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ひととま  作者: 珈琲
第一章
21/234

20

ハルは家での療養許可が下りた。まぁ退院。


父エリックが病院まで迎えに来てくれた。


「ちゃんと治ったら城下行きたいなー」

ハルは助手席で、足をパタパタさせる。


「そうだなぁ。一週間くらい泊まれば研究所に行く時間もあるだろうし。

ゆっくり勉強すればいいさ」


「わぁい」


「今回は一人でよく頑張ったなぁ」

ハルは頭を撫でられた。


たわいのない話で盛り上がりつつも、エリックは落ち着かない様子。


……なんだろう?


“ガチャッ”――“チリーン”


「ただいまぁー」

十五時過ぎに家に着いた。ら。


大人二人がヒスイさんに抱きついて泣いてるし、ノアに抱きついてる子もいる。

……すごくカオスだ。


「おー!ハルおかえり」

ヒスイが声をかけた。


「あ、おかえりー!もう大丈夫なの?」

ノアも片手を上げる。


「うん、まぁ…どうしちゃったかんじ??」

ハルは首を傾げた。


「いやぁ、バレちゃったかんじー?」

ノアが頭を掻く。


「それ……大丈夫??」


「どうだろうね?いつかは仕方ないとは思ってたけどさ。

ちょっと早かったかな……」

ノアは少し俯きながら答えた。


「弟さん…王子様だよね……」

王子様が家にいると、逆に自分が場違いに思えてくる。我が家なのに。

なんだか震えますね。



ーー



「皆さまが兄を助けてくださったのですね。感謝しかありません」

団長と副団長が深々と頭を下げる。


「兄様を助けていただいて、ありがとうございます」

第五王子のルカも頭を下げた。


「頭をお上げくださいませ。楽しく過ごさせていただいてますから」

母ユウカは、イケメンが揃っているのでとてもご機嫌。

お茶やクッキーをどんどん出している。


「まさかエリックさんの家とは……師匠がこれじゃ、そりゃ強くなるよなぁ」

と、納得の団長。


「いいなぁー。俺も稽古つけてほしいなぁ」

副団長は羨ましそうにノアを見る。


「この話は三人の秘密で頼むよ。

ノアの目的を叶えないと、このままずっと王子たちの悲劇が続く。断ち切らないと。

今まで通り、普通の態度と評価を続けてやってほしい」

エリックは団長と副団長に、深々と頭を下げた。


「頭上げてくださいよ」

団長も副団長も困っている。


「まぁ……他の王子達を殺させないってだけですけどね。

先代国王の時代は一人残して皆殺し。その前もかなり死んでる。

扱いやすい王子を残しているのかと思いますし。今回も王子は複数人。俺とルカが狙われたし、また次もあるでしょきっと。

誰も殺されなかったら、犯人がボロ出すかもって……」

ノアは床で、正座をしながら言った。

その上に、ルカが座っている。


「確か何代か前に崩壊しかけたことあったみたいですよね。残りの王太子が大怪我負ったとかなんとか。

さりげなく誰かが調整してやりすぎたって事なのかな」

団長は顎に手を当てながら考え込む。

「実際は成功してないけど、ノエル第二王太子殿下に対しては成功したと思っているだろう。

次は別を狙うか、再度ルカ第五王太子殿下を狙うか…」

一人でぶつぶつと呟いている。


「だから俺が内部から犯人探そうかと……」

ノアはだんだん足の感覚が無くなってきた。


「これ聞いたら協力するしかないじゃん。

最低限、班長になれば城に上がっても不自然じゃないしなぁ」

副団長はクッキーをつまみながら言う。


「誰も俺を殺せないくらい強くならなきゃいけないから。

それプラス地位って感じですね。

不正では嫌だし……贔屓はやめてくださいね。

あと敬語も無しで、今まで通りでお願いします。

それとルカは……しっかり勉強して稽古も参加して、殺されない程度には強くなってくれよ」

ノアはルカの頭を撫でた。


「……はい……」

ルカは俯きながら返事をした。


「他に協力者はいないのですか?

一人じゃ無理がありましょう。知ってればある程度は庇えます」

団長がエリックに問いかける。


「そうだなぁ……俺の息子、第一騎士団に入団したユキと、救助隊の試験を受けに行ったアキはしっている」

エリックは静かに答えた。


「ユキは俺より全然強いですよ。

俺、ほんと勝てないもん」

ノアは何故か誇らしそうに言う。


「第一騎士団の方には言わないのですか?」

副団長が聞いた。


「まぁ、バレたら、かな。

あまり話が広がったら危ないしな。ノアの身バレが早すぎてなぁ」 

エリックが呆れたように肩をすくめる。


「仕方ないじゃん。ルカが覚えてるとは思わなかったんだよ」

ノアは不貞腐れたように言った。


「ごめんなさい、覚えてたせいで…」

ルカが俯く。


「んー…そう言われるとちょっと複雑……」

ノアは顔をしかめた。



誤字修正と主語追記

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