもできない…。
満遍なく弱っちい魔法が使えたって意味ないじゃん。
……よくあるネット小説みたいに闇落ちでもしたら強くなるかなぁ……
……
堕ちれる素材……無いかぁ…。
家庭環境は平和だもんなぁー。
学校が嫌で闇落ちとか理由が恥ずかしいもんね。
案外理性ってちゃんと仕事するよね。
枕を抱きしめながら隙間から出てきた羽毛を引き抜く。
……アホくさ。
いま文字起こししたら語尾にwつくよね。
コンコン。ガチャり。
アキが入ってきて開口一番に
「またなんか悩んでたでしょ」
完璧に見抜いている。
「さすが双子だね」
気づいてもらえるのはやっぱり嬉しい。
「まぁね。“みんなかっこいー!“とか」
「そ。アタリー。みんなバリバリ戦ってて超凄いじゃん。ほんと私、何もしてないのよねー。見てるだけ」
「ノアみたいにボロボロになる事もあるよ?もちろんハルがボロボロになっても治すけど、森で遊ぶ時とは桁違いだよ…?」
「そうだけどさぁ…」
アキが傷口見るの苦手なのは知ってるけど。
「役立たずで元気より、役に立ってボロボロの方が後悔しなそうじゃない?
それに最近物騒だし。みんなが居ない時に遭遇しちゃったらどーしよーとかもちょっと思うじゃん」
ハルは枕と一緒に膝も抱えた。
「うん……まぁね……そうだよね。
僕も春からはほとんど家にいられなくなるからなぁー…父さんに掛け合ってみよっかぁ」
「またダメって言われそうじゃん?女の子なんだから無理しなくて良いって…」
「それはそう。やっぱり心配にはなるよ。
でも状況変わってきたし、ダメ元でいくしかないね」
改行しすぎてたので消しました。
誰が話してるのか分かり辛すぎましたので修正しました。




