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またまた女神のミステイク!召喚されたのは・・・?

いつかまたやらかすんじゃないかと思ってました♡

午後。

散々屋台で食べまくって満足した嫁達は今現在もれなくお昼寝中でござる♡

因みに俺も今は微睡み中でござる♡

・・・なんだけど・・・。

「リオンさん〜!!またやってしまったんですぅ〜〜!!どうしましょう〜〜!!」

・・・微睡んですぐにマーフが押しかけて来たのよ・・・。

「・・・マーフか・・・。いい加減安眠妨害だぞ・・・。何事だ?」

「またしてもマーフちゃんは寝惚けて〜!神様専用の端末を弄ってたらまたまた間違えて地球からの召喚をタップしてしまったんですぅ!!」

オイッ!!またしてものやらかしかぁ!!

お前は全く懲りてないな!

「・・・どうするもこうするもないだろう。一旦召喚した以上、もうどうにもならないんだろう?こうなれば腹をくくって対処するしかないと思うぞ。」

大泣きしていたマーフも、漸く落ち着いた様で、

「・・・えへへー♡流石リオンさん頼りになりますぅ〜♡やはり私マーフちゃんの旦那様ですぅ〜♡」

俺をギュッ!と抱き締めて、俺の胸にスリスリしてくるマーフ。

「・・・で?今回召喚したのは誰なんだ?」

マーフは即答して、

「キツネですぅ!」

・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


1時間後。

マーフからの尋問が終了した。

どうやらマーフがやらかしてうっかり召喚したのは、紛うことなきキツネだった様だ。

その証拠に、マーフの後ろには1匹のキツネがいる。

・・・んだが・・・。

そのキツネは何故か尻尾が2つあるんだが・・・。

・・・・怪しい・・・。

念の為に鑑定してみると・・・。

びっくらたまげた門左衛門!!?

俺の驚愕を他所に、マーフは(とても大きな)胸を張って、

「・・・まぁ、たかがキツネですぅ!野に放てばぁ!いずれ野生に帰りますぅ!ノープロブレムですぅ!」

・・・やりたくないけど・・・指摘しない訳にもいかない・・・。

「・・・マーフ。どうやらお前のやらかしは規格外だった様だぞ。」

俺の無情なる宣告に

「ふえぇっ!?」

・・・うん、気持ちは分かる・・・。

だが、こればかりは誤魔化す事は出来ない。

「・・・マーフ。お前が召喚したのは・・・。地球の日本の・・・。神様だ!」


その後、あまりのショックに気絶したマーフを介抱したから無駄に時間がすぎてしまった・・・。

そして今俺の横には1匹のキツネ・・・。

俺と目が合うと・・・。

「・・・こーーーーん?」

なんだそれは!!何故に疑問形!?

大体俺は前世で野生のキツネの声聞いてんだよぅ〜!

間違ってもラノベや漫画みたいに、『コ〜〜〜〜ン』なんて鳴かないんだよキツネは!!

全く怪し過ぎるにも程があるぞぅ!

漸く再起動したマーフを含めて、怪し過ぎるキツネに対しての尋問だぞぅ!

「・・・キツネ。・・・いや。稲荷大明神と呼ぶべきかな?」

問われたキツネはビクッ!っと体を震わせて!

「クックックッ!妾の完璧なる擬態を見破るとは・・・。そなた只者ではないのぅ。」

言うが早いか、ボワーンッ!とキツネが変化した!

・・・いや、キツネはキツネなんだが・・・。

大きさは倍以上!オマケに尻尾は九つ!毛並みは金色!

「・・・お前まさか・・・。玉藻の前か・・・!?」

そのキツネは、まさしくニヤリと笑って、

「ほほぅ?妾を知っておるとは、そなたは妾と同じ地球の稀人という訳じゃな?さしずめ、アノポンコツ女神に召喚された口であろう。」

それには流石のマーフも、

「ぷー!それは幾らなんでもいいすぎですぅ!ポンコツじゃないですぅ!あんまりですぅ!」

それにキツネは、

「ふっ間違って妾を召喚しておいていいすぎとは片腹痛いわ!妾はこれでも神の一柱ぞぅ!間違って召喚しましたで済まされると思うてか!!!!」

言われると忽ちマーフは塩をふりかけたナメクジの様に萎れてしまった・・・。

「・・・シクシクッうぅ〜酷いですぅ・・・。何も傷口に塩を塗らなくても〜。」

うーん。これ一体どう始末つければいいんだ!?

と、ここで悠里が、

「あーーーーーーっ!思い出したよぅ!!あなた、お稲荷さんだよぅ!!」

「・・・そなたの事覚えておるぞえ。令和においても珍しく信仰心に溢れておったおなごじゃ。毎日妾に油揚げの煮付けをお供えしてくれたのぅ♡」

「やっぱりお稲荷さんだよぅ♡まさか異世界で会えるなんて〜♡」


まぁここで、色々な情報を整理すると・・・。

まず、マーフがやらかして地球から稲荷大明神を召喚してしまった。

その稲荷大明神の本性は、平安時代に時の帝を誑かしたとされる『玉藻の前』と同体だった。

尤も本人曰く、

「妾はそんなつもりはなかったのじゃ。寧ろ向こうから秋波を送って来たのじゃ。追われてあんまりうるさかったので、やられたフリをしたまでなのじゃ。」

・・・だそうだが・・・。

で、悠里は養護施設の近くにあったお稲荷さんを祀る神社に毎日お供え物を捧げていたそうな。

なんでも、その御神体は、九尾のキツネだったそうな。

「・・・人間共が使う年号とやらが、昭和であった頃はまだ人間共にも信仰心があったのじゃが、年号が平成、令和と移ろうにつれて人間共からはすっかり信仰心が失われてしもうたのじゃ。妾がこちらに召喚される頃にはもはや誰一人としてお供え物ひとつ捧げる者はおらなんだ。人間共が捧げるのはお賽銭のみじゃ。じゃが生憎お賽銭では妾の腹は膨れんからのう。それにお賽銭なんぞ幾ら投げ入れても御利益には繋がらぬよ。月並みじゃが、日々の地道な捧げ物こそが、御利益に繋がるという事じゃ。じゃが平成以降の神主やら巫女達は目の前の金に目が眩み、信仰の何たるかを弁えなくなった。実に嘆かわしい事じゃ。そこへいくとこれなる悠里というおなごは見所があったのぅ。令和の時代においてはまさしく絶滅危惧種ともいえる存在じゃった。自分自身が恵まれぬ境遇であるにも関わらず、毎日毎日健気にも妾の社に油揚げの煮付けをお供えしてくれてのぅ♡アレがなければ妾は今頃消滅していたかもしれんのぅ。生憎と悠里の願い事というのがあまりにも過大な願いだった故に遂に叶えてやれなんだのは気の毒であった・・・。」

ここで素朴な疑問がわいた。

「悠里。お稲荷さんに一体何をお願いしたんだ?」

そう、そもそも悠里は利己主義の権化じゃあないし、私利私欲に溺れる様な人間でもない。稲荷大明神が『過大』と称するお願いが何なのか興味がわいたんだ。

その悠里は首を傾げながら、

「え〜っと、全然大した事ないささやかなお願いでしたよぅ。悠里みたいに養護施設に入れられる子供達がいなくなります様にってお願いしていたんだよぅ・・・。もう私みたいな惨めな思いはして欲しくなかったんだよぅ・・・。」

するとマーフは徐に悠里を抱き締めて、

「・・・ユーリさんの境遇はよくわかりましたぁ。生憎と神であるマーフちゃんでも過去は変えられないんですぅ。でもでもぅ!これから幸せになる事は出来ますぅ!一緒にリオンさんと幸せになるんですぅ♡これからは薔薇色の人生ですぅ!」

「創造神様ぁ〜。ありがとうございますよぅ〜。びえぇぇぇーーんっ!」

マーフと悠里は二人で号泣している。

・・・感動の名シーンに水を差す様で悪いが・・・。

『薔薇色の人生』なんて平成や令和では、『死語』だからな?

ここで玉藻の前改めタマモ(だって一々変換するのは面倒くさいんだもん)が、

「・・・昔から偶に悠里の様なお願いをする者はおったのじゃ。昭和の頃では、世界が平和になりますように、とか、自然災害が起こりませんように、といった願いじゃ。じゃがのぅ。幾ら妾が神様じゃとて、出来る事と出来ぬ事があるのじゃ。まだしも、お金が欲しい、とか、素敵な異性と巡り会いたい、という願いであれば容易く叶えてやれたのじゃがのぅ。残念じゃが、悠里の願いは我ら八百万の神々の神力を超えておるという訳じゃ。散々お供えしてもらって申し訳ないのじゃがのぅ。どうか許してたもれ。」

確かにな。仮に俺が前世で世界が平和になりますように、なんてお願いしたとして、では何を持って『平和』を定義するのか?という哲学的な命題が出てくるからね。

個人レベルの喧嘩は?強盗や詐欺は?

そりゃ幾ら神様だって匙を投げるお願いだよね。

タマモは言葉を続けて、

「・・・それにあちらの世界で悠里が碌な目に遭わなかったのはのぅ、そなたが呪われておったからなのじゃ。」

これには悠里もビックリ仰天!

「ふえぇ!?!?のっ!呪いですかぁ!?どどどうして!?」

「・・・どうやらそなたの二親が元凶の様じゃな。そなたの親は二人とも余程に身勝手な人間であったらしいのぅ。避妊に失敗してそなたを身ごもり、気付けばもう堕胎出来ぬ程成長してしまいやむなく出産、育て始めたものの、二人にとっては望まぬ子供、最終的には二人は離婚した。二人にしてみれば、自分達が離婚したのはそなたの所為だと逆恨みした訳じゃな。元来呪いという物はのぅ、恨みや妬みや嫉みといった負の感情が積もり積もって引き起こされるのじゃ。まぁ二人とも身勝手な逆恨みじゃったから、呪い自体はささやかな呪いにとどまった訳じゃがの。まぁわかりやすく言えばのう、例えばそなたがスーパーの特売品目当てに並んでおって、そなたの前に並んでいた人間で丁度売り切れた、とか、福引きをしてもティッシュしか当たらないとか、そなたも色々身に覚えがあろう?極め付きはそなたの就職先じゃ。よりにもよってあのような企業に入社してしまったのも、呪いによる運気の低下による物じゃ。命に関わる程の呪いではないとはいえ、そなたも随分と苦労してきたのぅ。」

見れば悠里は大泣きしていた。

「・・・全部思い当たるよぅ!特売品なんて買えた事なかったしぃ!仰るよぅに福引きは全てティッシュでしたよぅ!スーパーのスタンプだってあとひとつ押せば景品貰えるって時に期間終了しちゃうしぃ!石につまづいて転んだら運悪く転んだ先が水溜まりで泥だらけになるしぃ!昔から悠里ついてなかったんだよぅ!それがまさか両親からの呪いだったなんてあんまりだよぅ!ふえぇぇぇぇーんっ!」


数分後。

漸く悠里は泣き止んだ。

それを待ってからタマモは、

「のう悠里よ。そう悲観する事もないのじゃ。この世界に飛ばされた事で、そなたの呪いや悪縁は断ち切られたのじゃ。否、寧ろ今のそなたからは凄まじい程の運気を感じるのじゃ。うーむ。今のそなたなら何をやっても上手く行くのじゃ。過去は過去、これからは幸せになるがよいぞ!」

・・・とまぁ、ここまではいいお話しだったんだけど・・・。

タマモがいきなり俺の方を向いて、

「さて長々と喋ったらすっかり空腹なのじゃ。リオンとやら、妾はランチを所望致すのじゃ。はよう支度致せよ。」

_(┐「ε:)_ズコー!

さっきまでの感動を返せ〜!

仕方ない。振る舞うとするか。

だが色々とくたびれたから、続きは次回!御免!

果たして稲荷大明神にリオンちゃんの餌付けは通用するのか!?


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