いよいよ世界樹の実!だがしかし・・・。
そうすんなりとは行かないのです。
俺達二人はまさしく唖然として立ち尽くしていた。
とにかく世界樹の実がデカい!
推計で凡そ直径は1m程あるだろう。
と、俺達が世界樹の実に圧倒されていると・・・。何処からか、
「来てくれるの、ずっと、待っていた。パパ。ママ。」
見ると世界樹の茂った枝の間から、人影が俺達の方にゆっくりと降下してきた。
俺達の前に着地したソレは、緑の髪に緑の瞳、頭から花を咲かせていた。体格はどう見ても小学生くらいにしか見えない。
いやいやそんな事よりも!
今聞き捨てならない発言があったぞぅ!!
隣のマーフも絶句している。期せずして俺達二人の声がハモった!
「「はあぁぁぁぁ〜〜〜!?!?」」
その後、念の為にマーフに問いただすと、
「ぷーっ!リオンさんと交尾したのはついこないだですぅ!幾らマーフちゃんが創造神でもそんなに早く出産できる訳無いですぅ!!冤罪ですぅ!」
頬を膨らませて抗議されてしまいました。可愛い♡
あとマーフ。どうでもいいけど交尾とか言うな!
その間無表情で俺達を見ていた少女は、いきなりマーフを指さして、
「ママが私を作ってくれた。だからママ。」
次に俺を指さして、
「パパは私を一生懸命魔力を注ぎ込んで育ててくれた。だからパパ。」
ここまで言われて察しがつかない程俺達はニブチンじゃない。
二人顔を見合わせて、
「「まっまさか!?」」また声がハモった。
俺は恐る恐る少女に尋ねる。
「お前まさか・・・。世界樹か!?」
それに少女は無表情のまま、
「肯定。パパもママも存外察しが悪い。頭に花を咲かせてる人間なんていない。」
・・・もはや俺とマーフは二人仲良くハニワになりました!
ぐぬぬ・・・マーフはともかくこの俺がハニワになるとは・・・。無念。
素早く再起動した俺は、同じく再起動したマーフに聞く。
「マーフ。かつての世界樹もこうだったのか?」
マーフはまるででんでん太鼓みたいに首をブンブンと振って、
「そんな事ある訳ないですぅ!!ミオちゃんじゃないですけどぅ!有り得ないですぅ!私が作った世界樹は所詮木ですぅ!勿論唯の木じゃないですけどぅ!でもでもぅ!自我を持ったりこんな人型モドキを産み出すなんて事はある訳ないんですぅ!」
少女は(相変わらず)無表情のまま、
「何故私に自我があるのかは分からない。しかし前後の状況からある程度の推測は成り立つ。恐らくパパが非常識なまでの魔力で私を急速に成長させた。その過程で私に自我が生まれたんだと思う。愛するパパに感謝♡」
するとそれを聞いたマーフは目をクワッと見開いて!
「やっぱりリオンさんのやらかしじゃあないですかぁ!!プンプンッ!リオンさん!この不始末一体全体どう始末つけるつもりですかぁ〜〜!!!」
いやそう言われてもな・・・。今更なかった事には出来んぞぅ。
ここで少女がマーフに、
「夫婦喧嘩はやめて。ママもパパを虐めないで。夫婦は仲良くするのが一番。」
するとマーフは益々いきり立って、
「誰の所為ですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
これはマーフがクールダウンするまで放置するのが得策だな・・・。
数十分後。
漸くマーフが落ち着いたので、俺は少女に幾つか質問した。
「それでえ〜と。お前は世界樹で、俺とマーフの子供という認識でいいのかな?」
少女は頷いて、
「さっきからそう言ってる。私はパパとママの子供。認知しないと酷い目にあわせる。」
しれっと怖い事言うなよ!
「それでお前の名前は?」
「まだない。出来ればパパに名前つけて欲しい。」
名前・・・。名前ねぇ〜。
俺は前世から名前つけるのは苦手だったんだよな〜。
うーんうーんうーん・・・。
・・・ん!?そう言えば世界樹の別名って、確か『ユグドラシル』だったっけ。
ならユグドラシルをもじって、『ユーノ』はどうだろうか。
「・・・なら、ユーノって名前はどうだろう?」
瞬間、少女の身体が眩く輝き出した!光の奔流は実に数秒間続き、漸く光が収まった後・・・。
「・・・ユーノ。私は今日からユーノ。良い名前♡流石はパパ♡いいネーミングセンス。お陰で私も更なる成長を遂げた。パパに感謝♡」
そう言って俺にサムズアップする。
その容姿は・・・。
体格はもうすっかり大人の女性になって、エメラルドグリーンの髪は腰まで伸びて、同じく緑柱石を溶かしたかの様な美しい瞳。身体も出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでる理想体型♡
なんとユーノは一気に身体が成長してしまった!
横でマーフが溜息をつきながら、
「リオンさん。あんまり軽々しく名付けをしちゃダメですぅ。名前のない者に名前つけるのはぁ、名付けと言ってぇ、本来なら神の権限なんですぅ。まぁリオンさんは亜神なのでぇ、名付けする資格は充分にあるんですけどぅ。」
ありゃ( ̄▽ ̄;)そうだったのね。
そんな事をマーフと話していると、ユーノが世界樹にズブリッと入って行くではないか!
「パパのお陰で成長してパワーアップした。でも代わりにお腹空いた。なので世界樹の中でお昼寝する。世界樹の実はパパにあげる。好きなだけ持って行って。どうせパパとママにしか収穫出来ないから。」
世界樹の中からユーノの声が聞こえる。
直に世界樹の中から盛大にイビキが聞こえてきた。
・・・俺はマーフと顔を見合わせて、
「マーフ。どうする?このまま実を収穫するか?」
「・・・ここは一度出直すのが良いですぅ。色々皆さんと話し合いもした方がいいですぅ。」
俺達二人は互いに頷きあって、すぐに飛空艇へと退却したのであった・・・。
相済まぬ!世界樹の実は次回以降じゃ。




