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初めてのレベルアップ①

夏のクラス対抗戦が近づいてきたある日の午後、いつものように訓練を終えた僕たち《クラス・デ・ゼトランジュ》の生徒たちは、ミスト先生に呼び集められた。

「みんな、今日は素晴らしいニュースがあるよ」

ミスト先生は、いつもの穏やかな笑顔で僕たちを見渡した。彼の言葉に、僕たちの間に期待とざわめきが広がる。

「これまで君たちが積み重ねてきた努力、そしてチームとして成し遂げた成果を、今日、正式に確認しに行こうと思う」

先生の言葉に、僕の胸が高鳴った。「成果を確認」? それはもしかして、僕たちが手に入れた魔石のことだろうか。

「さあ、ついてきてごらん」

ミスト先生は、そう言って僕たちをアカデミーの建物から少し離れた場所へと連れて行った。そこは、普段僕たちが立ち入ることのない、少しひっそりとした建物だった。入り口には、古めかしい木製の看板が掲げられている。そこには、この国ではあまり見慣れない、特徴的な文字が書かれていた。

「ここは…?」

ローディアスが首を傾げた。フィルもルーイも、少し緊張した面持ちで建物を見上げている。

「ここが、通称**『鑑定所』**だよ」

ミスト先生がそう教えてくれた。鑑定所。つまり、僕たちのレベルアップが行われる場所だ。僕は以前、鑑定士の存在と、魔石のマナを体内に移し替えることでレベルアップするという話を聞いていた。ここがその場所なんだ。

中に入ると、外見からは想像もできないほど広々とした空間が広がっていた。薄暗い中に、いくつかの不思議な装置が並び、独特のマナの匂いが漂っている。部屋の奥には、白いローブをまとった数人の人物が、静かに立っていた。彼らが、鑑定士と呼ばれる人たちなんだろう。

ミスト先生は、僕たちを鑑定士の一人の前に連れて行った。その鑑定士は、僕たちと同じくらいの背丈だけど、顔には深い皺が刻まれ、その目は全てを見通すかのように澄み切っていた。彼らは、僕たちがこの3ヶ月でどれだけ成長したのかを、見極めることができるらしい。

「それでは、今日この場に来た全員の、現在のマナの波動と、成長の度合いを確認します」

鑑定士の重々しい声が響き渡った。僕の胸の鼓動が速くなる。僕たちは、今まで《クラス・デ・ゼトランジュ》で経験してきたこと、ミスト先生の奇妙な課題、仲間たちとの協力、そして手に入れた魔石を思い出した。

僕はまだ、自分がどれだけ成長したのか、どんな「レベルアップ」をするのか、全く分からなかった。だけど、この3ヶ月で、僕の体の中に、そして心の中に、確かに変化が起きていることは感じていたんだ。

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