皇妃の激おこプンプン丸!
世の中、怒らせてはイケナイ人がいるのです。
午後。嫁達は恒例のお昼寝タイムだ。
だが俺にはお昼寝の文字は無い。
何故ならまたしてもルイーゼからのエマージェンシーコールによって、呼び出しをくらったからだ!
・・・もしかしてまたしょーも無い理由じゃ無いよな?
不安にかられながらも、転移門でルイーゼの部屋にGo!
するとルイーゼの部屋には、何故かルイーゼ親子が勢揃いしていた。
しかもコレまた何故か皇帝が土下座ポーズ・・・。
その皇帝の背中をを皇妃が足で踏みつけている。R18のヤバいプレイ中ですか?
見れば皇妃はまさしく般若の形相で、見るからに激おこ╰(°ㅂ°╬)╯プンプン丸なのが見て取れる!
「・・・ルイーゼ。この惨状は?何があったか説明してくれ。」
俺の問いかけにルイーゼは、
「リオン様。急な呼び出しの挙句、この様な醜態をお目にかけて誠に汗顔の至りでございます!実は父である皇帝が、休憩中に私の部屋の魔導具の中に、酒類が入っているのを見つけてしまい、あっという間に全て飲み尽くしてしまいました!其れを知った宰相は当然激怒して父に長時間のお説教を・・・。」
ふーむ。流石の皇帝も長期間の禁酒は辛かったとみえるな。
「・・・その上、事態は母にまで飛び火したのでございます!宰相は父に説教している間、母に父の代わりに公務をさせたのです!それで今度は母が激怒して宰相をボコボコにして、父はこの有様という訳です・・・」
・・・たしかに魔導具を見ると、周辺にビールやチューハイの空き缶が散乱しているな・・・。
ん?
たしかに帝国にとっては大事かもしれんが、ぶっちゃけ俺関係ないんじゃね?
そんな俺の怪訝な表情を見て察したのか、ルイーゼが、
「・・・リオン様を態々お呼び立てしました理由は、2つの魔導具の中をあらためて頂ければ御理解できると思います。」
・・・俺は促されるままに2つの魔導具を開けると・・・。
「・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁっ!!!!??」
思わず某刑事ドラマの松田〇作みたいなセリフを叫んでしまったよ!
魔導具の中は、文字通りの空っぽ!何も入っていない・・・。
生活保護を受けてる昭和の日雇労働者だってここまで冷蔵庫の中が空っぽじゃ無いぞ!
「ルイーゼ。ビールやチューハイは説明を受けたけど、それだけで魔導具の中がカラという状況は理解出来ない。更なる説明を求める。」
ルイーゼは徐にハイパー土下座を決めて!
「申し訳ありません!母が宰相をボコボコにした後、私の部屋にやって来て散々宰相に対して悪口雑言を口にしながら魔導具の中のアイスクリームやジュース類をバカスカやけ食いしてしまいました!」
と、此処で唐突に皇妃が口を挟んだ!
「あらあら〜?ルイーゼ?まさか貴女、私に全ての罪を擦り付けるつもりなのかしら〜?イケナイ子ねぇ〜♡少なくとも魔導具の中身の半分は、貴女の胃袋に収まった筈よ〜?自分だけリオン王に嫌われまいとするなんて、なんてあざとい子かしら〜?」
・・・何故だろう・・・皇妃の後ろから、漫画みたいに漆黒のモヤが湧き出して、『ズゴゴゴゴゴォ』という擬音が聞こえるんだが・・・。
ルイーゼは土下座ポーズのまま、蛇に睨まれた蛙状態で縮こまってるよ。
ともあれ、現状は理解できた。
要するにまず皇帝が酒類を盗み呑みした。
其れが宰相にバレて、とばっちりで皇妃が代わりに公務をやらされた。
激怒した皇妃が宰相をボコボコにして、激おこ状態の皇妃はルイーゼの部屋で憂さ晴らしのやけ食いをして、それにルイーゼが付き合ったという事らしい。
やれやれ。
此処は大人しく魔導具に中身を補充するのが最適解だな。
「ルイーゼ。起きてしまった事は仕方ない。俺が今2つの魔導具に中身を補充するから、3人ともどうか機嫌を直して欲しい。」
すると3人とも態度が豹変した!
土下座していた皇帝が光の速さで起き上がり、
「リオン王!忝ない!エリザベートは機嫌が悪いとまさしく手が付けられないのだよ!いや〜助かった!」
皇妃も打って変わって上機嫌になり、
「あらあらまあまあ!まるで催促したみたいで恐縮ですわ〜♡いえね、実をいうとまだまだ食べ足りなかったんですのよ〜♡これでまたしばらく美味しいアイスクリームが食べられますわ〜♡」
「リオン様♡ありがとうございます♡これでまたベッドの上でのんびりアイスクリームが食べられます♡」
なんというあざとい親子だ!
この現金親子め!
やむなく魔導具に中身を補充した俺は、(気分的に)非常に疲れたので城に帰還した。
まだ日も高いので、シルフィーの村へ遊びに行く。
村に着くと、1本の木に前世で見慣れたアル物を発見した。
ソレは木に絡み付いているツルのような植物だ。
だが俺の直感は、前世での俺の好物のアレが地下に存在している事を確信した!
そう!其れは自然薯だ!
丼めしにご飯山盛り、上に自然薯をすったトロロをたっぷりとかけて醤油で食べると、Oh!エクスタシー♡
早速土魔法でツルの下を掘る。
前世では自然薯を折らずに掘るのは大変だったが、魔法なら楽チンだ。
首尾よく自然薯を掘り出した俺は、村のエルフ達にこの自然薯の事を教えた。
何しろ村中のあちらこちらの木という木に、例のツルが絡み付いているんだから、自然薯が取り放題という訳だ。
試しにトロロを作ってエルフ達に振舞ったら、全員やみつきになった♡
但し食べた後にしっかり口元を拭くんだぞ!しないと後で口の周りが痒くなるからな!
エルフ達は、毎度おなじみのありがたやー踊りを踊っていた。
まぁエルフ達は米を食べないから、所謂お粥みたいな感覚なんだろうな。
自然薯ミッション、コンプリート!
さてそろそろ宴になるな。
城に戻って宴でござるな!
毎度おなじみの宴だ!
今日は暑さを吹き飛ばすべく、スタミナ料理でいく。
まずはレバニラ炒めだ。
レバーはビタミンが豊富なので夏バテ予防に最適。
ニラも同様だ。
続いて麻婆茄子。
麻婆豆腐同様に、辛党には辛口、甘党には甘口だ。
茄子、ピーマン、パプリカ、挽き肉をたっぷり使った我が麻婆茄子を刮目して食べるがよい!
主食はカニたっぷりのカニチャーハンだ!
スープはなんと、世界三大スープの1つ!
トムヤムクンスープだ!
甘い香り、口にすると爽やかな酸味と心地よい辛みとの三重奏!とくと堪能せよ!
酒と共に宴スタートナリ!
「レバニラ炒め美味いのじゃぁぁぁぁ!我の中で力がモリモリ湧いてくるのじゃぁ!松尾純米大吟醸お代わりなのじゃあ!」
「リオンさん♡カニチャーハン美味しいですぅ♡松尾純米大吟醸お代わりですぅ♡」
「リオン様♡麻婆茄子美味しいです♡先日の麻婆豆腐同様、あまり辛くないのに旨味に溢れています♡松尾純米大吟醸お代わりです♡」
「・・・レバニラ炒め美味しい♡・・・トムヤムクンスープ美味しい♡・・・松尾純米大吟醸お代わり・・・。」
「リオン様大変ですぞぅ♡お腹の子供が暴れておりまするぞぅ!レバニラ炒めと麻婆茄子とカニチャーハンをもっともっと寄越せと要求しておりまする♡故に全種類と松尾純米大吟醸お代わりだ〜!」
・・・もうロゼッタには付ける薬は無い・・・。
「リオン神様♡私とお付達にカニチャーハンとトムヤムクンスープと松尾純米大吟醸お代わりです♡」
「レバニラ炒め美味しいよぅ!カニチャーハンも美味しいよぅ♡こんなに毎日美味しいモノたくさん食べられて嬉しいよぅ♡」
「リオンちゃん♡美味しいモノの引き出しが多過ぎるの!リオンちゃんの中には一体どれだけの美味しい料理があるの!有り得ないの!ミオはずっとリオンちゃんの傍にいて、全部の美味しい料理を食べ尽くすの!覚悟するなの♡」
因みにルイーゼは粛々と全ての料理をマジックバッグに収納して盗んで行きましたよ。
待て〜〇パ〜ン!来週こそ逮捕だぁ〜♡
・・・俺は地球から召喚したダブルチーズバーガーと松尾純米大吟醸で夕食さ・・・。ぴえん。
自然薯料理はまた後日♡




