リオン、皇妃とルイーゼにダメ出しされる
リオンは元日本人なので貴族というモノがよく分からない( ̄▽ ̄;)
やれやれ・・・。
天敵の皇妃にナレーションまで奪われてしまったリオンです。
さて、もらった屋敷に皇妃が勝手に使用人を募集してしまった件について、是非とも皇妃から詳細なる説明を求めたい!
その気持ちが顔に出ていたのか、皇妃は扇で口元を隠しながら、ズズズィッ!と俺の眼前に迫ってきおった!
近い近い近い近い!!
見れば皇妃は嫣然と微笑んでは居るものの、目は全く笑っていない!怖い怖い怖い!!
その怖い怖い皇妃が口を開く。
「リオン王。どうやらリオン王はあまりにも当事者意識が欠如しておいでの様ですわね。」
そして皇妃は徐に目をクワッ!と見開いて、
「リオン王!貴方は仮にも侯爵に任命されたんですわよ!貴族位でいったら上から二番目なんですのよ!しかも夫ノワールから直々に屋敷を下賜されたんですわ!はっきり言って帝国国内の貴族達の間ではリオン王の噂で持ち切りなんですのよ!」
ここでルイーゼが言葉を引き継ぐ。
「リオン様。今回の様に新規に貴族に任命されるのは滅多にない事例なのです。しかも子爵以下の下級貴族ならばいざ知らず、領地を持たないとはいえれっきとした上級貴族である侯爵が新たに誕生するとなるとまさしく帝国にとっての一大事なんです!尤も大多数の貴族達は母の懐柔によって納得しておりますので、その点は心配無用です。しかしながら、ここで別の問題が生じました。」
再び皇妃が口を開く。
「つまり貴族達は、自分や自分の家臣達の子弟をリオン王の下賜された屋敷にリオン王の家臣や屋敷の使用人として奉公させる事を熱望しているんですのよ。」
!?!?
一体全体どういう事だ!?
なんでまたそのような話になってるんだ?
そんな俺の驚愕の表情を見て、皇妃とルイーゼは二人揃って盛大に溜息をついた。こういうところはやはり親子だな。
という俺のどうでもいい感想をよそに皇妃は、
「・・・ですから私は貴方の当事者意識の欠如だと申し上げたんですのよ。リオン王はこの世界の貴族社会というモノを知らなさすぎますわよ。ルイーゼ。この無知なリオン王に貴族というモノを説明して差し上げなさい。」
何が何だか訳が分からないけど、何やら俺が盛大にやらかしたらしいという事は辛うじて理解した。
その後、皇妃とルイーゼから、(盛大に説教とダメ出しと共に)この国の貴族というモノについてレクチャーを受けた。
それによると、貴族というのは子沢山らしい。
というのも、当たり前だが跡継ぎがいなければその家は断絶する。故に血のスペアは多いに越したことはない訳で、だからこそ貴族は正室以外に側室を大勢持つ事が許されていると言っても過言では無い。
それは貴族の家臣も同様だ。
つまり貴族達は常に人材が余っている状態な訳だ。
これが結構大変らしい。
ぶっちゃけ経費がやたらとかかるそうだ。
何しろ一応身分は貴族だから、それに相応しい衣食住を保証しなきゃいけないし、装飾品だってしょぼい物は身につけられない。
余程の裕福な大貴族でもなければ、ほとんどの貴族の家計は火の車なのが現実なんだそうだ・・・。
なので今回みたいに、新規に貴族が任命されて、しかも爵位は上から二番目の侯爵!更には皇帝から直々に屋敷まで下賜されたとなれば、悪く言えば口減らしのチャンス、良く言えば大量の新規採用が見込める、まさしく貴族達にとっては千載一遇の機会という事になる訳だ。
だからこそ募集人員に対して十倍以上もの応募が殺到したというのが真相らしい。
さらに皇妃が補足説明をする。
「まぁそれに加えて、リオン王は超が付く程の億万長者という厳然たる事実もまた貴族達の狂乱に拍車をかけているのですわよ。何しろ散々夫ノワールに対して絹織物やら青い磁器やら真珠やらはたまた金銀財宝をそれこそ湯水の如く献上しまくっていましたから。もはやリオン王がスーパーセレブなのは帝国国内の貴族達にとっては周知の事実ですわよ〜。ならば当然!メイドや使用人を送り込めば、あわよくばお零れに預かれるかもしれないと貴族達が思うのは或る意味必然ですわね。まぁリオン王の自業自得ですわ〜♡」
ぐぬぬ・・・。言われてみればたしかにちとド派手に献上し過ぎたかもしれん( ̄▽ ̄;)
リオン一生の不覚・・・。
俺が膝から崩れ落ちていると、皇妃は、
「リオン王。私が独断で使用人を募集しましたのは、まさしくこうなる事態を想定していたからですの。リオン王が胡乱な人物をうっかり採用する事がない様に、予めこちらでふるいにかけたんですわよ!お陰で寄生虫の様な人間は粗方排除しておきましたわ!という訳で当初の募集人数の屋敷の使用人、述べ200人!既に採用済みですわ〜!」
早っ!!いくらなんでも手回し良すぎだろう!?
うーむ。
コレはもはや・・・。
「続きはまた次回ですわよ〜!」
ぐぬぬ・・・。
またしてもナレーションを奪われた・・・。
リオン、天敵の皇妃にいいとこなし




