表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎の獅子の試練~魔女からの贈り物~  作者: 大月クマ
オレ、占部洸。15歳
8/10

停学処分

「カンニングしただろう」

 試験結果は上々だった。だが、担任は(うら)()(あきら)が不正をしたと決めつけた。

 まあちょっとやり過ぎた感はある。

 いきなり、学年トップ10に入り込んだから、疑われても仕方ないのであろう。

「――いいえ」

「ウソをつくんじゃない!」

「――いいえ」

「正直に言えば、今なら許す」

「――いいえ」

「貴様ッ!」

 ただ成績が上がっただけなのに、彼女は理不尽にも停学2週間を喰らってしまった。


 ――救え! ウラベ・アキラを救えなかったじゃないか!


 異世界の住人であるマイケルは、学校で情報収集を行おうとしていた。しかし、憑依している少女は登校もままならず、人付き合いもしていない。ならばと、真面目に行って、情報収集のために自分の落ち込んでいた成績を上げた。

 その結果が、不正を疑われ、停学2週間。

 あの魔女。(いち)()の頼んだ魔法具が届くのに、あと1週間。


 ――他に情報収集する方法はないのか?


 占部の記憶には『夜の街』が、情報が集まる。と、記憶していた。まあ、彼女がいた異世界でも、情報収集といえば『夜の街』なのだが……


 ――この日本の夜の街って、こんなに明るいの!?


 異世界の彼女にとっては、驚くことばかりだ。電気の明かりは、魔法ではない何か……錬金術の延長の科学とかで、彩り豊かに輝いている。


 ――どうすべきか……


 正直、彼女はどう情報収集すべきなのか解らなかった。

 ただ、占部の記憶……路地の曲がり角に立っていて男が来たら話をしろと。そして、『何かあったら路地裏に逃げ込め』と――

 しかし、

「仕事の邪魔だ!」

「ちょっと、なにこの子――」

「ガキの来るところじゃねぇぞ!」

 先程から遠巻きに、人々は近づくどころか、避けて、罵倒して、どこか行けと厄介払いする。

 これでは情報収集なんて出来やしない。


 ――格好が悪いだろうか?


 そうは思ってみたが、外出する着替えがほとんどなかった。一夜は、『この世界の常識は、占部の記憶を頼れ』と言われてはいたが、例によって、マイケルは拒否反応を起こしていた。布の量が少ない事に――。

 仕方がなく、セーラー服で来たわけだが、これが問題なのであろう。

「お嬢ちゃん。ちょっといいかな?」


 ――ヤバい!


 ニコニコと人の良さそうな青い制服――警備隊(警察官)というヤツだ。

 関わるな、ウラベ・アキラの記憶が警告する。

 彼女はとっさに振りかえって走り出した! だが、

「暴れない。ちょっとあっちでお話を聞こうか……」

 腕を捕まれて逃げられない。


 ――何だ、こいつ! 本当に人間の力か?


 人間の力ではないと感じた。

 彼女は左手首を掴まれているが、その握力に痛いぐらいに食い込んできた。いくら占部という少女になったとはいっても、人の力の強さはわかる。

 引きずられるように、警察官に連れていかれた。

 薄暗い路地裏へと――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ