皇帝の(平穏では無い)日々
珍しく皇帝がブチ切れます♡
◇◇◇◇ダンバス帝国皇帝視点◇◇◇◇◇
由々しき事態だ。
事もあろうにルイーゼだけで無く、私と妻まで餌付けされてしまったのだ!
先日リオン王が病み上がりの妻エリザベートに消化の良い料理を差し入れてくれたのだが・・・。
毒味と称してルイーゼが暴走したのは(それはソレで頭が痛いが)ともかく、問題はその後であった。
先日救荒作物として献上された蕎麦の実を使った「雑炊」という料理なのだが、大変美味しかった♡
聞けば鶏の骨を丸2日かけて煮込んでダシをとり、別に作った鶏肉と蕎麦の実を入れて更に煮込んだ恐ろしく手間暇をかけた逸品だった!
妻の為にそこまでしてくれるのかと、不覚にも涙が出た。
妻も「あらあらまあまあ」と言いつつ、爆食していた。
心底思い知った。
恐らくリオン王の料理によってルイーゼは瞬殺されたのだと容易に推測できた。
我々も同様だ。
この日、私とエリザベートはリオン王の料理によって呆気なく陥落し、見事に餌付けされてしまったのである。
数日後、驚天動地の報告が飛び込んで来た!
なんと大陸中の聖職者に対して、創造神様が再び神託を下されたのだ!
曰く、
数百年前に正教会が大地の精霊を異端認定した事。
それにより信仰と信者を失った大地の精霊が弱体化した事。
結果大陸中の大地の力が失われ、ここ100年程は大陸全体で慢性的な不作が続いている事。
このままの状態で推移すれば、早晩大凶作が発生して大陸全土で飢饉が起こる事。
更には森が枯れ果てこの大陸が砂漠化するで有ろう事。
この様な恐ろしい未来を告げられたらしい。
その上で創造神様は、
即刻大地の精霊ミオ様の異端認定を取り消す事。
ミオ様は創造神たる自分の眷属であり、今後は全ての教会において自分の隣にミオ様を祀り、祈りと供物を欠かさないようにと。
この神託を教会のあるそれぞれの国の王や皇帝達に早急に通知する事。
・・・で、私はたった今その通知を受け取った訳だが・・・。
率直な感想は・・・。
「過去の正教会何してくれとんじゃワレェェェッ!!!」
・・・明らかに近年の作柄は異常であった。
夏に気温が上がらなかったり、収穫前に雹が降って大きな被害を受けたり、水害で麦が流されたりと、枚挙に遑がない。
幸い我が帝国はリオン王からの大量の献上品とフォーチュンとの交易によって食糧不足は免れている。
だが現状、帝国の主力産物である麦の作柄は、良くてカツカツ、年によっては国の備蓄を取り崩して何とか凌ぐ場合もあり、新たな備蓄等夢のまた夢だったのだ。
不作の農民達に重税を課す訳にも行かず、帝国の税収は年々右肩下がりだ。
正直リオン王からの莫大な献上品がなければ、恐らく今頃帝国の国庫は火の車だっただろう。
民や貴族達の不満も高まっていたかもしれない。
通知を受けた私が1人悶々としていると、コンコンッとノックの音がした。
「・・・誰だ?」
「ルイーゼです。リオン王からの通信で、創造神様の神託の件で早急にちちうっ・・・陛下と面談したいそうです。」
ルイーゼよ!陛下よりも父上と、出来ればパパ♡と呼んで欲しいぞ!
・・・ゴホン!冗談は置いといて・・・。
まさしく渡りに船だ!是非ともリオン王から詳細を聞かねばならない。
「了解した。直ぐに時間を空ける。ルイーゼとエリザベートにも同席して貰う。直ぐにエリザベートを呼んできなさい。」
その後リオン王から聞いた話には我々3人驚愕した。
何とリオン王は料理で、大地の精霊ミオ様の力を取り戻したというのだ!
しかも「神託で信者と供物も戻ってくるから、何の心配も要らないよ〜♡」と言われてしまった・・・。
大地の精霊まで餌付けしてしまうとは・・・リオン王、恐るべし!
更にリオン王は、ミオ様に頼んで我が帝国全土を大豊作にしてくれるそうだ。
対して現在交戦状態のルフラン王国に対しては、記録的な大凶作にする様だ。
ルフランの宰相や貴族達がマトモなら、民に対して救済措置を取り、国や貴族達の力を削ぐ事が出来ると。
アホなら民が困窮して隣国、つまり我が帝国やフォーチュンへと逃散してくる。
リオン王からは、今のうちに受け入れ準備をしておいて欲しいと要請された。
リオン王の以外と苛烈な一面に、妻は益々リオン王の事が気に入った様子だ。
・・・料理という下心も当然有るだろうな・・・。
次話も帝国編の予定です(*^^*)




