異世界転移! 後編
目が覚めると俺は草原に寝ていた。
そうだ、たしか俺はあの魔法使いに殺されたんだ。
ということはここは死後の世界ってことか。
これからどうすればいいんだろう。いや死んでるんだからこれからもくそもないか。
その時ふと疑問に思った。
今はスキルが使えるのかなと。
試しに足元の草に触れて見る。すると『ヘイゲンシバ』として脳内図鑑に登録された。
どうやらスキルは使えるようだ。
まぁでもこんなスキル使えたところでなんだってはなしだが。
...図鑑埋めでもしてみるか?
何もしないでいるよりかはましだよな、うん。
あっちにはいかにもタンポポみたいな花もあるし、こっちにもいろいろある。
‶それなりに"楽しめそうだ。
と、そんな風に思っていた時期が俺にもあった。
いままで何もしてこなかったから知らなかったが、意外にも俺はハマったらのめり込むタイプらしく、来る日も来る日も図鑑を埋めていた。
腹が減れば草を食い、夜が来れば草原という名のベットで眠っていた。
そして図鑑はあっという間に100種類を超え...
「なんだこれ?」
突然目の前に現れたのは『レベルアップしました。[移動]を使えるようになりました。』という文字だった。
なんだこれ?レベルアップ?移動?
スキルってレベルアップするんだ。それで新しく移動を使えると。
なんで図鑑に移動の機能が?と思いながらゲームのウィンドウのような『移動』という文字に触れてみると、『草原』『荒原』『森林』という文字に変わった。
移動というのは文字どうりの効果のようだ。
荒原ってどういうところなんだろう、他二つより想像しにくい。こんなことならもっとちゃんと勉強するんだった。
とりあえず植物多そうだし森林に行こう。
『森林』の文字に触れると、視界に光が溢れて体がふわっと浮いた感覚がした。
エレベーターのようなワープを終えて光が落ち着く。
俺の周りはさっきまでとはまるで違い、木々がうっそうとしていた。
ようし、これでもっと図鑑が埋められるぞ!
そうだ!
森林ならハンモックとか作れないか?
食えるものも多そうだ、果物とか。
明らかにさっきの草原よりも種類が多いし、ここで爆速レベル上げができそうだ。
俺は気合を入れ直し、近くのものから次々と図鑑に登録していった。