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世界の成り立ち

世界は六つの色で彩られていた。

灼熱の赤が支配する武術の国。

深遠なる青が広がる魔法の国。

生命の息吹を宿す緑の自然の国。

知と創造の黄に輝く創作の国。

未知への衝動を秘めた橙の開拓の国。

そして、絶対の秩序を統べる紫の帝王の国。

それぞれの国は、その名の通り、特定のギフトを持つ者たちによって築かれ、繁栄を極めていた。

世界の中心には、すべての生命の源であり、ギフトを授けるとされる巨大な世界樹がそびえ立つ。生まれたばかりの子供たちは、皆この神聖なる樹のもとへ運ばれ、新樹官と呼ばれる者によって掲げられる。その瞬間、子供の体に紋章が浮かび上がり、放たれた一瞬の光の色が、その子が授かったギフトの種類を示すのだ。

しかし、ギフトはただの力ではない。それは、その者の生きる道、属する国、そして未来を決定づける運命そのものだった。中でも、千人に一人の割合で、極めて優れた才能を持つとされる子には、紋章と共に神具が授けられる。その神具は、そのギフトの頂点に立つ12神将が持つ「絶対の守護」を司る力と同じもの。神具を授けられた子は、将来の神将、あるいは軍や街を治める者として、特別な教育を受け、20歳まで神具を持ち続けることができれば、一万人に一人の指導者へと登り詰めることが約束されていた。

だが、この一見平和で秩序だった世界は、静かに、しかし確実にその均衡を失いつつあった。各国は年々自国の力を肥大させ、互いの領土や思想を尊重しなくなっていたのだ。赤と青、武術と魔法は長きにわたり敵対し、緑と黄、自然と創作は相容れず、橙の開拓はただひたすら己の利益と拡大に邁進し、紫の帝王は全てをその支配下に置こうと野心を剥き出しにしていた。

このままでは世界は破滅に向かう——。

世界樹はそう危惧していた。

そして、この六つの色に彩られた世界の、その背後には、常に一つの国が存在していた。

それは、「魔国まこく」。

見えないけれど、確かにそこにある。

決して口に出してはならない、忌まわしきその国の名は、世界の住民にとって最大のタブーであり、畏怖の対象だった。

街や村にははっきりとした境界線が引かれ、その外側には凶暴な魔物が跋扈していた。魔物を倒すことはギフトの成長に欠かせぬ日々の鍛錬であり、同時に世界が直面する脅威の現実でもあった。

それでも、世界には希望もあった。

それぞれの国には、異なるギフトを持つ人型、獣型、エルフ、ドワーフといった多様な種族がサポーターとして存在し、互いに協力し合うことで、何とか国の機能を支え合っていた。

世界樹は、このままでは滅びゆく世界の運命を変えるために、一つの手を打った。

全てを統べ、調和をもたらす存在を、この世界に送り込むことを決意したのだ。

それは、やがて**「運命の子」**と呼ばれることになる、二つの星の物語の始まりだった。

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