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ナンバリングが残っていたので削除しました。
青空が広がる昼間。
こっそり門のところに来たルカ。
団長にわがままを言って、ノアを訓練所の警備に配置してもらった。
パタパタパタパタ……子供が走る音が聞こえる。
「ほんと、こーゆーのはちょっとなぁ……」
悩ましい独りごと。
閉まった門の内側。
顔は見えない。
「ねぇにぃ……話してもいい?」
「…」
やっぱ来たか
「少しくらい話したいよ! この前はちょっと話した後、すぐ部屋に行っちゃうんだもん。全然話せてないよ……」
そりゃぁねぇ……なんか無理じゃん。
「……」
「あのさ、どうやって生きてられたの??喋らないなら命令!普通に喋って!」
「はぁ………職権濫用な。それ。覚えといて。
崖から落とされて、エリックさん達が助けてくれて。住ませてくれて。三人兄妹と同じように扱ってくれて。命の恩人」
「ずっとここにいるの?」
「予定では春まで。でも延びそうなんだよな」
「また話せる?」
「それは分からない」
「その頭のお団子は自分でやるの?」
「そりゃあね」
「やってくれる人いないの?」
「……まぁ……なにその質問。今聞くことじゃなくない?」
「……イチハから意地悪されたりした?」
「イチハはゴミだから。気にしなかったさ」
「一番ヤバいのは?」
「第一のレイかな。今も牛耳ってるだろ。何かあればすぐ取り巻きが殴ってきたし、稽古も真剣使われて何度も殺されかけたな」
「……うわぁ……誰も助けてくれなかったの?」
「いたらこうなってないんじゃないかな」
思い出したくないこと。
「……そっかぁ……僕より辛かったんだろうなぁ……。今は母様が助けてくれるから。あと、まだ“生きてる”ってことになってるからね。母様が今も捜索してるんだ。似た人の目撃情報があったらすぐ派遣してさ。変装して自分で行くこともあるんだよ! ……母様には報告しちゃダメかな?? 何もできなかったって、すごく後悔してるんだ」
「絶対にダメ。危険に晒すだけ。今暴露されても何もできないよ」
「……そうだよね。ごめんなさい」
チラリと時計を見る。もうじき十二時、交代の時間。
「あのさ……悪いんだけどさ。最近気が緩んでて。何か色々危ないんだよね。今後こういうの無しで頼むわ。何かあったら団長とか経由して」
「はい……じゃあ早く団長や副団長になってよ。副団長くらいなら倒せそうじゃん」
「ダメダメダメダメ。精進はするけどね。でも、ルカも暗殺されない程度には強くなってくれれば助かるんだけど。もしくは……次期国王の対象になるよう馬鹿になるとか?」
「馬鹿は嫌だよ……」
「じゃぁ頑張って」
「はい」
「……」
「……勉強もいっぱいするし、稽古だっていっぱいするね」
「あれ? もう終わり?喋ってくれないの?」
「……うん、おわり」
遠くから――
「おーい! 交代の時間ー!」
「飯行ってらー」
「おー。今日はここ全然人来ないから暇だよ」
「まじかー。あれ? もう一人は?」
「神殿の方の道を警備してるよ。前、キモいの落ちてたとこー」
門とは違う砂利道の方を指差し、交代した。
ノアは宿舎の自室に戻り、着替える。
「あーーーしんどい。ちょっと強く言い過ぎたかなぁー。接し方がわからん」
保護されてすぐとか、俺のメンタルぐずぐずだったもんなぁー。
あんまり思い出したくないよねー。こーゆーの。




