表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひととま  作者: 珈琲
第一章
32/105

31

ナンバリングが残ってたので削除しました。

すっかり外が暗くなり、街が静かになってきた頃。


帰れなくなっていたアキは、お父さんが運転する車で片道三時間ほどかけて帰ってきた。


「あーー疲れた!やっと家着いたー!ただいまー!」

欠伸をしながら家に入ってきたアキ。


「おかえりー!」

ハルがノアの部屋から出てきた。


「足とかもう大丈夫なの?他に調子悪いとこない?」


「うん、大丈夫だよー」

ハルはジャンプしてみせた。


「ならよかったよ。だいぶ大変だったみたいじゃん。お疲れー」


「ありがと。もー色々ありすぎてなんか頭が追いつかなくて…」



「アキ、お疲れ様ね。帰宅早々ごめんなさいねぇ。休憩したら頼んでいいかしら?」

お母さんはちょっと申し訳無さそうにしながら、籠に山盛りのパンをテーブルに置いた。


「全然大丈夫だよ………あー美味しい」

パンを一つ手に取り、もぐもぐしている。


「そうそう、これー!」

鞄から取り出したのは支給された真新しい白衣。パンを咥えたまま袖を通して……

「どう?白衣着るとそれっぽくない?」

アキはクルッと回ってみせた。


「わぁ…」

……先日お父さんと戦った奴も白衣着てたからゾクっとしちゃった。ごめんよ…。


アキは冷たい紅茶を一気に飲んだ。

「ふぅ。じゃ、早速行こうかな」

客間に居る三人の所へ向かった。


ーーー


三十分ほどで終わり、部屋から出てきた。

「みんな爆睡だったし、もう大丈夫じゃないかな。一応魔法で疲労はとったよ」


「治せる人がいると安心するね」

「でしょー」

アキはニコニコして言った。


「さ、ノアんとこ行くかぁ。今どんな感じ?」

「完全体甘えたモード」

「りょ。」



コンコン、ガチャリ。


「入るねー」

「アキおかえり。久しぶり。…ノックの意味ないな」

ヒスイはソファに腰掛け、足を組んでいる。

「ただいまヒスイさん。お久しぶりです。ノックしただけですよ」

「帰宅早々悪いねぇ」

「大丈夫ー」


死んだように横になっているノアを見た。

「大丈夫?」

とりあえず声をかけてみる。


「大丈夫に…見えるなら、すごい……ね」

力無く応える。

腰のところがまだ蠢いているのが見える。


「だよね。僕もそれ使いたく無いし。でもすごい傷。

もうちょっとズレてたら、中身出てたかもね。

普通の人間なら即アウトだし。よく意識あるよね」


「…………アキも使いたい薬、作ってほしぃ…なぁ…」


「検討だけしとくね。……とりあえず魔法で治そっか?十分あれば終わるよ?」


「…いや……超怖いんだけど。何…まぁ…いいや…とりあえず…なんか…寝れるやつ……」


「はいはい、じゃぁおやすみー」

ガッッ!

アキは左手でノアのこめかみを掴んだ。

まるでスタンガンのような衝撃が走り、ノアは目の前がクラッシュした。

「……いっっ……」

魔法で強制的に寝かせた。


「さて、寝たし治しちゃおうかな」


「ん?ああ、頼むわ。相変わらずノアには厳しいな」


「そりゃあね。双子だし。ハルが飴なら僕は鞭だよ。二度美味しいでしょ。まぁそれだけじゃ無いけど」


「双子って厳しいんだな」


「まぁね」

ヒスイが椅子を持って僕の隣にきた。ハルと母さん、父さんはドアの隙間から覗いている。入ってきてもいいんだけどなぁ。


「魔族じゃないのによく耐えられるよね」

アキが右手を添えると、強烈な光が発せられ、蠢くものは消失した。

「…だいぶ深くまで傷ついてるね……」

目を閉じて集中する。

神経の1本1本、筋肉の繊維も細い血管も皮膚も全部見えるから。丁寧に丁寧に再生させて繋げていく。


湧水のように魔力が体内で作られるアキは、本当は全く痛く無い、跡も残さない完璧な魔法も余裕で使える。


わざと痛くするのは怪我をしないで欲しいから。傷口は見てるだけでも痛いし、かなりグロテスク。

治す側の身にもなってほしい。しかも下手したら死んじゃう。兄ちゃんもノアもバカみたいに突っ込んでいくタイプ。

せっかく父さんを犠牲にして強烈なのを開発したんだから、優しい薬作る訳ないでしょ。

もっと強烈なのだって良いくらい。


隅々まで確認して治してたらすっかり二時間以上経ってた。

「あーーー終わりーー。疲れたーー」

アキは大きな伸びをした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ