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【078話】迎えた当日




 3日。

 そんな時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。

 十分な準備期間が確保できたかと言われれば、もちろん違う。

 それでも、試行錯誤を繰り返して、クラッシュ王国武術大会に備えようと必死に鍛錬を行った。


「レオ、もう行ける?」


「ああ、武器の調整も終わった」


「そう。なら、少し早い気もするけれど、会場に向かいましょう」


 早朝のまだ周囲の暗い時刻。

 俺とモナは、既にフル装備。

 クラッシュ王国武術大会への備えは、完了していた。


 大会開始には、まだまだ時間がある。

 こんなに早い時間に行こうと提案したのはモナであった。


『会場の雰囲気に慣れておきたいわ』


 ──モナでも緊張とかしてんのかな。


 そんな風な考えが一瞬頭に浮かんだが、


「ほら、早く行きましょう!」


 モナが俺の手を引く。

 彼女の自信に満ち溢れた顔を見たら、そんなことはないのだと理解できた。完全に考え過ぎであった。


 というか、


 ──緊張してんのは、俺の方、か。


 モナに合わせて、有利な立ち回りを続けられるのかどうか。

 魔物相手であったら、じっくり戦うこともできるが、今回は違う。

 武術大会。

 制限時間アリ。

 できれば、早急に決着をつけたい。

 有効打の少ない大盾持ちの俺は、どこまでやれるのだろうか。


 不安な要素なんて、挙げてしまえばきりがない。


「勝てるかな?」


 弱気になって言ったことではない。

 これは、単なる確認。

 モナは、俺の言葉に間髪入れずに答えた。


「勝てるわよ。私とレオなら、どんな相手だって倒せるはず」


 モナはそんなことを言ってくれる。

 深い信頼を感じると共に俺の不安要素を掻き消してくれるようなものを感じる。


 負けられない戦い。

 この身が動かなくなったとしても、俺は絶対に倒れたりしないと、心に誓った。


「3人は、まだ寝てるな」


「そうね。観戦しに来てくれるらしいから、華々しい結果を3人に見せてあげないとね!」


「だな」


 アレンとアイリスとヴィランは、まだ起きてきていない。

 まあ、いつもの起床時間よりも断然早いのだから仕方がない。これでいいのだ。

 見送りなんて必要ない。

 必ず、モナと共にこの場所に帰ってくるのだから。別れの言葉を言い合うこともない。


 普段通りに過ごす。

 それが、俺たち【エクスポーション】らしさでもある。

 そして、これは3人から俺とモナに向けた期待の裏返しでもある。


 ──優勝取ってくるよ。


「じゃあ、勝ってこようか」


「へ〜、急に強気なのね?」


「モナとの未来がかかっているからな。勝ち上がり続けること以外に選択肢がない」


 そう言うと、モナは顔を真っ赤に染める。


「私との……未来?」


「あっ……」


 ──いやいや、今のよくよく考えたら凄い恥ずかしいこと言ったよな!

 モナが顔を赤くした理由も察すことができた。


「いや、変な意味じゃない……とも、言い切れないけどさ。とにかく、違うから」


「……分かってるわよ。馬鹿」



 ──馬鹿って。

 まあ、いい。

 とにかく、今は目先のことに集中しよう。

 俺とモナは、武術大会の会場へと向かう。




 道中、恥ずかし過ぎて、モナと顔を合わせられなかったというのは、誰にも言わないでおこう。





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