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クラス対抗戦メンバー発表

夏の熱気がアカデミーを包み込む中、僕たち《クラス・デ・ゼトランジュ》の生徒たちは、いつもの教室に集まっていた。今日は、年に二度行われるクラス対抗戦の、出場メンバーが発表される日だ。僕の胸は、期待と少しの緊張でドキドキしていた。僕たちのクラスは全部で24人。全員が選ばれるわけじゃない。

ミスト先生は、教壇の前に立ち、いつものように穏やかな声で話し始めた。

「みんな、夏のクラス対抗戦に向けて、日々の訓練、ご苦労さま。今日は、その成果を発揮する代表メンバーを発表する」

ざわめきが起こる中、先生は続けた。

「今年の対抗戦の種目は三つ。体力、力比べ、そして決闘だ。それぞれの種目から、二名ずつ代表を選出する」

僕は、ゴクリと唾を飲み込んだ。どんなメンバーが選ばれるんだろう。

「まず、体力種目」

ミスト先生は、教壇のボードに大きく「体力」と書き込んだ。

「代表は、フィル、そして…リゼだ」

「やったー!」

フィルが、隣にいたリゼとハイタッチをする。リゼは、フィルほど足は速くないけれど、地味な長距離走や持久力系の訓練では誰よりも粘り強い女の子だ。みんなも、納得したように拍手を送っていた。フィルとリゼなら、きっと良い成績を出してくれるだろう。

次に、ミスト先生は「力比べ」と書き込む。

「続いて、力比べ種目」

「代表は、ローディアス、そして…ゼオだ」

「うおおお! やってやるぜ!」

ローディアスが、まるで雄叫びのように叫んだ。隣にいるゼオは、普段は大人しいけれど、実は隠れた怪力を持つ男の子だ。彼らは、入学当初から、アカデミーの食事を誰よりも楽しみにしている、食いしん坊コンビでもある。彼らの笑顔を見て、僕も自然と笑みがこぼれた。

そして、いよいよ最後の種目だ。僕が最も得意とする剣術を披露できる「決闘」。僕の胸の鼓動は最高潮に達していた。

ミスト先生は、ゆっくりとボードに「決闘」と書き込んだ。

「そして、最後の種目、決闘の代表は…」

教室に、静寂が訪れる。みんなが固唾を飲んで、先生の言葉を待っていた。

「一人目は…シエル」

「えっ!?」

僕の名前が呼ばれて、僕は思わず声を上げてしまった。選ばれた! 剣術で、僕が! 驚きと喜びが同時に込み上げてくる。僕の周りの仲間たちも、一斉に僕の方を見て、興奮した顔で拍手してくれた。ローディアスが「お前ならできる!」と親指を立ててくれた。

「そして二人目は…ムーンだ」

ミスト先生が告げた瞬間、教室は一気にざわついた。さっきまでの僕への拍手とは違う、戸惑いと困惑の声が入り混じったざわめきだ。

ムーン。彼は、僕たちのクラスメイトだ。いつもどこか上の空で、授業中もよく居眠りしている。特に、実技訓練ではサボりグセがあることで、みんなには知られていた。彼の剣術の腕前は、決してひどいわけではないけれど、真剣に練習している姿をほとんど見たことがない。そんな彼が、なぜ、決闘の代表に?

僕自身も驚いて、ムーンの方を見た。彼は、相変わらず窓の外をぼんやりと眺めていて、自分の名前が呼ばれたことにも、クラスメイトたちのざわめきにも、まるで我関せずといった様子だった。彼の長い前髪が、その表情を隠していて、何を考えているのか全く分からない。

ミスト先生は、そんな僕たちの反応を気にする様子もなく、穏やかに締めくくった。

「以上が、今回のクラス対抗戦に出場する代表メンバーだ。選ばれた者は、残りの期間、さらに研鑽を積むこと。そして、選ばれなかった者も、君たちの成長は止まらない。今回の対抗戦は、チームとしての大きな経験となるだろう」

僕の胸の中では、興奮と、ムーンへの疑問が渦巻いていた。僕が代表に選ばれたことへの喜び。そして、ムーンという、謎の存在。クラス対抗戦は、一体どうなるんだろう?

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