【077話】悪役令嬢のナイト役
クラッシュ王国武術大会。
タッグ戦に出ることは、ほぼ確定的。
問題は、モナが誰を選ぶのかである。
「でぇ? 誰にすんだぁ?」
ヴィランは、モナに尋ねる。
誰にするかは、悩みどころだろう。
戦い方は無数に存在する。
モナと共に戦うのが誰かによって、戦術の組み立て方も全然違ってくるのだ。
「誰にするか、ですって? そんなのもう決めてあるわ!」
──そうなのか?
俺だったら悩むところだ。
未来を決めるための大きな選択。
横に誰を立たせるかをそんな簡単に決めるのか?
しかし、悩むと思っていたのは俺だけだったようで、
「まあ、そんな気はしてたよ」
「そうだね。モナちゃんが誰を選ぶのかくらい薄々分かってた」
「まあ、そりゃ誰かなんて決まってるか! ガハハッ!」
3人は俺の方に視線を向けてきた。
えっと、そういうことなのか?
「レオ」
モナから声がかかる。
つまり、そういうことらしい。
けど、本当に俺でいいのだろうか。
「大盾使いなんて、こういう大会だとあまり活躍できないと思うぞ」
基本的に大盾使いとは、パーティ全体を安全に運用してもらうためのサポート役。
大人数で戦う分には、貢献できると思っているが、少人数の場合だとアタッカーの数が減る分、武術大会では不利になると思われる。
俺の不安を他所にモナは、腰に手を当てながら俺に詰め寄る。
「そんなことはどうだっていいわ。私がレオと組むと言ったら、レオは大人しく従えばいいの!」
「いやでもな……」
「自信がないの? Sランク冒険者なのに?」
──そんな挑発されましても。
自信がないというのは、半分正解。
優勝に食い込むときに俺がモナの足を引っ張らないか心配になる。
しかし、Sランク冒険者としての誇りがあるのもまた事実。
モナは本気だ。
未来を左右する大事な選択。
それなのに、迷うことなく俺を指名してくれた。
……モナの期待に応えるべきだ。
俺を選んでくれたモナの目が節穴であったと言われるような無様な姿を晒すわけにはいかない。
「……俺でいいんだな?」
「ええ、レオがいいの」
──モナにそこまで言われたら、これはもう絶対に優勝するしかないな。
覚悟を決めた。
「分かった。モナがそう言うなら……」
「ええ、私のことをちゃんと守ってよね」
「傷一つ付けさせないように尽力するよ」
大盾持ちの俺にやれることは、モナをひたすらに守り抜くこと。
モナに攻撃が当たらなければ、あらゆる戦いで勝ちを得られると思う。
「じゃあ、レオの参戦も決まったことだし。大会に備えて私は槍の鍛錬に行ってくるわ」
俺のプレゼントした槍と元々使っていた愛用の槍を手にして、モナは外へと出て行く。
──俺も、行くか。
モナの1番近くで戦う権利を得た。
ならば、俺もモナと共に鍛錬に励もう。
「俺も行ってくるよ」
モナの後を追うようにして、俺も急いで玄関に向かう。
「行ってらっしゃい」
「頑張ってください!」
「頑張れよ!」
3人からの励ましを背に、俺は扉を勢いよく開けた。
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