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そこへ団長がやってきた。
王子の無事を確認し、保護したうえで馬車に乗せ、居住施設へ送り届けさせた。
団長もやたらこっちを見てくる。
下に目を逸らす。
近づいて覗き込んでくる。
あーやばい。
アイツの弟、ほんとウゼェ。
今は上司。団長で俺よりえらい人!と自分に言い聞かせる。
「…疲れましたので部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」静かに問う。
「明日の昼に会議室まで来い。分かったら部屋に戻れ」
「はい」一礼して、即撤退。
……胃がキリキリ。
同室のグリムは医務室に行っちゃってしばらくは戻らなそう。
よし、防音結界ペタッ!
すぐさまヒスイに電話。
「あ、もしもし?ちょっとどーしよっかなー的な相談ができましてね…」
「ん?どうかしたか?」
ルカにバレたことと、明日の昼過ぎに団長に呼ばれていることを伝える。
「どーしよっか」
「…ちょっとの相談じゃねぇな。エリックさんに電話してみるわ」
「助かるよ」
「もしもしエリックさん。ちょっとご相談がありまして…」
「うん、ちょっとどころの相談じゃないな。今すぐノア呼んでくれ」
ーー
22時過ぎのこと。
グリムには外出するとメモを残し、こっそり窓から出てエリック宅へ。
「た…ただいまぁ〜です〜」
そーっと玄関を開けるノア。
腕組みして仁王立ちしているイカツイ男二人が眼前に現れた!
有無を言わさず石畳のところで、即、正座。
そう、昔からお説教の定位置なのである。
エリックとヒスイ、二人がかりで1時間コース。
スネが痛い。泣きそう。もう立てない。
間違ってないから何も言い返せない!
いつもは三十分くらいで助け船を出してくれるユウカさんは、ハルの病院に泊まり込みで不在。
今の家に天使は居ないということ。悪魔しかいない。俺今日、頑張って戦ってきたんだよ?
「バレたなら仕方ない。まとめて呼んで話すか。明日の昼に団長、副団長、ルカ様を呼んでくれるか。一通り話すのがベストだろう。ルカ様も知ってる仲間がいれば気が楽だろうから」
「弟に渡せばすぐわかるように手紙書いとくわ」
と冷静にまとめられ、説教タイム終了。解散。
「あ……ごめん、痺れて立てない…」
疲れもあって玄関でそのまま寝落ちした。
犯人にバレたら殺されちゃうかもだからね。それを振り切っての入団ですし。そりゃぁキツイお説教タイムですよ。
漢数字に訂正しました。




