異世界転移! 中編
「これからどうしよう...」
俺は部屋のベッドに寝転んでうつむく。
金髪こと福田は武王、前髪君こと中澤は魔法王というスキルを神様から受け取った。
正直俺もその二つがでたら後は何のスキルがいるのか分からなかった。賢王とか?
まぁそれでも期待はしてたよ。どんなかっこいいスキルなのかなって。
それが植物図鑑って何よ、いやがらせか?
あの時の「え?なにそれ?」みたいな空気どうしてくれるんだ。
てか俺が赤点とったの生物なの神様知らなかったの?
いや、そんなものは些事だ些事!
植物図鑑なんていうものだからこの世の植物を網羅していると思ったらゼロ!
なんにも分からない!
できることは触れた植物の名前と見た目が脳内にある図鑑に登録されるだけ。
実物に触れないと発動できないし、登録したところで誰かにみせられるわけでもない。
使えるかこんなもん。この世界の植物図鑑のほうが優秀ってなんだよ。
これが現実なわけない。そうだ、これは夢なんだ。きっとそうなんだ。
しかしこれは現実で、俺の現実逃避はノックの音で阻止された。
「佐野、いるか?」
「どうした?」
扉の外から聞こえた福田の声に返事をして扉を開けると、そこには黒い鎧の兵士が3人立っていて、福田はいなかった。
「貴様には死んでもらう。」
「...は?」
どういうことだ?死ぬ?俺が?なんで?
「なぜ殺されるのか分からないようだな。」
兵士後ろの後ろから福田の声が聞こえた。よく見ると、そこには黒い服に身を包んだいかにもな魔法使いがいた。声の正体はこいつか?
「よく気付いたな、どうだ?これが魔法の力だ。素晴らしいだろう。」
俺の疑問に魔法使いは魔法で声を変えながら答えた。となると動けないのもこいつの魔法か?
てかそんなことよりこいつ、心が読めるのか?
「貴様は多少勘が働くようだ。それならいずれ分かることだろう。」
魔法使いがこちらに手をかざすと俺は意識を失った。