魔王大号泣
さて、皇妃の話では使用人達は、凡そ一ヶ月間みっちりと『侯爵』の使用人として相応しい立ち居振る舞いが出来る様に教育を施す予定だそうだ。
なので例の屋敷の引渡しも約一ヶ月後になるとの事だ。
皇妃曰く、
「ちなみに使用人達の教育係には、リオン王の屋敷にて家宰兼メイド長を務める予定の敏腕メイドが就任致しましたわ。アノ者であればなんの心配も要りませんわよ〜。」
まぁ皇妃が太鼓判を押す人材ならば心配あるまい。
さておき、事態が動くのは一ヶ月後からだから、安心して俺は一路飛空艇に帰還するとしますか!
だがしかし帰還するなりいきなり騒動が勃発してしまった!
帰還した俺に対してナニカがいきなり激しくタックルをかましてきやがった!
「ドゴォォォーンッ!!!」
オノレ何奴ぞぅ!
はっきり言って強力無比の結界魔法のお陰で無傷だが、普通の人間だったらミンチになる程の衝撃だったぞぅ!
これほどのタックルをかます奴と言えば・・・。
「リオンリオーン!!!やっと見つけたのだぁぁぁぁ!!!」
・・・やはり魔王であったか・・・。
しかし人間を容易くミンチにするタックル・・・。やっぱり魔王というだけの事はあるなぁ。
見ればリリスは俺の胸に顔を埋めて、両手で俺の胴体をガッチリと閂の如くロックしている。
しかも大号泣しているのだ。
「エグッヒグッ!リオーン!こっそり抜け出すなんて酷いのだぁ・・・。目が覚めたら横にリオンがいなかったのだー。リオンの温もりが無くなっていたのだー。リオンの良い匂いがしなかったのだー。あったのは布団に染み付いたリオンの残り香だけだったのだー。ビェェェェェェーーーン!!!!」
うーむ・・・。まるで子供みたいだな。
いや・・・初めて出会った時は見た目が13歳位だったから、案外中身は子供なのか・・・。
何しろ異世界の魔王だからな。
実年齢がさっぱりわからんのぅ。
いやそれよりも!
リリスが俺の胸に顔を埋めて泣きじゃくる所為で、リリスの涙と鼻水が俺の上着に・・・。
結果、俺の上着は現在ぐっしょりと雑巾状態に・・・。トホホ。
それでもリリスの腕は俺をガッチリとロックして一向に解放してくれないのだ!
どうしたものか。
・・・些か陳腐だが、アレを使ってみるかな。
まぁ、そもそも効果が有るから多用されるし、多用されるからこそ陳腐にもなるという事だ。
という訳で、俺はリリスの口に『とあるモノ』を放り込んだ。
「!?!?モガッ!一体ナニを!?・・・・・・・コロコロ〜ッ♡えへへー♡コレはまさしく甘露なのだー♡しゃぶればしゃぶる程甘くて美味しいナニカが口の中に溢れてくるのだー♡」
今まで泣きじゃくっていた癖に、たちまちニコニコと顔を綻ばせる魔王様・・・。
どうやらやはり効果てきめんだった様だな。
俺がリリスの口の中に放り込んだのは、所謂アメ玉だ。
世界樹の実のジャムと世界樹の蜂蜜をよく混ぜて、俺の魔法で水分を少しづつ飛ばす。
水飴位になったら、やはり魔法でビー玉サイズにカットして、さらに水分を飛ばすと完成。
子供に笑顔を取り戻す特効薬なのだ!
飴を嘗めた事で漸くリリスの腕のロックが緩んだので、俺は素早く離脱。
急いで浄化魔法でリリスの涙と鼻水塗れの上着を綺麗にして、ドライの魔法で乾燥させた。
そのままリリスを促して、今やオヤツを待ち侘びているであろう嫁達の元へ。
嫁達はもう既にオヤツを待ち焦がれていやがりました(*´ ³ `)ノ
「リオンよ遅いのじゃあ!我は早くオヤツが食べたいのじゃあ!」
「リオンさん!私にも早いとこオヤツをよろですぅ〜♡」
「リオン様早くオヤツをお願いしますm(_ _)m」
「・・・私はもうガス欠寸前・・・。ココでオヤツにありつけなければ死ぬ・・・早くオヤツ食べたい・・・。」
「リオン様くれぐれも私の意志ではありませぬぞぅ!あくまでもお腹の子供がオヤツを欲しているのでござるぅぅぅぅ〜!なので一刻も早くオヤツをお願いしまする!」
・・・素直じゃ無いロゼッタ・・・。
「リオン神様何卒私とお付達に美味しいお菓子を下賜して下さいませ♡」
「リオン様ぁぁぁぁ♡悠里もうお腹ペコペコなんだよぅ♡オヤツ食べたいよぅ!」
「リオンちゃんミオもお腹ペコペコなの!今すぐオヤツを出すなの!」
「リオン様は酷いのです!アクアにオヤツを食べさせてくれないなんて横暴なのです!オヤツをくれないならアクアリオン様の布団に立てこもりをするのです!さあ!早いとこオヤツを出すのです!」
ユーノとタマモも、
「パパ。私にオヤツくれないと、世界樹が枯れてしまう。だからすぐにオヤツちょうだい。」
「リオンよ妾は直ぐにでもオヤツが食べたいのじゃ。ささ、はよう出してたもれ♡」
ユーノよ!いくらなんでも世界樹を盾にするのは酷いぞぅ!
まぁよかですたい(*´罒`*)
コレよりオヤツを餌付け致す!
だがしかし!続きは次回でござる。




