腹の立つ皇帝の弟
悪人は成敗するのです♡
『シルフィーの駄々っ子事件』から1ヶ月が過ぎた。
俺はと言うと、この1ヶ月はめちゃくちゃ忙しかったよ!
理由は簡単、(俺の)予想通り例の『空飛ぶ馬車』が大好評だったからだ!
試乗した木工ギルドの幹部達は腰を抜かして、この馬車が何をもたらすのか瞬時に理解した。すぐさま木工ギルドの総力をあげて(車輪の無い)馬車の量産を指示した。
そして皇帝に対して、「是非とも皇帝陛下よりリオン王に我らの馬車に魔法を付与して頂ける様にお願いしてください」
と、(かなりの賄賂と共に)拝み倒した為、皇帝からの依頼で俺は毎日帝都の木工ギルドにて1日10〜15台の馬車にレビテーションの魔法を付与し続けている。
因みに『壊れない』付与に付いてはオミットした。
流石に全ての馬車が壊れなくなったら、馬車の修理業者が路頭に迷うからね(*^^*)ある程度の雇用は確保しないと。
まぁ1日10〜15台くらい、楽勝だぜ〜!午前中で余裕で終わるよ!
午後は俺がフォーチュンで発注した馬車がぼちぼち出来て来てるから、コレまた1日5〜10台付与し続ける。
コチラは付与完了次第、フォーチュン各地に下賜した。
で、1ヶ月後の今日、俺は皇帝一家に呼ばれた訳だ。
「・・・馬産地からの苦情!?」
「その通りだリオン王。例の空飛ぶ馬車があっという間に普及した為に、馬車を引く馬の需要が急激に落ち込んでしまったのだ。」皇帝が苦い顔をする。
「・・・如何かしらリオン王。神算鬼謀のリオン王の事ですもの、既にこの事態を想定していたのではなくて?」
うん、勿論想定していたよ♡しかし悩む必要あるのかコレ。
「・・・私には何故2人が頭を悩ませているのかさっぱり分かりませんな。何も馬は馬車を引くだけでもあるまいに。帝国軍で騎士や騎兵、斥候や伝令兵にも馬は必要不可欠ではありませんか。それでも余るなら、農耕馬として活用すればいいだけの事。悩む必要等ありますまい。無論将来的には馬は減産せざるを得ないとしても、少なくとも今すぐ文句を言われる筋合いは無い!」
俺の剣幕に皇帝が、
「・・・本来ならリオン王の主張が正しいのだが・・・。」
どうにも歯切れの悪い皇帝。すると皇妃が、
「リオン王。この問題は、多分に政治的な問題を内包しているのですわ。馬産をしているのは牧場主達。彼等が所属しているのが馬産ギルドですわ。厄介なのが、馬産ギルドを牛耳っているのが、皇位継承権1位の皇太弟殿下なのですわ。あの男、夫ノワールの弟ですけれど、夫ノワールとは犬猿の仲ですの。但しルイーゼには幼いながらも弟がおりますの。なのであの皇太弟はあくまでもルイーゼの弟が成人する迄の仮初の皇太弟ですわ♡でもあのアホは其れがどうにも我慢ならない様で、何かにつけて夫ノワールに逆らってくるのですわ♡」
・・・ううむ、つまりは帝国国内の派閥争いと言う訳か・・・。
いや実に面倒臭い。いやまぁ、俺は完全に皇帝派何だが。
一応念の為に、転移魔法で1度フォーチュンに帰還して、頼りになる嫁達を連れて来る事にした。
1分後。ダ竜とダ女神は無論オーバーキルなので、消去法でロゼッタとメイを連れて来た。
で、その皇太弟の事を詳しく聞こうとしたまさにその時!
部屋に1人の男が乱入して来た!
「何時までグズグズしてるんだクソ兄貴!さっさと空飛ぶ馬車なんて物をぶっ壊して、以前の馬車に戻せよ!馬産ギルドを敵に回しても良いのか!あぁんっ!?」
・・・随分と頭の悪そうな男だな。皇帝とはほとんど似ていない。此奴が皇太弟か・・・。
「口を慎め!アホール!第一、お前には謹慎を命じていた筈だ!何故勝手に出て来た!?」割とマジギレの皇帝。
「あぁ!?んなの俺が馬産ギルドの総帥だからに決まってんだろうがよっ!クソ兄貴の命令なんざクソ喰らえだ!」
そこに新たな乱入者が!俺の嫁、ルイーゼだ!
「ハァッハァッ叔父上!コレは明らかに父である皇帝陛下に対する反逆です!皇帝陛下の謹慎命令を無視する等、皇帝陛下ひいては帝国に対する謀反であると判断せざるを得ません!何か弁明はありますか?」
ルイーゼの糾弾を聞いた皇太弟は、嫌らしい笑みを浮かべて、
「・・・クックック・・・。クソ兄貴の小娘風情が小生意気な事を!俺が何の準備も無しに此処に来たと思うのか!」
まるでタイミングを合わせるかの様に部屋に完全武装の騎士達がゾロゾロと乱入して来た!
「お前達!誰の許しを得て此処に来た!」
皇帝が誰何するけど、騎士達は無言を貫く。
止むを得ず、俺は皇帝に助言する。
「ノワール殿、察するに此奴らは、皇太弟の子飼いかと。ならば、全員殺すしかありませぬぞ。」
俺の発言に皇太弟はイライラした様に、
「ええぃっさっきから黙って聞いていれば!何故かこの場にいるお前はなんなのだクソガキが!」
「・・・お前をイラつかせている、空飛ぶ馬車を発明した男だよ!」
その瞬間、皇太弟は唖然とした。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?馬鹿な!?貴様の様なガキが!?てめぇ!フカシこいてんじゃねぇぇぇ!」
いきり立ってる皇太弟を尻目に、
「ノワール殿。皇帝に対する皇族の謀反は如何なる処置を?」
皇帝が答える前にルイーゼが、
「・・・如何なる理由であろうとも、例外無く死罪。コレは帝国開闢以来の法でございます。どうか御存分に・・・。」
「・・・だっそうだが?ノワール殿にとっては実の弟君だが?本当に宜しいのかな?」
一応念押しておく。
「・・・構わない。皇帝である私の命令を無視する等、帝国の権威に泥を塗る行為だ!断固とした処置をしなければならない!」
流石に皇帝も弟を見限ったか・・・。了解!
「ロゼッタ!メイ!話は聞いたな?至急このアホとその取り巻きのバカ騎士を始末せよ!!」
「了解ですぞぅ♡皆殺しにしてやりますぞぅ♡」
「・・・了解・・・全員殲滅する♡・・・。」
復唱するなり!ロゼッタが一太刀で皇太弟の首を跳ねて、同じくメイがツインダガーで子飼いの騎士達を血祭りにあげていく!
僅か数秒で皇太弟とその子飼い達は殲滅された。
「・・・で?その馬産ギルドの馬鹿共はどうする所存かな?俺としては、キッチリケジメをつけたいんだが?」
今回、俺は(珍しく)怒っている!
「・・・リオン王に全て任せる。」
よし!皇帝から言質を取った!
好きにやらせて貰いますよっと♡
「皇帝陛下にも困ったモノですな。」
馬産ギルドの幹部が笑いながら発言する。
別の幹部も其れを受けて、
「全く、空飛ぶ馬車等と・・・2頭立てや4頭立ての馬車が、全て1頭の馬で引けるなどと・・・!我ら馬産ギルドに喧嘩を売っているとしか思えん!」
また別の幹部が、
「まぁ宜しいのではないですか。もうじき皇太弟殿下の計画により、殿下のクーデターが成功して、全て我らの思惑通りに成るのですから・・・。」
『皇太弟は、既に処刑されたぞ?つまりお前達は、既に手遅れと言う事だ!大人しく縛につけ!』
・・・俺の宣言を聞いた幹部達は、まさしく蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った!
ん?俺は手を出さないよ?
連れて来た嫁2人が優秀過ぎるからね(*^^*)
数分で幹部連中は全滅したよ♡
・・・言っておくけど、殺して無いよ!
ロゼッタは峰打ち、メイはダガーの腹で叩きのめしただけだからね。
うん、皇帝との打ち合わせ通りに、幹部連中を一網打尽にして、皇帝の名において馬産ギルドを解散した!
今後は、馬産している牧場は、全て帝国の国営となる。
「これにて、一件落着〜♡」
1度は言ってみたかった「これにて一件落着〜♡」




