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炎の獅子の試練~魔女からの贈り物~  作者: 大月クマ
オレ、占部洸。15歳
7/10

占部を救え!

 憑依しているためか、記憶が段々と上書きされていく。それに合わせて、元の世界にいた時の記憶が薄れていった。だが、『マイケル』であったこと。『世界を救う』ことだけば絶対に忘れてはいけない。

 魔女・(いち)()の話によれば、通販で頼んだ天球儀は、届くまでに2週間ほどかかるという。

 その間、特になりもすることがない、(うら)()(あきら)ことマイケル・マーティン=グリーン。だから、他のアプローチも考えてみた。


 ――世界を救え。まずこの占部洸を助けないと。


 何せ、彼女(マイケル)にとって許せなかったこと。

 今の自分が……占部洸が、控えめにいってクズだったことだ。

 自分自身を嫌っているだけではなく、親も嫌っている。片親だけ(シングルマザー)で周りと違うのは、確かに両親の所為かもしれないが、それで自分を嫌っているのは、理解できないでいた。

 ()()()()()()()()()の情報収集として、この間、学校にいった。しかし、友達らしいのもいない。占部はクラスメイトと距離を取っているし、周りもそうだ。

 クラスの担任なる人物は、何とか打ち解け合おうとした記憶が、自分には合った。だが、彼女が憑依する前に、諦めたようだ。

 今は、冷たくあしらっている。

 それで他の人も信用せず、学校でも一匹狼を気取っていた。

 なので、窓際の端っこにひとりでいるか、授業があっても非常階段の片隅で、しょぼくれているだけだ。


 ――()()を救え!


 マイケルは、まず自分を救わなくてはいけない気がしてきた。

 クズだと思ったのは、先程述べた人間関係もそうだが、自分自身の頭が悪い。

 成績の話だ。


 ――こいつ本当に馬鹿だな。


 どうすべきかと、彼女が悩んだ結論は、単純。勉強をすることだ。

 授業にまともに出ていない。だから(成績)が悪い。

 なので、この世界の授業に参加した。周りからは不思議がられたが……それ以上に、マイケルが驚いたのは、日本の言葉だ。

 ひらがな、カタカナ、漢字……漢字が最悪だ。

 今まで勉強していなかったのか、占部の記憶にはほとんど漢字の記憶がない。数学はまだ10進数なので、この世界の数字と記号を覚えれば軽いものであった。

 ただ問題文を理解できない。漢字の所為で。

 あげくに英語(外国語)まで加わってくる。


 ――この世界の教育は、どうなっているのか!


 怒っても仕方がない。無い物は手に入れるしかない。

 クラスメイトの話を聞いていると、近々試験があるらしい。


 ――|見返してやる《占部という女子を救える》のはそこか。


 ということで、片っ端から教材を探した。

 占部には子供の頃からの、教材は捨てていたようで、書店に行って、有り金をはたいて買い込んできた。

 日本語はマイケルにとっては、外国語のようなものだ。

 楽ではないが、越えられない壁でもなかった。

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