そろばんの有用性
ルイーゼ達の公務の謎が今!明らかに!
さて帰還した俺はすぐさま嫁達の為にランチを用意する。
まずは前菜。
ナスとニラと厚揚げを小さくカットして炒める。仕上げに醤油、砂糖、黒酢をベースにした濃厚な俺特製の甘酢餡を投入した甘酢餡かけ炒めだ。
塩味と甘味と酸味が見事なまでに組み合わさってまさしくトレビアーン♡
2品目には豚肉とカシューナッツの炒め物だ。
たっぷりの豚肉とカシューナッツに、パプリカ、タマネギ、ニンジンを投入して炒めたやはり俺の自信作だ。
勿論シルフィー達エルフ用に豚肉の代わりにシイタケを使ったver.も作成済み。
そして主食はボリューム重視であんかけ焼きそばにした。
予め中華麺を炒めて、仕上げに肉と野菜たっぷりの中華餡を掛けた1品。
箸休めに細切りにしたダイコンにポン酢をかけたダイコンサラダ。炒め物で疲れた胃袋に染み渡るぞぅ♡
酒を用意してランチである!
「カシューナッツの入ったこの炒め物美味いのじゃぁぁ!カシューナッツの食感がまた豚肉と野菜と絶妙に合うのじゃぁ♡ビールお代わりなのじゃあ!」
「リオンさん♡あんかけ焼きそば美味しいですぅ♡酢を垂らすと美味しさ倍増ですぅ♡チューハイお代わりですぅ♡」
「リオン様この甘酢あんかけ炒め美味しいです♡箸休めのダイコンサラダも美味しいです♡食欲モリモリです!ビールお代わりです♡」
「あんかけ焼きそば・・・美味しい♡・・・お代わり・・・・豚肉とカシューナッツ炒めもお代わり♡・・・ビールジョッキでお代わり・・・。」
「フフフッ・・・。リオン様!このロゼッタ!もう止まりませぬぞぅ!料理全種類とチューハイどんどんお代わりを持つのだ〜!まだまだ私の胃袋・・・ゲフンゲフンッ!おっお腹の子供は余裕がありまするぞぅ♡」
・・・今ロゼッタの本音が垣間見えたぞぅ!
「リオン神様♡これらの料理もまた神の食べ物です♡私とお付達に甘酢あんかけ炒めとあんかけ焼きそばとダイコンサラダとチューハイお代わりです♡」
「モグッモグッ!今回も美味しいよぅ♡豚肉とカシューナッツ炒め最高だよぅ!あんかけ焼きそばなんて食べられる日が来るとは思わなかったよぅ!ビールお代わりですよぅ♡」
「・・・もう何も言わないの。ミオはひたすら食べまくるの!あんかけ焼きそばに酢をかけたらもー異次元の味なの!合間にダイコンサラダを食べると口とお腹がスッキリするの♡お陰で幾らでも食べられるの♡全種類どんどんお代わりなの!次いでにビールもお代わりなの〜♡」
「う〜〜〜〜む・・・。感無量なのです♡今回もまたとても美味しいのです!デリ〜〜シャスなのです♡このアクアはもうロシュの限界を超えたのです!甘酢あんかけ炒めはさながら不動明王なのです!豚肉とカシューナッツ炒めは最強なのです!弱肉強食なのです!あんかけ焼きそばに至っては国士無双なのです!大三元なのです!四暗刻なのです!字一色なのです!まさしく美味しさの役満全開なのです!私アクアはリオン様にロンされてしまったのです♡ハートと胃袋を同時に撃ち抜かれてしまったのです♡もうこうなったら食べまくるしか無いのです!料理とビールどんどんお代わりなのです♡」
・・・ミオといいアクアといい・・・精霊の辞書には満腹という言葉は載っておらぬでござるな・・・。
コレにて嫁達への餌付け完了じゃあ!
・・・俺?
何時ものデフォルトだよ?
辛うじて残ったダイコンサラダをアテにビールでござる。
ニンニン。
ランチ後何時もの様にお昼寝中の嫁達を尻目に、公務でランチを盗みに来られなかったルイーゼと皇帝夫妻の為に、俺は皇帝一家にランチをデリバリーする為一路帝国へと赴いた。
・・・やはり(もう何回目のデジャブだよコレ)3人とも食堂にてランチが来るのを今や遅しと(或いは虎視眈々と)待っていやがりました!
「待っておったぞリオン王♡相変わらず日々の公務が地獄でな・・・。リオン王の美味しい料理だけが毎日の楽しみなのだ!」
「・・・ウチのクソ宰相が、皇帝に過剰なオーバーワークを強いる所為で、とばっちりで私とルイーゼまで公務を手伝わされたんですのよ!腹いせに宰相をフルボッコにしてやりましたけれども!まだ腹の虫がおさまりませんわ!せめてリオン王の美味しいランチを食べて、気を鎮める必要がありますわね〜♡」
怖っ!皇妃の奴またしても宰相をフルボッコにしたのか!?
「・・・申し訳ございませんリオン様。今の時期は帝国国内では決算前の繁忙期なのでございます!兎に角毎日膨大な量の書類・・・帝国の税収に各国との貿易収支、経費を含めた帝国の各支出等の書類を処理しなければならないのですが・・・。持ち込まれる書類の量に文官達の計算が全く追い付いていないというのが現状なのでございます!現在この城では、それこそ猫の手も借りたい程計算の人手が足りていないのです。」
地獄の公務の後だからか、完全に涙目のルイーゼが途方にくれてるよ。
とりあえず3人にランチを提供した。
次いでに何時もの如くビールも提供しようとしたら・・・。
「・・・リオン王・・・流石に今の帝国の現状では、幾ら私でも呑めませんわ・・・いや本音は呑みたいですわよ!呑みたいのですけれども!ココは心を鬼にして、謹んで御遠慮致しますわ・・・シクシクッ・・・。」
俺は夢を見ているのか・・・!?
この大陸の最凶大魔神である皇妃エリザベートが、(実にらしくもなく)泣きながらランチをバクバクと食べているでは無いか!
てか泣く程呑みたいんかい!
まぁ冗談(?)はさておき、中々に由々しき事態だな。
コレは後でルイーゼに頼んで、ルイーゼ達が処理しているという書類を一度拝見させてもらうかな。
ランチ終了後、早速ルイーゼに頼んで3人の執務室へ行き、(機密情報を除いた)件の書類を見せてもらった。
すると、
「・・・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!?」
はい♡この世界に転生してから2回目の松田優○のセリフを叫んじゃいました(*^^*)
いやだってさ。あまりにもお粗末だったんだもの。
俺は以前、この世界の数学は四則演算レベルだと推測したんだけれども、まぁそれは概ね予想通りだったよ。
問題なのは、書類に記されている数値を割り出すには、四則演算だけでは恐ろしく手間暇がかかるのが明白だからだ。
例として、5〜6桁同士の計算を、『足す』『引く』『掛ける』『割る』しか使わずに計算しろ、なんて言われたら俺でも途方にくれてるよ。
しかも土地なんかの面積だって、良く言えばアバウト、悪く言えば大雑把だ。
大体土地なんて四角形では無い場合も多いのに、どうやらこの城の文官達は四角形の計算方法しか知らないっぽいんだよね。
円周率や円の面積の算出方法はおろか、三角形や平行四辺形、台形の計算方法ですらできてない。
う〜む・・・。どうしたものか・・・。
流石にいきなり方程式だとか、微積分や分数少数を教えても、おそらく文官達は使いこなせないだろうからね。
仕方ない(´・ω・`)とりあえず三角形とかの各種図形の面積の算出方法を文官達にレクチャーしよう。
数字の計算にはフォーチュンにて実績充分のアレを下賜してやろう。
早速俺は紙を大量にアイテムボックスから出して(羊皮紙では無く、ちゃんと木のパルプから梳いて作ったリオンお手製の紙)各種図形の計算方法を挿絵付きで分かりやすく解説(例えば台形を2つくっつけると平行四辺形になるから、まず平行四辺形の面積を計算したら、その半分が台形の面積)したよ(*^^*)
更にルイーゼのマジックバッグにアレを大量に収納した。
そう!皆さんご想像の通りの『そろばん』だ!
次いでにそろばんの使用方法もメモしてマジックバッグに入れておいた。
図形の計算方法の紙もマジックバッグに入れて、
「ルイーゼ。これらをセバスチャン経由で文官達に届けさせて欲しい。必ずや文官達の計算の助けになるだろう。」
そう言うと俺はそろばんをひとつアイテムボックスから取り出して、皇帝達3人にそろばんの使い方を説明した。
やはり3人共ハニワになっていたよ(*^_^*)
「リオン王!凄いぞぅ!このそろばんという道具があれば、計算速度が飛躍的に跳ね上がるぞ!リオン王よ忝ない!コレで漸く私も晩酌を・・・ゲフンゲフンッ!じっ充分に睡眠が取れるぞぅ♡」
ちょっぴり本音と欲望が垣間見えた皇帝であった・・・。
「リオン王!この様な素晴らしい道具をまたしても献上してくれるんですの!?コレが有ればブラックな公務なぞ皇帝1人で充分!私もルイーゼも毎日優雅にお茶会三昧が出来るというものですわ〜♡良かったですわねルイーゼ?」
「ありがとうございますリオン様♡父上が地獄の公務をしているのを、草葉の陰から見守っております♡」
ひでぇ!2人共光の速さで皇帝を人身御供に差し出しやがった!
くわばらくわばら(泣)
皇帝の冥福を祈りつつ、(死んではいないが)
俺は静かにフォーチュンに帰還するのであった・・・。
続く。
可哀想な皇帝陛下・・・(泣)




