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ひととま  作者: 珈琲
第一章
21/275

20

ハルは家での療養許可が下りた。まぁ退院。


父エリックが病院まで迎えに来てくれた。


「ちゃんと治ったら城下行きたいなー」

ハルは助手席で、足をパタパタさせる。


「そうだなぁ。一週間くらい泊まれば研究所に行く時間もあるだろう。

ゆっくり勉強すればいいさ」

エリックはバックミラーを見ながら言った。


「わぁい」


「今回は一人でよく頑張ったなぁ」

エリックは腕を伸ばし、ハルの頭を撫でる。


たわいのない話をつつも、エリックは落ち着かない様子だった。


……なんだろう?


ハルは気になった。


“ガチャッ”――“チリーン”


「ただいまぁー」

夕方近くに家に着いた。ら。


ハルは目を細める。


大人二人がヒスイさんに抱きついて泣いてるし、ノアに抱きついてる子もいる。

……すごくカオスだ。

あれ?ノアが家にいる……。


「おー。ハルおかえり」

ヒスイが声をかけた。


「あ、おかえりー。もう大丈夫なの?」

ノアも片手を上げる。


「うん、まぁ……大丈夫なんだけど……。どうしちゃったかんじ??」

ハルは首を傾げた。


「いやぁ、バレちゃったかんじー?」

ノアが頭を掻く。


「それ……大丈夫??」

ハルは不安になった。


なんか軽いね?


「どうだろうね?いつかは仕方ないとは思ってたけどさ。

ちょっと早かったかな……」

ノアは少し俯きながら答えた。


「弟さん……王子様なんだよね……?」

ハルは小声で聞く。


王子様が家にいると、逆に自分が場違いに思えてくる。我が家なのに。

なんだか震えますね。


「うん。普通に王子だよ」

ノアは答えた。





「皆さまが兄を助けてくださったのですね。感謝しかありません」

アオトとリンデンが深々と頭を下げる。


「兄様を助けていただいて、ありがとうございます」

第五王子のルカも頭を下げた。


「頭をお上げくださいませ。楽しく過ごさせていただいてますから」

母ユウカは、イケメンが揃っているのでとてもご機嫌だった。

お茶や焼き菓子をどんどん出している。


「まさかエリックさんの家とは……師匠がこれじゃ、そりゃ強くなるよなぁ」

アオトは納得した。


「いいなぁー。俺も稽古つけてほしいなぁ」

リンデンは羨ましそうにノアを見る。


「この話は三人の秘密で頼むよ。

ノアの目的を叶えないと、このままずっと王子たちの悲劇が続くだろう。

今まで通り、普通の態度と評価を続けてやってほしい」

エリックはアオトとリンデンに、深々と頭を下げた。


「頭上げてくださいよ」

アオトとリンデンは困っている。


「まぁ……他の王子達を殺させないってだけですけどね。

先代国王の時代は一人残して皆殺し。その前も死んでる。

扱いやすい王子を残しているのかと思いますし。今回も王子は複数人。

俺とルカが狙われたし、また次もあるでしょう。

誰も殺されなかったら、犯人がボロ出すかもって……」

ノアは石畳で正座をしながら言った。

その膝の上に、ルカが座っている。


「確か何代か前に崩壊しかけたことあったみたいですよね。王太子が大怪我負ったとかなんとか。

さりげなく誰かがやりすぎたって事なのかな……。神は選んで無い、か……」

アオトは顎に手を当てながら考え込む。

「実際は成功してないけど、ノエル王子殿下に対しては成功したと思っているだろう。

次は別を狙うか、再度ルカ王子殿下を狙うか…」

一人でぶつぶつと呟いている。


「敬称とか要りませんので……。

だから俺が内部から犯人探そうかな、と……」

ノアの足は感覚が無くなってきた。


「これ聞いたら協力するしかないじゃん。

最低限、班長になれば城に上がっても不自然じゃないしなぁ」

リンデンはクッキーをつまみ、口に放り込む。


「ああ、そうだな」

アオトは紅茶を飲み、頷いた。


「誰も俺を殺せないくらい強くならなきゃいけないから。まあ理想なだけですけど。

でも不正では嫌だし、贔屓はやめてくださいね。

あと敬語も無しで、今まで通りでお願いします」

ノアはルカの頭を撫でる。

「それとルカは……しっかり勉強して稽古も参加して、殺されない程度には強くなってくれよ」


「……はい……」

ルカは俯きながら、大人しく返事をした。


「他に協力者はいないのですか?

一人じゃ無理がありましょう。知ってればある程度は庇えます」

アオトがエリックに問いかける。


「そうだなぁ……俺の息子。第一騎士団に入団したユキと、救助隊の試験を受けに行ったアキはしっている」

エリックは静かに答えた。


「ユキは俺より全然強いですよ。俺、ほんと勝てないですし」

ノアは何故か誇らしげに言う。


「第一騎士団の方には言わないのですか?」

リンデンが尋ねる。


「まぁ、バレたら、かな。

あまり話が広がったら危ないしな。そもそもノアの身バレが早すぎてなぁ……」 

エリックが呆れながらノアに視線を向ける。


「はい、すみません。ルカが覚えてるとは思わず……」

ノアはしょんぼりと言った。


「ごめんなさい、覚えてたせいで……」

ルカが俯く。


「んー、そう言われるとちょっと複雑……」

ノアは顔をしかめた。



誤字修正と主語追記

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