大会への道のり:模擬戦とサポート
クラス対抗戦の出場メンバーが発表されてから、僕たちのクラスの授業には、大会に向けた練習が加わった。選ばれた僕たちはもちろん、選ばれなかったクラスメイトたちも、それぞれが大会を成功させるために動き出した。
僕のチームメイトであるルーイは、大会のメンバーに選ばれず、残念そうな表情をしていた。だけど、彼女は賢いから、自分の体力が競技には向かないことを冷静に理解していたんだ。だから、すぐに気持ちを切り替えて、僕たち出場メンバーを献身的にサポートしてくれた。対戦相手のデータ分析をしたり、僕たちの動きを記録して改善点を洗い出したり。彼女は他のクラスメイトにも率先して指示を出し、練習を手伝ってもらっていた。ルーイの支えがあるから、僕たちは安心して練習に打ち込めたんだ。
そんな中、僕は、ムーンとの模擬戦をすることになった。彼が《クラス・デ・ゼトランジュ》にいることは知っていたけど、正直なところ、彼が剣を持っているところを見るのは、今日が初めてだった。
ムーンは、片腕で木剣を持ち、もう片方の手で頭をかきながら、飄々とした様子で僕の前にやってきた。その見た目からは、まるで強さを感じなかった。本当に、彼が決闘の代表なんだろうか?
僕は、いつものように両手で木剣をしっかり握り、練習で培った剣術を繰り出した。マナの流れを感じ、体が軽く動く感覚を確かめながら、流れるような剣線を放つ。僕の剣は、以前よりも確実に上達していた。クラスでの模擬戦では、もう負けることはほとんどなかったし、レイとの鍛錬でも、少しずつだが手応えを感じ始めていた。
しかし、ムーンの前に放たれた僕の剣は、いとも簡単にいなされた。まるで、僕の剣の軌道を全て見透かしているかのように、最小限の動きでかわされる。僕がどんなに早く剣を振るっても、どれだけ複雑な連撃を繰り出しても、彼の剣には全く届かない。まるで、そこに壁があるような感覚だった。
何度か攻撃を試みた後、ムーンは僕の剣を軽く受け流し、ニヤリと微笑んだ。
「キミの剣は、正直すぎる。キミとそっくりだね」
その言葉に、僕は何も言い返せなかった。彼の言う通り、僕はまっすぐに剣を振るうことしか知らない。ムーンの底知れない強さに、僕はただ立ち尽くすしかなかった。彼は、本当に何を考えているんだろう? そして、彼が本気を出したら、一体どれほどの強さを見せるんだろうか。