初めての異変解決 中編
ドリィは再びドラゴンのもとへ行く。
前回との違いはその目的だ。
「さあ来い!」
ドリィは魔法で光線をうってドラゴンの気を引く。
当然ドラゴンは炎を吐いて攻撃しようとするが、その瞬間!
ドリィはドラゴンの口の中に向かって手のひらサイズの袋を投げた。
そう!あの袋は俺特製の爆弾だ。
植物の中には種を吹き飛ばして生息地を増やす奴がいる。
小学生の時に育てたホウセンカとかな。
そんでその中には乾燥で破裂する植物もいるのだが、こうは思わないか?
植物の爆発程度でドラゴンを倒せるのか?と。
ふっふっふっ...
無理だ!
一瞬でもいけるのかと思った君には生物赤点以下の称号を与えよう。
考えてみろ。
奴の体は光線でも大した傷にならないくらい硬い鱗に覆われていて、鱗のない腹の方はこれまた光線が効かないくらい分厚くて硬い皮膚がある。
前に見たアニメでは口の中が弱点だったが、よく考えたら炎を吐いてるんだからそれに耐えらるようになってるに決まってるじゃん。
対物理性能がこんなに高い奴に種ぶつけた所でダメージ与えられるわけないじゃん。
あ、今君が思ったことを代弁してやろう。「じゃあどうするのこれ。」
たしかにドラゴンのことばかり考えているとムリゲーのように感じるだろうが、大切なのは今の自分にできることも考えることだ。
今度はこっちの状況を考えてみよう。
こっちにはドラゴンに勝るとも劣らない機動力を持つドリィがいる。
後は俺が植物を召喚できる。
以上だ。
あ、今君が思ったことを代弁してやろう。「だからどうするのこれ。」
さて、そろそろ勘違いをしてる人にも教えてやろう。
最初に言ったけど、そもそも植物が種を飛ばすのは攻撃ためではないんだ。
そして植物が持つ攻撃の手段、それは毒だ。
もう分かったね。
外傷を与えられないドラゴンを倒す方法、それは毒の種を飛ばして無理やり入れるというもの。
毒のある植物を口に入れても炎を吐く時、同時に燃えるだけ。
だから爆発の勢いでそのまま体内に入れるんだ。
水分を多く含んでる葉でくるんで投げると、ある程度の熱に耐えながら投げ込める。
水分がとんで乾燥すると爆発して、その勢いのまま胃の中へGo!って算段だ。
一個で倒せる訳ないので大量に必要だし、そもそも毒が効かない可能性もあるが、そんなのやってみないと分からないだろ?
ドリィはうまくやっているようだ。
さて、俺は効果が出るまで待っている暇はない。
森の炎を消化しないと。
ただこれはドラゴンと比べて対処しやすい。
燃え移りそうな木と燃えている木を召喚で一か所に集めて一旦終わり。
さてそろそろ効果が出てきてもいいんじゃないか?
ここまで簡単そうに言ってるが、実は作戦を始めてから何時間か経っている。
いつの間にか月が落ちて太陽が見え始めてるのがその証拠。
ドラゴンもドリィも疲れて動きが遅くなっている。
特にドラゴンの方は毒が効いているようで、傷こそ無いがドリィの攻撃でよろけている。
よし、次で終わらせる。
俺はドリィを召喚で呼び寄せた。
「はあ、はあ、マスター...」
「ここまでありがとう、あとはまかせて。」