ハゲチビデブ その2
テンプレでオッサン冒険者に絡まれると思った?残念でした
俺の雷魔法による蹂躙の結果、ギルド内はシーーーーンと静まり返った。
(一人標的から外しておいた)衛兵隊長を始め、ギルドマスター、サブマスター、受付嬢にギルド内に居合わせた冒険者達は一人残らずハニワ&フリーズしております(*^^*)
で、いち早く再起動した衛兵隊長が憤怒の表情で、
「・・・殿下。いくらなんでもこれは大問題ですぞ!そこなリオンなる平民が事もあろうに衛兵達を殺害するなど許されません!如何にルイーゼ殿下でも庇い立て出来ませんぞ!ダンバスの法に則って処刑致す!」
いきり立っている隊長に対して、ルイーゼは冷笑しながら、
「・・・隊長。私は一度もリオン様を、平民などと言った覚えは無いのだがな。それに貴様がダンバスの法を持ち出すのであれば、この法も存じていよう。我が帝国において、伯爵家以上の上級貴族には、免税特権及び不逮捕特権が与えられているはずだ!即ち、身柄を拘束する為には父である皇帝陛下もしくは母である皇女殿下の許可が必要だ!・・・最も父も母も決して許可など出さぬだろうがな。疑うならば、今すぐ城へと赴き御前で逮捕の是非を問うてくるがよい!・・・ああ、言い忘れていた。一応申し伝えておくが、リオン様の爵位は上から二番目の侯爵だ。更に加えて、かつて死の大地と呼ばれていたフォーチュンの国王陛下でもあらせられる。そこのところをよくよく考えるのだな。」
このルイーゼの言葉に衛兵隊長が再びのハニワ&フリーズした。
他の面子もハニワ&フリーズ延長決定〜!
その隙に衛兵隊長の記憶を覗いてみたら・・・。
うわぁ(ᯅ̈ )
こりゃもう犯罪のオンパレードじゃねぇか!!
ざっと羅列するだけでも、
悪徳貴族への贈賄。
ギルドマスターや大小様々な小悪党からの収賄。
平民の若い娘への強姦多数。
更には平民達からのゆすりたかりが多数。
拒否した者達には無実の罪で牢へぶち込む。
いやはや、今どきこんな時代劇みたいな典型的な悪党が存在していたとは・・・。
これは言うまでもなくギルティだろう。
しかもやってる事が全体的にセコい!!
早速俺はルイーゼに衛兵隊長の所業を伝えた。
案の定ルイーゼは激怒して、横に控えていたクランメンバー(彼女たちはルイーゼの護衛の騎士でもあるから当然ながら警察権や司法権を持っている)
に命じて衛兵隊長の身柄を拘束させた。
そしてこの流れで例のハゲチビデブも身柄を拘束しようとしたんだが・・・。
あれ?
あのハゲチビデブ・・・どこ行ったんだ?
サーチ魔法と千里眼にて行方を追ってみると・・・。
なんと既に奴は(あの身長の癖に有り得ないスピードで)帝都から逃走していた!
しかも前世の〇ザエさんに出てくる泥棒みたいに巨大な風呂敷モドキを背中に背負っているときたもんだ!
恐らくあの中身はギルドからの横流し品に違いないな。
その頃になると漸くサブマス以下冒険者達も再起動したらしくギルド内は喧々諤々の騒ぎになったいた。
特に冒険者達は(もれなく俺を指さしながら)口々に、
「あの若造が侯爵だって!?嘘だろ?」
「いやいやそれよりも、だ!まさかあのガキがあの!死の大地の死神だとぅ!?!?」
「そうそうっ!噂じゃあそこに住んでた魔竜を素手でぶちのめしたって聞いたぜ!!!有り得ねえよ!!」
・・・待てぇーい!!!
さっきから黙って聞いてれば!
『死の大地の死神』だとぅ!?
なんなんだその厨二病丸出しの不本意な二つ名わぁぁぁぁ!!!
だがしかし、俺の憤慨をよそに冒険者達は、
「おっ俺が聞いた話じゃ、目が合っただけでもぶっ殺されるって聞いたぜ!」
「いやいやそんなのは序の口よぅ!!噂じゃルフランの王宮を素手で瓦礫の山にしちまったらしいぜ!」
・・・いつの間にかだいぶ話が盛られてしまっているな・・・。
まぁ冒険者達のゴシップ談義はさておき、
とりあえずサブマスに話しかける。
今更だけどここのサブマスって女性なんだよな。
年齢はだいたい三十代くらい、もしかしたら二十代後半かもしれん。
まぁこの世界でも女性に年齢を聞くのはタブーみたいなので本人には聞かないけどね( ̄▽ ̄;)
髪は栗色。瞳はこの世界ではオーソドックスな青い瞳。
身長はルイーゼとどっこい。
「・・・アンタがこのギルドのサブマスか?はじめまして、だな。俺はリオン・ローゼンハイムだ。まぁさっきのやり取りで顔と名前は知ってるだろうけどな。」
話しかけられたサブマスは頭をペコリと下げて、
「こちらこそ先程はウチのハゲ・・・ゲフンゲフンッギルドマスターが大変失礼致しました。まさか侯爵様だとは・・・誠に汗顔の至りです!」
サブマスが申し訳なさそうに頭を下げる。所謂平身低頭というやつだな。
あのハゲと違ってサブマスは結構良い奴かもしれんな。
まぁ今は先に片付けるべき問題があるから、いつまでも頭を下げられていては話が進まない。
「・・・謝罪は受け取った。いい加減頭を上げてくれないか?俺としては、サブマスと早急に確かめたい事がある。」俺の言葉にサブマスは、
「確かめたい事、ですか?」
サブマスは文字通り頭に『?』マークを浮かべているよ。
「先程話題になった、例のハゲの横流しの件だよ。あのハゲは現在絶賛逃走中だご丁寧に山ほどの横流し品を担いでな。だから今すぐギルドの倉庫や金庫をチェックして、何がどれだけ無くなっているのか確かめないといかん。その為にはあのハゲ・・・ゲフンゲフンッ!ギルドマスターに次ぐ立場のアンタの力が必要だ。サブマスなら倉庫や金庫の鍵を所持しているだろ?」
その言葉を聞いたサブマスはまさしく絶望そのものの顔で、
ハイパー土下座を決めやがった!
「大変申し訳ございませんリオン様!倉庫と金庫の鍵はあのハゲ・・・ギルドマスターのみが管理しておりました!」
・・・?
そりゃあまりにも酷いザルな体制だな。
それじゃあのハゲ・・・ギルドマスターが盗み放題じゃないか!?
それに対してサブマス・・・いい加減名前で呼ばないとマズイよな・・・えーと、サブマス改め、テレーズさんによると、
ギルドマスターの人事権は、センターギルドにあるらしく、現場の叩き上げはサブマスまでしか昇進出来ない仕組みらしい( ̄▽ ̄;)
ちなみにギルドの組織は、頂点にギルド総本部があり、その下に大陸の北西、北東、南西、南東をそれぞれ統括するセンターギルドがあり、それぞれの地方の各都市のギルドマスターを任命しているらしい。
呆れた事に、そのシステムを悪用して、ギルドマスター人事には賄賂が横行しまくっているそうな。
ふーむ。
まるで某暴れん坊な上様とか、黄色い着物を着た髭のジジイが出てくる時代劇みたいな話だぞぅ!
そうか(´・ω・`)だからあんなハゲ・・・ゲフンゲフンッ!小悪党な人間がギルドマスターで居られたんだな。
念の為にギルドの倉庫と金庫をテレーズと確認する。
・・・
・・・・
(´-ω-)ウム・・・やはりと言うべきか・・・。
倉庫も金庫も施錠されてはいなかった。
何故なら・・・。
施錠する必要など全くなかったからなのだぁ!!
どちらも中にはガラクタしか残されていなかった!
錆だらけの剣や鎧。
朽ちた木材。
ボロボロになった書類の残骸。
etc.
見ればテレーズさんも呆然としているよ。
「まさか・・・ここまでぬけぬけと中身を持ち出していたなんて・・・。センターギルドがそこまで腐り果てて居ようとは・・・信じられない・・・。」
気の毒にテレーズさんは哀れ膝から崩れ落ちてしまった/(-_-)\
いや俺も呆れ果てたよ。
なので続きは次回って事で。
まる。
(´-ω-)ウム色んな意味で説明回でござるな。




