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初めてのレベルアップ②

一人ずつ部屋に呼ばれていく。ローディアスやフィル、ルーイが部屋に入っていく姿を見送り、しばらくして彼らが出てくるたびに、僕の心臓はさらに速く鼓動した。そして、ついに僕の番が来た。

「次の方、どうぞ」

扉の向こうから呼ばれる声に、僕は大きく息を吸い込み、鑑定士の部屋へと足を踏み入れた。部屋の中は、思っていたよりも簡素だった。中央に小さな台があり、そこに灰色のローブを着た鑑定士が立っていた。彼の顔はフードの影に隠れていて、表情は読み取れない。

「持っているものを、その台の上に」

鑑定士の低い声に促され、僕は先日、みんなで力を合わせて手に入れた魔石を台の上にそっと置いた。青白い光を放っていた魔石が、台の上でかすかに輝いた。

鑑定士は、その魔石にゆっくりと手をかざした。すると、部屋全体が、まるで僕の知っているどの色とも違う、柔らかな光に包まれた。その光は、魔石から溢れ出しているようにも見えたし、鑑定士の手から放たれているようにも感じられた。

鑑定士は、その光を見つめて、フードの下でニコリと笑ったように見えた。僕には、彼が何を考えているのか、全く分からなかった。だが、その笑みが、僕の不安を少しだけ和らげてくれた。

そして、鑑定士は魔石から手を離し、ゆっくりと僕の方に手をかざした。

僕の体が、一瞬にして熱くなった。そして、僕の目の前で、鑑定士の手から放たれた光が、鮮やかな赤色と、優しい緑色に変わったんだ。二つの色が絡み合い、まるで生きているかのように踊りながら、僕の体の中へとゆっくりと吸い込まれていく。それは、とても暖かくて、心地よい感覚だった。僕の紋章は「赤色」だとされているけれど、なぜ緑色の光が混ざっているんだろう?

光が完全に僕の中に収まると、鑑定士は静かに手を下ろした。そして、僕の目を見て、ただ一言だけ告げた。

「あなたのレベルは、3です」

それだけを告げると、彼はそれ以上何も言わなかった。僕は言われた通りに、部屋を出た。頭の中は、今見た光景と、鑑定士の言葉でいっぱいだった。僕のレベルは3。これは、良い方なんだろうか? そして、あの赤と緑の光は何だったんだろう? まるで、僕の知らない僕が、体の中にいるような、そんな不思議な感覚が残っていた。

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