リオンの神(紙)騒動!
毎度おなじみのうっかりリオンちゃん♡
漸く嫁達は心ゆくまで屋台の料理を堪能して、(全員もれなくぽっこりお腹で)飛空艇に戻ってお昼寝タイムに入った。
但し俺に休息は許されない。
皇妃から、
『押しかけて来ている商人達に渡すから、一刻も早く全種類のレシピを大量に送るんですわよ〜!!』
との厳命を受けてしまった・・・。
なので現在俺はせっせとレシピを書きまくっております♡
・・・よし!書き終えたぞぅ。
後は今書いた分を原本にして、俺の『複製』の魔法で1枚あたりとりあえず数百枚程複製した。
それをレシピが被らない様に束ねて、それぞれ封筒(にとてもよく似た紙の袋)に入れて完成だ。
早速転移で皇妃のところへ。
・・・到着早々ルイーゼに確保されてしまった。
すぐに皇妃の元に連行される。
皇妃の部屋に入るなり、いきなり皇妃に肩を掴まれる!痛い痛い痛い!またしてもこのパターンかい!
「フッフッフ〜。お待ちしておりましたわよ〜!リオン王〜!」
・・・ヤバい!皇妃の奴、だんだん何処ぞの悪の秘密結社の首領みたいになってきたぞぅ!
コレはとっととレシピ渡して退散するしかない!
「皇妃殿。依頼されたレシピをお持ち致しました。どうか中をお改め下さい。」
持参した封筒を手渡す。
中から紙の束を取り出した瞬間、皇妃がハニワになった!
見れば隣のルイーゼもハニワになっている。
ん?まだ皇妃は中身を読んでいないぞぅ?何があったんだ?
数秒後、漸く再起動した皇妃達だが、開口一番に、
「・・・リオン王。この『紙』は何ですの?明らかに羊皮紙ではありませんわね?そもそもこの紙は羊皮紙よりも白いじゃありませんの!?有り得ませんわよ〜!!」
あ〜!なるほど。
そういえばこの世界では『紙』と言えば羊皮紙、それも大層高価だから王や貴族、裕福な商人くらいしか利用していなかったんだった。
庶民は専ら細長い木の板を紐で綴じた物を紙の代わりに使用してるんだよ。
木材からパルプを作って紙にする技術は、まだこの世界では確立されていないんだった。
コレはまさかのラノベの無自覚系主人公の決めゼリフの!
アレ?俺また何かやっちゃいましたか?
ババーンッ!!!
・・・そりゃ皇妃もルイーゼもハニワになる訳だよね・・・。
以前皇帝に渡した献上品の目録も、態々羊皮紙に見える様に偽装の魔法を付与していたというのに・・・。
リオン!一生の不覚!
うーん。しかし困った・・・。一体全体コレどう始末をつけるべきか。
残念ながら皇妃とルイーゼにはこの紙をバッチリ見られてしまっているしな・・・。
その皇妃とルイーゼも目をランランとさせて、『この紙の事を教えないと、ただじゃおかねぇぞ(゜Д゜)ゴルァ!』という圧がもの凄いのよ。
「・・・一応お聞きしたいのですが、お二人とも、この紙を見なかったという事には・・・?」
虚しい抵抗を試みるも、
「できる訳ありませんわよ!!!」
「できる訳ありません!!」
やっぱりダメか_| ̄|○ il||li
仕方ない。
「・・・今から話す事は、重ねて他言無用ですぞ。」
二人とも赤べこの様に首をこくこくと振っている。
「この紙は私が魔法で作った紙です。工程は至ってシンプル。木材を細かく砕いて水に浸し、その間に漂白して柔らかくなったら薄く平らに成形して乾燥させる。それだけです。但し!コレはまさしく言うは易く行うは難し、ですな。そもそもこれらの工程を魔法に依らず手作業で行なうとしたら、莫大な時間と費用が掛かります。出来たとしても、恐らく羊皮紙よりも高額になるでしょうな。それにこの紙をこの様に白くするには漂白しなければなりませんが、この工程ばかりは私の魔法でなければ不可能です。結果として、私以外にはこの紙は作れないという訳です。」
話してる間にまたしても二人ともハニワになっていた。
再び再起動した二人は、
「・・・とりあえずリオン王。まずはこのレシピの束を全て羊皮紙に見える様に魔法を付与してもらいますわよ!後この!封筒とか言う紙の袋は返品致しますわ。こんなものが表沙汰になれば大騒動になりますから。」
俺は言われた通りにレシピの紙束全てに偽装魔法を付与した。
皇妃はもはやゲッソリして、
「・・・ハァ〜〜〜〜ッ!・・・全く、それでなくても商人達と渡り合うのは骨が折れるというのに・・・。会う前から私を疲労困憊させてどうするんですの!?また肩を掴みますわよ!」
やめて!それマジで痛いですからぁぁ!
「まぁいいですわ。私はこれから強欲なる商人達にこのレシピを売り渡して来ますわね。ちゃっちゃと終わらせて、ルイーゼと屋台で食べまくりますわよ〜♡」
謎の気合いを入れて皇妃は部屋を出て行った。
ルイーゼは、
「リオン様!毎回毎回この様なやらかしをされては、母も私も寿命が縮みます!私が出産する前に死んだらどうするんですか!」
まずい!ルイーゼは相当お怒りじゃあ!
暫時!退散致す!
こうして俺は這う這うの体で飛空艇へと転移したm(_ _)m
無限の魔力も時には仇となる事があるのである♡




