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【097話】劣勢を覆せっ!




 今大会のルールとして、消費アイテムの使用は禁止である。

 身体強化アイテムや回復アイテムなど。アイテム所持によって、大会の有利不利ができてしまうと、武術大会の公平性が欠けるとして、それらの一切は持ち込みできない決まりになっている。


「ドーピング、か?」


「ええ、あの顔は間違いなくやってるわ。それも、強力なやつ」


 ──不正で勝とうとしてるってことか。


 手段は問わない。

 不正に手を染めようとも、武術大会での勝利を優先する。

 セイ・ジョールがどうしてそこまでして勝ちたいのか分からない。

 けれども、それだけはやってはいけない行為だ。

 参加者全てに対する冒涜。モナの言っていることが真実なのであれば、あの2人がこの大会を続ける資格なんてない。


「どうする?」


 俺はモナに今後の動きはどうするかということを尋ねる。

 身体強化されているのであれば、実力とか以前に手強い相手に変わりはない。

 向こうが正攻法で戦いをしていないのだから、こちらが真正面から向かっていったところで確実に勝てる道筋は見えてこない。


「私に考えがあるわ」


 モナは、コソッと小さな声で告げる。


「それは、どんな策だ?」


「レオ」


「ん?」


「私のこと、信じてくれる?」


 上目遣いでモナは俺を見てくる。

 こんな戦闘真っ最中にそんな仕草をされてしまっては、気持ちが切れてしまいそうになる。


「ああ、俺はモナのことを信じてる」


 可愛らしいなぁ。

 ……なんてことを考えていた俺であったが、俺の返答を聞いたモナは不敵に笑う。


 ──えっ、嫌な予感しかしない!


「ふふっ、言ったわね。私のことを信じるって言ったわね?」


「い、言った……けどさ」


 モナがこういう怪しい顔をする時は決まってろくなことがない。無茶苦茶な要求でもされそうである。

 俺は、ちょっとビクビクしながらモナが何を言い出すのかを大人しく待つ。

 モナは、槍を俺に手渡し、構えるようにジェスチャーをしてくる。


「ほら、構えて」


 ちゃんとした説明はない。

 ただ大盾と槍を構えさせられ、復活しつつあるランドとセイ・ジョールの方へと身体を向けさせられる。


「いや、何させるつもりだよ」


「あら、簡単な話よ」


 モナは、きょとんとした顔のまま2人の方を指差し、普段より低い声で告げる。


「あの2人に向かって槍持って突っ込んで」


「ええ……」


 ……特攻ですか?

 あの2人に突撃して、俺にどうしろと?

 盾持ちタンクは、攻撃できない。なら、槍持ってれば勝てるでしょ? ……みたいな安直なことでも考えているのだろうか。


 ──勘弁して!


「モナさん、モナさん……」


「なによ?」


「俺に無謀な挑戦させようとしてます?」


「失礼ね。これは私が導き出した合理的な答えよ」


 なるほど。

 うん、やっぱり分からない。

 相手が身体強化アイテムを使っていて、対抗策として耐久役のタンクに自分の槍を持たせて突撃させる。……どんなメリットがあるんだ?


 不安になっていると、モナがバシバシと俺の背中を叩く。


「安心しなさい。絶対に勝てるようにするから。……レオ、2人に突っ込んだら、まとめて捕まえて」


「スキルを使えってことか?」


 モナは2度頷く。

 そうして、自信満々に宣言する。


「スキルを使ったら、2人を離さないで。後は私が勝利に持っていくから!」





41000ptありがとうございます!


キリのいいところまで投稿したいので本日は4本目の投稿も致します!

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  邪智暴虐の闇堕ち聖女〜追放された元聖女は理不尽な世界へ復讐するため、悪逆非道な制裁を執行する〜

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