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【096話】違和感の理由




【釘付け】

 出来れば、決勝まで隠しておきたかったが、そんな悠長なことを言っている暇は無くなった。


「動っ……けない⁉︎」


 ランドは困惑したような表情を浮かべる。

 まあ、そういう反応になるよな。急に自分の動きが制限される不思議な感覚。

 経験したことがないだろう。

 けれども、これが俺の切り札。

 2つあるスキルのうちの1つ。



 ランドの猛攻は一旦停止した。

 さて、問題は、ここからどうするか、だ。


「このっ、さっさと当たりなさいよ!」


「モナリーゼ……君は、間違って……いたんだよ。僕に、勝利を譲っていれば、こんなことにならなかった……のに」


「うるさいわね! 土下座されて靴舐められてたって、そんなことお断りよ!」


「なら……無様に負けな、よ」


 セイ・ジョールとモナは、互角に戦っている。

 いや、モナが少し劣勢か。

 ランドを【釘付け】で足止めしている以上、俺がモナの加勢に行くというのは難しい。


「はっ、離せよ。卑怯だぞ!」


 ランドはなんとか【釘付け】を解こうと必死に暴れる。

 やっぱり、こっちの方をなんとかしないとダメか。とは言え、大盾使いの俺に目立った攻撃手段はない。


【腐食】も使おうか。

 そう考えていた矢先、モナが何かに気付いたように表情を変える。そして、セイ・ジョールをゴミでも見るような視線で睨み付ける。


「フラッシュッ!」


 辺り一面が真っ白になるような眩しい光。

 モナは、閃光魔法を放ち、セイ・ジョールとの競り合いから瞬時に離脱する。そして、俺とランドのいる方へと近づいてきた。


「レオ、スキル解除!」


「っ!」


 モナの一言に俺は【釘付け】の状態を解く。

 ランドは動けるようになったが、次の攻撃が俺に届く前にモナの鋭い槍での薙ぎ払いがランドの腹部に食い込む。


「ぐはぁ……!」


 そうして、俺の方もどうしようもない膠着状態から脱することができた。

 モナに感謝しよう。

 いや、それよりも……。


「モナ、急にどうした?」


 モナは先程までセイ・ジョールを力押しにしようと躍起になっていたはず。それなのに、きっぱりと諦めて、体勢を立て直そうとした。その理由は何なのだろうか?

 モナは、真剣な顔で口を開く。


「レオ、おかしいと思わない? 私たちはこれでもSランク冒険者。なのに、あんな2人に負けそうになるなんて」


「それは……」


 モナの指摘通り。

 ランドの動きが良過ぎるし、モナがセイ・ジョールに決定打を加えられない状況はあり得ないと思えるものだった。


「……この違和感の理由、モナは分かったのか!」


 モナは頷く。


「ええ、あのクズの様子が変だったのが、私たちが負けそうになってる理由よ」


「どういうことだ?」


「そうね……簡単に言うと、ドーピングってやつよ」


 モナは平然とそう告げた。




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