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ひととま  作者: 珈琲
第一章
34/104

33

連れてくのは俺ん家じゃないけど。

エリックの家は広くて木の家だから落ち着くし。

あの三人はもう帰ったから部屋は大丈夫だろう。

……なんか最近“避難所”みたいになってる気もするな。

家買うか?……さすがに高いか。


ヒスイは少し悩んだけど、すぐに諦めた。




“ガチャッ”――“チリーン”

「帰りましたー。連日怪我人連れてきちゃって申し訳ないね」


車内で気絶したように寝ている二人を、ヒスイとエリックがベッドまで運んでいく。


「アキ、この二人も回復させてやってくれるか?大した治療もしてないで働き詰めだったからさ」

ヒスイはソファに寝転んでいるアキに声をかけた。


「ん?いいよー」

アキは見ていたテレビを消し、起き上がって即答する。


「ありがたいね。優しく頼むよ」


「そこはね。ちゃんと弁えてるから大丈夫だよ」


「……安心したよ。じゃぁ準備したら部屋来てな」

そう言って、ヒスイは客室に入って行った。





ハルは二階の手すりから二人のやり取りを眺め、そっと自室に戻り、ベッドに寝転んだ。


なんか!!なんかすっごく嫌だ!!!

私だけ何もしてないし、出来る事もない。

全く役に立たない!

のんびり一人、高等学校行ったって何も面白く無い。

何を目指せばいいのかも分かんない。

不器用だからお母さんみたいに美味しい料理は作れないし、お父さんや兄ちゃん、ノアみたいに強くもないし、アキみたいに優しく人助けもできない…。

満遍なく弱っちい魔法が使えたって意味ないじゃん。


……よくあるネット小説みたいに闇落ちでもしたら強くなるかなぁ……

……


堕ちれる素材……無いかぁ…。

家庭環境は平和だもんなぁー。

学校が嫌で闇落ちとか理由が恥ずかしいもんね。

案外理性ってちゃんと仕事するよね。


枕を抱きしめながら隙間から出てきた羽毛を引き抜く。

……アホくさ。

いま文字起こししたら語尾にwつくよね。




コンコン。ガチャり。


アキが入ってきて開口一番に

「またなんか悩んでたでしょ」

完璧に見抜いている。


「さすが双子だね」

気づいてもらえるのはやっぱり嬉しい。


「まぁね。“みんなかっこいー!“とか」


「そ。アタリー。みんなバリバリ戦ってて超凄いじゃん。ほんと私、何もしてないのよねー。見てるだけ」


「ノアみたいにボロボロになる事もあるよ?もちろんハルがボロボロになっても治すけど、森で遊ぶ時とは桁違いだよ…?」


「そうだけどさぁ…」

アキが傷口見るの苦手なのは知ってるけど。


「役立たずで元気より、役に立ってボロボロの方が後悔しなそうじゃない?

それに最近物騒だし。みんなが居ない時に遭遇しちゃったらどーしよーとかもちょっと思うじゃん」

ハルは枕と一緒に膝も抱えた。


「うん……まぁね……そうだよね。

僕も春からはほとんど家にいられなくなるからなぁー…父さんに掛け合ってみよっかぁ」


「またダメって言われそうじゃん?女の子なんだから無理しなくて良いって…」


「それはそう。やっぱり心配にはなるよ。

でも状況変わってきたし、ダメ元でいくしかないね」

改行しすぎてたので消しました。

誰が話してるのか分かり辛すぎましたので修正しました。

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