はじまり
むかーし、むかし。
森と湖と山と海ばかりだった頃のこと。
この世界には、二つの種族が仲良く暮らしておりました。
ひとつは 人族。
力は弱いけれど、器用で辛抱強く、仲間と力を合わせて生きる人たち。活発で愛嬌のある人たち。
文字を作り、文化を広げ、魔法に憧れを抱いていました。
もうひとつは 魔族。
生まれながらに魔法を使いこなし、強い力を持つ者たち。
その姿は美しく、人族も守り、国をまとめる人たち。
人族と魔族は互いに憧れあい、やがて混ざり合っていきました。
人族と魔族の間だから、彼らは「人間」と呼ばれるようになりました。
ところが……。
混ざることで魔法は弱まっていきます。
それを恐れた魔族たちは、禁じられた実験を始めてしまいました。
そしてある日、ひとつの失敗が世界を崩壊させてしまったのです。人間だった人たちはたくさんの魔物となり、人族も魔族も襲う魔物へと、変貌してしまいまし。
国々は滅び、文明は失われました。
人々は荒れ果てた大地を離れ、東の大陸に新たな国を築きました。
そして「もう二度と過ちをくりかえさぬように」と、禁忌を決め、国を守る騎士団をつくったのです。
それから、長い長い時が流れました。
人も魔族も人間も、災いを忘れ、平和に眠るように生きておりました。
けれどもーー。
かつて滅んだ西の大地で、ひっそりと息をひそめていた魔族の一部が、
東で幸せに暮らす人々をうらやむようになっていったのです……。
初めての投稿です。お手柔らかにお願いしますー。
シンプルに整理しました。お話の流れに変更はありません。




