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ひととま  作者: 珈琲
第一章
10/104

9

結局王子の遺体は見つからなかったが、ノエルの母である第二王妃は頑なに

「見つからないのなら葬儀もしませんし、認めません!ノエルが死んだなんて信じません!」

そのため、何かしら手がかりを見つけるまで、探し続ける予定であった。


第一王妃は、それを「みっともない」と思っていた。


ノエルには、3歳下の妹スティアと、5歳下の弟ルカがいる。

「次に狙われるのでは」との懸念から、彼らの護衛は増やされていた。


第一王妃センティアと第二王妃シルヴィアは非常に仲が悪く、その険悪さは大臣たちをも悩ませるほどだった。


現国王のエイラエルとシルヴィアは学生時代からの恋人同士。

しかし、センティアが家柄を理由に割り込んできた。

彼女は純粋な魔族の名家の娘であり、左大臣アーノルドの甥の娘でもあった。政略上の思惑から第一王妃とされた。


先代の国王は、あまりにも発言力が弱かった。

兄弟は皆、事故や病死、暗殺によって命を落とし、自身はかろうじて生き延びたにすぎない立場だったから。


右大臣を納得させるため、血縁者の娘マーガレットを第三王妃として迎えることとなった。


エイラエルは、センティアとマーガレットに対して愛情を持てないことをはっきりと伝えていたため、第一王妃は常に、第二王妃より上に立つことだけを考えていた。


第一子懐妊のタイミングはシルヴィアの方が少し早かった。

が、それに強い嫉妬を覚えたセンティアは、第一王子を無理やり一週間早く産んだ。


一方で、ニ歳年下の第三王妃マーガレットは特に気にしておらず、「優雅に暮らせるならそれでいい」と割り切っていた為、第二王妃シルヴィアとは仲が良かった。



ーーー


「シルヴィア姉様、お身体の方はもう大丈夫なのかしら?」

マーガレットが心配して声をかける。


「ありがとう。そうね…何年、時間を無駄にしてしまったのかしら。ノエルには、本当に何もしてあげられなかったから…。生きているなら、謝りたいわ…」


「センティア様は異常よ。異常。人間を下に見過ぎているわ。

ところで、ノエル様の情報は何かありましたかしら?」


「まだなのよ。でもね、本当に何も見つからないの。あんなに大きな剣もないし、衣服の破片すらないのよ。

きっと誰かに助けられているのかもしれないわ」


「そうですわよね。魔物が強くても、剣までは食べませんもの」


「名乗り出てこないのはショックで記憶を失っているのかもしれないわ」


「病院関連はお調べになりましたか?

何か手がかりがあればいいのですが……。私の方からもナコル叔父様に掛け合っておりますの。けれど……何もなさそうですわ」


「スティアとルカも心配ですし、ローラン王子もお気をつけくださいませ」


「そうね。今護衛を探しているところよ。実行犯は処刑されたけれど、それでもなんだか落ち着かないのよね」


中庭でお茶をしながら、二人は今後のことを語り合っていた。

文字数増えました。

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