閑話 悠里、送還される
タイトル及び冒頭でオチが予想できた人、知らないフリして読んで下さいm(_ _)m
「志村ー!後ろ後ろー!」はNGなのです。
「ユーリさん。これより元の世界へと送還しますぅ!」
唐突に創造神様は私に宣言した。
突然の事に私は思考が追いつかない。
「え!?何?ちょっ!待ってーーっ」
だが無情にも私の体は眩い光に包まれて・・・・・
・・
・・・・
・・・・・・・
気が付くと、見慣れた光景が。
日本で住んでいた、ボロアパートの一室。私の部屋だ。
「帰ってきちゃった・・・。」
ふらつきながら、ベッドに腰を下ろす。
しばらくぼーっとしていた・・・。
あまりの事に未だに思考が混乱している。
ふと枕元の時計を見ると、時刻は午後11:00。
日付は私が召喚された日だ。
私は召喚された時と同じ時間に送り返された訳だ。
段々と思考が落ち着いてくると、途端に胸がズキンッ!と痛くなる。
「酷いよぅ〜・・・。」
いつの間にか私の双眸からはとめどなく涙が溢れていた・・・。
私はいつの間にか『あの時』みたいにベッドの上で布団を被って丸まっていた。
だけど『あの時』とは違っていた。
リオン様のいい匂いがしないよぅ・・・。
リオン様の温もりが無いよぅ・・・。
・・・結局、冷たい布団の中で私は一晩中泣き明かした。
いつの間にか私は寝ていた様だ。
体が覚えてるというのは本当らしい。
朝起きて、気が付いたらいつの間にか制服に着替えて、トーストをかじっていた。
・・・以前なら当たり前の朝食だったのだが、『あの時』とは雲泥の差だ。
「・・・リオン様が作ってくれたフレンチトースト、蜂蜜たっぷりで美味しかったよぅ・・。」
・・・ダメだ。また涙が溢れてしまう・・・。
出勤には少し早いけど、出社して気持ちを落ち着けなければ。泣き腫らした顔で出社する訳にはいかない。
出勤した私は、トイレでメイクをする。赤くなった目元を誤魔化す為だ。
ふと、左手の薬指に目を落とす・・・。
そこにある筈の指輪はもう無い。
ダメだ!せっかくメイクしたのに、泣いたら台無しだよぅ!
気持ちを切り替えて、仕事仕事!
「有栖川、これやっとけ。」「はい!課長。」
かつての日常・・・。
我ながら、よくまあこれだけの仕事量をこなしていたものだと思う。
あっちの世界で体がなまっていたせいか、終業時間になる頃にはもうクタクタだった・・・。
だが、私にとってはここからが『始まり』なのだ!
1度タイムカードを押して、これより地獄のサビ残だ。
夕食は朝コンビニで買ったおにぎり1つ。
屋上に上がって1人寂しく食べる。
・・・あの時のおにぎりを思い出す。
「・・・おにぎり美味しかったよぅ・・・。お味噌汁も、ぬか漬けも・・・ふえぇぇぇ〜ん!」
もう限界だった。
人気の無い屋上で、私の双眸からは堰を切ったようにボロボロと涙が止まらなかった・・・。
ひとしきり泣いた後、気が付けばいつの間にか周囲はすっかり暗くなっていた。
屋上からは美しい夜景が見える。
「・・・リオン様に会いたいよぅ・・・。」
痛感した。
リオン様の美味しい料理・・ゲフンゲフン!
リオン様の居ない日本なんかに未練は無い。
「・・・死んだら、リオン様の世界へ生まれ変わらせて下さい。どうか創造神様ぁ!お願いしますよぅ〜!」
躊躇う理由等もう何処にもなかった。
私は屋上の柵を乗り越えて、眼下に広がる夜景へと我が身を躍らせた!
・・・落下中にカニ鍋の事を想像したのは内緒( ̄b ̄)シーッ!
・・・ん?
・・・あれ!?
私、なんでベッドの中にいるの!?
私確か屋上から飛び降りた筈じゃ・・・。
もしかして奇跡的に助かって、病院のベッドって事?
でも私何処も痛く無いよね!?
それに隣にはリオン様が熟睡してるし。
!
!!!?
リオン様!?
リオン様だ!本物のリオン様だよぅ!!!
一瞬で覚醒した私は、すぐさまリオン様に抱き着いた!
恥ずかしさなんかよりも、リオン様の匂いと温もりを一刻も早く堪能したかったんだモン♡
結局・・・。あのひどい夢を見た反動からか、あの後はかなり激しい運動となりました。えへへー♡
皆さんの予測通り!夢オチでした〜♡




