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炎の獅子の試練~魔女からの贈り物~  作者: 大月クマ
オレ、占部洸。15歳
6/10

新たな魔法具

(うら)()さん、()()()、この世界の記憶を元にしてくれてイイと思います」

「はい。そうします」

 占部(あきら)ことマイケル・マーティン=グリーンは着替えながら、記憶を漁った。依り代にしているこの現代日本の15歳の少女からしたら、今、彼女の姿はあまりにも滑稽であったことを、思い知らされている。

 下着、ブラジャーなども家に忘れいるので、魔女・(いち)()の提案通り、体操着を着込み、その上から制服を着ることとなった。

「まず、気になるのはお前が、オレの話をまともに受け止めたことだ」

 占部が切り出したのは、目の前の魔女・一夜が、自分が異世界の住人などと言う話を笑わなかったことだ。

 普通、こんな話を聞いて依り代の記憶を頼るとしたら、笑われるのか筋だ。

「世の中変わった事がある……では、説明が――」

「説明は付かないなぁ。そんな話、異世界が実際に存在することを、確実に理解していないと納得はしないだろ?」

「では――難しい説明は抜きにして……

 アタシ達、魔女の中では『この世はひとつではない』と考えています。元にアナタが、『異世界』から来たというのであれは、それは本当のことでしょう」

「だから、異世界を信じると? なんか騙されているような――」

「信憑性が足りないですか? アナタが着替えている間に、ちょっと頼んだものがあるんです」

 と、一夜は手元のスマホを占部に見せる。

 そこには大手通販サイト『Mangrove(マングローブ)』の画面が映し出されていた。そして、商品を何か買ったらしい。

「天球儀っていうそうです」

 画面に映し出されているのは、金色の天球儀だった。

 占部の記憶にはないが、マイケルの記憶にはそれがなんであるか思い出した。暦を作成するのに、星の位置を調べるための代物だ。

「何に使うんだ?」

 しかし、彼女には解らない。

 星の位置を測る装置と、自分のいた世界との繋がりが掴めなかった。

占部(マイケル)さんの世界が覗けるかも――。これはそういう道具です」

「これで、オレのいた世界が覗ける!? まさか――」

「まあまあ、魔女の道具を信じてください。炎の獅子とかがいう『世界を救え』のヒントも解るかもしれないです」

「それはありがたいが……本当に?」

「それと――」

 一夜はスカートのポケットにスマホをしまうと、同じ場所からまた別のモノを取り出した。

「あまりこの世界では魔法を使われるのは、ちょっと困るのですが……

 でも、護身用に持っていてもいいかと」

 それはしずく状のガラス瓶だ。一夜の小さな掌に収まるほどの大きさ。中には透明な液体が封印されているように見える。

「なんだ、これ?」

魔石(ませき)宝珠(オーブ)です。魔法が使えないって言っていたので――

 恐らくこの世界の占部さんの方が、魔法に覚醒していない所為かと。これを握れば、使えるようになります」

「そんな簡単に――」

「簡単に使えるから、あまり魔法は使わないでください」

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