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ひととま  作者: 珈琲
第一章
26/104

25

ナンバリングが残っていたので削除しました。

青空が広がる昼間。

こっそり門のところに来たルカ。

団長にわがままを言って、ノアを訓練所の警備に配置してもらった。


パタパタパタパタ……子供が走る音が聞こえる。


「ほんと、こーゆーのはちょっとなぁ……」

悩ましい独りごと。


閉まった門の内側。

顔は見えない。

「ねぇにぃ……話してもいい?」


「…」

やっぱ来たか



「少しくらい話したいよ! この前はちょっと話した後、すぐ部屋に行っちゃうんだもん。全然話せてないよ……」


そりゃぁねぇ……なんか無理じゃん。

「……」


「あのさ、どうやって生きてられたの??喋らないなら命令!普通に喋って!」



「はぁ………職権濫用な。それ。覚えといて。

崖から落とされて、エリックさん達が助けてくれて。住ませてくれて。三人兄妹と同じように扱ってくれて。命の恩人」


「ずっとここにいるの?」


「予定では春まで。でも延びそうなんだよな」


「また話せる?」


「それは分からない」


「その頭のお団子は自分でやるの?」


「そりゃあね」


「やってくれる人いないの?」


「……まぁ……なにその質問。今聞くことじゃなくない?」


「……イチハから意地悪されたりした?」


「イチハはゴミだから。気にしなかったさ」


「一番ヤバいのは?」


「第一のレイかな。今も牛耳ってるだろ。何かあればすぐ取り巻きが殴ってきたし、稽古も真剣使われて何度も殺されかけたな」


「……うわぁ……誰も助けてくれなかったの?」


「いたらこうなってないんじゃないかな」

思い出したくないこと。


「……そっかぁ……僕より辛かったんだろうなぁ……。今は母様が助けてくれるから。あと、まだ“生きてる”ってことになってるからね。母様が今も捜索してるんだ。似た人の目撃情報があったらすぐ派遣してさ。変装して自分で行くこともあるんだよ! ……母様には報告しちゃダメかな?? 何もできなかったって、すごく後悔してるんだ」


「絶対にダメ。危険に晒すだけ。今暴露されても何もできないよ」


「……そうだよね。ごめんなさい」


チラリと時計を見る。もうじき十二時、交代の時間。



「あのさ……悪いんだけどさ。最近気が緩んでて。何か色々危ないんだよね。今後こういうの無しで頼むわ。何かあったら団長とか経由して」


「はい……じゃあ早く団長や副団長になってよ。副団長くらいなら倒せそうじゃん」


「ダメダメダメダメ。精進はするけどね。でも、ルカも暗殺されない程度には強くなってくれれば助かるんだけど。もしくは……次期国王の対象になるよう馬鹿になるとか?」


「馬鹿は嫌だよ……」


「じゃぁ頑張って」


「はい」


「……」


「……勉強もいっぱいするし、稽古だっていっぱいするね」


「あれ? もう終わり?喋ってくれないの?」


「……うん、おわり」



遠くから――

「おーい! 交代の時間ー!」

「飯行ってらー」


「おー。今日はここ全然人来ないから暇だよ」


「まじかー。あれ? もう一人は?」


「神殿の方の道を警備してるよ。前、キモいの落ちてたとこー」

門とは違う砂利道の方を指差し、交代した。



ノアは宿舎の自室に戻り、着替える。

「あーーーしんどい。ちょっと強く言い過ぎたかなぁー。接し方がわからん」


保護されてすぐとか、俺のメンタルぐずぐずだったもんなぁー。

あんまり思い出したくないよねー。こーゆーの。


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