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植物図鑑、神になる 前編

俺の目の前には一輪の花がある。


生い茂った植物に囲まれた花畑。風も虫もないこの空間でその麗らかな彩りを保っていられるのは、中央に悠々と佇んでいる巨木のおかげだろう。その幹から放たれる存在感と威圧感が踏み込むことを躊躇させるが、そこから伸びる枝や葉が包容力あるオーラで「こっちへおいで」と呼びこんでくる。

そんな異様としか言えない巨木の頂上にあるもの、下からでも見える七色に輝くもの。

その正体は1輪のユリの花だった。


いままでに見た中で最も美しいその花は1000番目にふさわしい風格がある。

「これで1000種類突破だ!」

俺はその花に触れ、その感動を『ドリュアス』という名と共に登録した。

すると

『レベルがMaxになりました。スキル[植物図鑑]が進化し、[植物神]になりました。』

という文字が現れた。

スキルって進化するんだ。

うん、自分でも驚きが少ないと思う。

でもしょうがないだろ?武王、魔法王と来て植物神てのも合わないし、死んでから進化してもなぁとも思うし、何より死んだ後にこんなに美しい花を見れた感動の方が大きいんだもん。


よし、落ち着いてきたしスキルの確認をしよう。

たしか植物図鑑は100種類ごとに1上がって、行ける場所が増えるだけだったな。

とやっと動きだそうとしたところ、俺はまたもや足止めを食らうことになった。

「マスター、そろそろ私に触れていただいても?」

「うわ!びっくりした!ってうわあああああ!」

突然後ろから女の声が聞こえて、驚いた俺は足を踏み外して落ちてしまった。

木の枝にぶつかりながら2日程かけて登った道のりが一気に遠のいていく。

その光景を目の当たりにしながら「あ、死ぬんだ」と思った。いやもう死んでるんだけど。

だがそれでも怖いものは怖い。

走馬灯がちらちらと脳裏に映る。

これといったイベントのない前の世界17年より今の世界に来てから少しのほうが走馬灯が多い事に解せない気持ちになりながらも、ここにきて俺の今世での理不尽が多すぎることへの苛立ちが込み上げてきたが、もう遅い。

俺は目を閉じて衝撃に備えた。


だがまたしても俺の想定していたことは起こらなかった。

いつまでたっても地面に激突する感触がしてこない。それどころか落ちてる感覚も無い。


「マスター、マスター、目を開けてください。」


さっき聞こえた女の声が聞こえた。

言われたとおりに目を開けると、俺は花びらに包まれていた。

この花が受け止めてくれたのか?

たしかこの花は熱帯雨林にいるはずの[トランポリシア]なんでこんなところに?


「マスター、そろそろ私に触れていただいてもよろしいですか?」

「あ、ごめん忘れてた。君は一体?」

「私の名はドリュアス。貴方様にお仕えする従者です。」

...は?

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